塩田紳二のLinuxWorld Conference & Expo会場レポート
--AMD、Hammer用エミュレータやAthlon Dualマシンなど

会期:1月30日~2月2日(現地時間)
会場:Jacob K. Javits Convention Center , NewYork



 AMDは、ここLinuxWorld Expoにもブースを構えている。Intel互換CPUメーカーとしては当たり前ともいえるが、このところAMDにとってLinuxの重要性が大きくなってきているのである。

AMDブースに展示されているVirtuHammer。右側の白いウィンドウがエミュレーションプログラムで、左の黒いウィンドウがエミュレーションされたプログラムの出力。デモでは、ハノイの塔プログラムを動かしていた。CPUの命令レベルから仮想的なコンピュータをエミュレーションしているが、ハノイの塔のプログラムは、昔のBASICで作ったソフトなみの速度。このエミュレータにより、Linux開発の速度が飛躍的に増大したらしい
 それは、64bit CPUであるHammerシリーズで動作する64bit OSとしてどうしてもLinuxが必要だからである。もちろん、Hammerシリーズは、現在のAthlonのコードをそのまま実行できるので、現行のLinuxなり、Windows 2000といったOSをそのまま実行することができる。しかし、Hammerシリーズが性能を発揮するのは、64bitコードで記述された64bit対応のOSと、その上で動く64bit対応のアプリケーションを使った場合だ。

 IntelのIA-64の場合、CPU出荷時に利用できるOSは、Linuxだけではないかといわれている。MicrosoftのWindows 2000後継64bit OSは、間に合わないというのが大方の予測である。

 AMDのHammerシリーズは、昨年8月に最初のスペックである“x86-64 Technology Specification 1.0”が登場し、ようやくその詳細がはっきりした。その後、Linuxコミュニティの各種グループとの接触が行なわれ、x86-64対応のカーネル開発プロジェクトが動き出した。昨年末にようやく、AMDのx86-64エミュレータ(AMD SimNow!)上でカーネルが動作した。

 今回のLinuxWorld Expoでは、スウェーデンのVirutechというエミュレータ専門企業のSimicsというエミュレーションプログラムがHammerシリーズに対応、そのデモが行なわれた。このSimicsは、複数のマシンを使い、仮想的なコンピュータをエミュレートするもので、マルチCPU対応の高速なエミュレータである。AMDは、その簡易版(Simics LE)にVirtuHammerという名前を付け、製品として販売する(販売はVirtuTech)ほか、主要なLinuxプロジェクトに提供していく予定だという。


 また、Linuxの移植については、ドイツのディストリビュータで、PowerPC用Linuxなどを製品として持つSuSEと提携を行なった。

 1日(現地時間)には、プレス向けにブリーフィングが開催された。AMDのLinux戦略などが説明され、AthlonマルチプロセッサマシンでLinuxを動かすデモが行なわれた。残念ながら、マザーボードについては評価用のものということで、撮影することはできなかった。

プレス向け説明会場にのみ展示されていたAthlonデュアルCPUマシン。Linuxが動作して、SOFTIMAGE|3Dが動作している AthlonデュアルマシンでCPUの稼働率を表示するプログラム(xcpustate)を動かすと、CPUに対応する負荷率ゲージが2つ表示され、デュアルプロセッサであることがわかる

本日の基調講演は、Intel副社長のWilliam A.Swope氏。IBMの時と違って、客の入りが心配されたが、結局満員となった
 本日のキーノートスピーチは、IntelのWilliam A.Swope氏によって行なわれた。こんなところで図らずもIntel/AMD対決があったわけだ。しかし、会場で配布された公式パンフレットでは、Swope氏の名前と写真は載っているものの、略歴が同社CTOのPatrick Gelsinger氏のものになっていた。深読みすれば、本来Gelsinger氏が話す予定で、急遽Swope氏に切り替わったとも見える。まあ、来週には、ISSCC(IEEE国際固体回路会議)が控えており、このタイミングでIntelが何も発表しないとは考えられない。その準備もあって、Gelsinger氏との交代があったのではないだろうか?

 Swope氏は、キーノートスピーチ会場にサーバーを持ち込み様々なデモを行なった。Palmからワイヤレス経由でサーバークラスタの制御を行なったり、IntelのAdvanced Network Services for Linuxというソフトウェアのfail-over機能により、サーバーの1つが止まっても、クラスタ内の他のマシンが肩代わりすることで、サービスが停止しないというデモや、米国のNCSA(National Center for Supercomputing Applications。WWWブラウザの元祖モザイクの開発元としても有名)で構築された4-WayのItaniumマシンによるLinuxクラスタでの自然科学分野シミュレーションなどが紹介された。

 また、米国でオープンソース関連の研究を行なうOSDL(Open Source Development Lab。1月24日に設立された)でエンタープライズ向けLinuxシステムの開発者に対して“OSDL Enterprise Achievement Award”として25,000ドルの賞金を出すことを発表している。同賞は、今後のLinuxWorld Expoで発表される。

クラスタマシンによるサービス切り替えのデモ。背の高い2人に挟まれて小さく見えるが、後ろにあるのが普通の19インチラック Palm VIIから、無線を使ってクラスタを制御しているところ。クラスタ内のサーバーを強制的に停止させても、クライアントの画像表示が乱れずにサービスが切り替わるところをデモ

□LinuxWorld Conference & Expoのホームページ(英文)
http://www.linuxworldexpo.com
□関連記事
【2001年2月1日】塩田紳二のLinuxWorld Conference & Expo会場レポート
--IBM製腕時計型コンピュータはさらに小型に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010201/lwe2.htm
【2001年1月31日】LinuxWorld Conference & Expoレポート前日レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010131/lwe1.htm

(2001年2月2日)

[Reported by 塩田紳二]

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