アイ・オー・データ緊急インタビュー

店頭ではほぼ同じ価格に。増設は256MBが標準に

 メルコと対峙するメモリ製品業界の大手、アイ・オー・データ機器も大幅な価格改定を行なった。値下げの理由や現在のメモリ製品状況について同社販売推進部 部長の桐山良彦氏にお話を伺った。

●リリースでは、値下げの理由が「市場状況への迅速な対応のため」となっていますが、もう少し詳しい話をお願いします。

□このタイミングになったのは、もう一方の大手であるメルコさんの動向が影響したことは否定できません。メモリ業界のライバルとして、市場の変化には対応する責任がありますし、追随せざるをえないということです。

 しかし、弊社としても、メモリ製品の価格については危機感を持っていました。具体的には4月1日付けでメルコさんに先だって一部製品の価格の見直しを行なっています。

●対抗しての動きにしては価格や値下げ率をそろえなかったのはなぜですか。たとえばPC133 SDRAMの256MB製品でいえばメルコさんは1万円を切り、アイ・オーさんは1万円をこえていますね。

□値下げ率については、弊社が4月1日に価格改定を行なっているため、見かけ上、低めの数字になっています。また、標準価格については、メルコさんとの戦略の差も表われています。

 アイ・オーの場合、小売店だけではなく、企業へ直接納入する訪問販売のルートも重視しています。ストリートプライスだけが問題になる小売店の場合と異なり、訪問販売のルートでは値引率が重要になります。販売店側にマージンが必要なんですね。

 したがって、販売店に入るときの価格はメルコもアイ・オーも大差はないと思いますし、実際に小売店の店頭で買われる場合は同じぐらいの価格になるでしょう。

●4月1日の値下げの理由はなんだったのでしょう

□やはりメモリ市場の変化が大きいですね。私どものメモリ製品の価格は、バルクなどの市況とはかけ離れた状態になっていました。ある時点では倍以上の差がついてしまい、同じ土俵にすら載っていない状態になっていました。むしろ我々の方がサードパーティのような状態になっていました。

 買える価格帯でなければお客様にも浸透できないということです。

 すでにメモリ製品は、販売店のPOSデータなどでもランキングにアイ・オーの名前が出ない状態です。CD-R、外付けHDD、液晶ディスプレイなどほかの分野の製品ではアイ・オーの製品がランキングに食い込んでいることから、やはりメモリ製品も価格対応が必要だと判断したわけです。

 事実、4月1日の値下げ以降、各種の調査でもシェアの回復が確認できています。今回の値下げにより、その傾向はもっとはっきりするでしょう。

●今回のリリースでは6月4日出荷分からとなっていますが、この週末に買いにいくと、新旧どちらの値段で売られているのでしょう。

□価格の改定は6月1日付けですから、弊社の側からは在庫分も含めて新しい価格で販売するようにお願いしています。ただし、POSマスタの変更など物理的な作業が伴う場合には、実施が数日遅れる場合もありえます。6月4日以降出荷される製品は伝票類なども新価格として納品されます。

●今回の値下げで何が変わるのでしょう。

□256MBのメモリがユーザーの標準的な選択肢になることでしょう。この価格であれば、128MBではなく、256MBの増設を選んでいただけると思います。弊社では以前Windows 95登場時に、「+32MB増設キャンペーン」と銘打って、当時16MBが標準だった増設を余裕のある32MBにしようというキャンペーンを行ないましたが、今回も同様の節目にある気がします。

●Windows XP用に+256MBキャンペーンですか。

□それは冗談にしても、Windows XPへ向けて余裕のある増設をすることは、ユーザーにもメリットがあります。メモリの増設はもっとも手軽なパフォーマンスアップの手段であることは昔から変わっていません。

 価格の引き下げがきっかけとなって、ユーザーの関心が高まり、結果的に良い環境でPCを使うことができれば、ユーザーのメリットも大きいでしょう。


 桐山氏のお話で印象的だったのは256MBが標準になり得るということだった。たしかに局所的な電気街の価格ではなく、全国のどこでも買える大手メーカーの256MB製品が1万円前後で買えるということの影響は大きい。この価格であれば、256MBを選択するユーザーは増えるだろう。

 また、アイ・オー、メルコとも購入の検討の対象となる水準まで値下げされたことにより、ユーザーの選択肢が広がったことは大きい。一時は3倍以上あった、バルクから大手メーカーのパッケージへの差がぐっと縮まったのだ。同じ土俵に上ったといえるだろう。

 今回の値下げの影響を推測することは難しいが、常にぎりぎりの価格競争を続けているバルク製品については直接的な影響は少ないだろう。むしろ、これまで大手二社とバルクの間に空いた大きな隙間で勢力を伸ばしていたほかのメーカーがどう動くかだろう。

□アイ・オー・データ機器のホームページ
http://www.iodata.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.iodata.co.jp/news_rel/200106/078.htm

(2001年6月1日)

[Reported by date@impress.co.jp]

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