プレステ2の新バージョンを検証
~ 待望の純正リモコンが登場、まさに専用機感覚! ~


 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は12月8日、プレイステーション2の新バージョン「SCPH-18000」を発売した。

 SCPH-18000の特徴は、赤外線リモコンが付属し、従来「メモリーカード」に記録していたDVDプレーヤーが本体内蔵に変更され、そのプレーヤーのバージョンが2.00にバージョンアップされたことだ。


●さすが純正リモコン!

 プレイステーション2用のリモコンといえば、PC Watchでもサードパーティの製品を6月22日に取り上げた。そして、それを境に現在では、数多くのメーカーから同様の製品が発売されている。ただし、それらの製品は、独自にデザインに工夫を凝らしているものの、基本的には通常のコントローラをワイヤレスにしただけ。つまり、付属のコントローラでできることと同じことしかできない。

 そういった状況の中、本体発売前から発売が予告され、数多くのユーザーが持ち望んでいた「純正リモコン」が登場した。待たされること9カ月。しかし、待たせたことだけのことはあり、独自機能がふんだんに取り入れられた、「さすが純正」と思わせるものに仕上がっている。

 まず、リモコンを手にして気がつくのが、テンキーが付いていることだ。今までチャプタジャンプなどを行なう場合は、メニューを出してそこからコントローラの方向キーで数字を選ぶという非常に面倒な作業が必要だった。それが、今回のリモコンではテンキーにより直接数字が入力できるようになった。また、再生、停止、一時停止などの基本操作ボタンも、付属コントローラのショートカット([START]=再生/一時停止、×=停止など)ではなく、専用のキーが設けられている。

 ボタンの操作感もよく、“モノ”としての満足感は高いのだが、個人的に非常に残念なのはリモコンで電源が切れないこと。せっかく、本体の電源を電子スイッチにしたのだから、手元で電源を切れるようにしてほしいところだ。

 なお、これらの新しいキー操作はDVDプレーヤーVer 2.00との組み合わせで実現される。そのため、このリモコンユニットを旧プレイステーション2に装着して、旧プレーヤー(Ver 1.00/1.01)で使用しても、赤外線コントローラとしての使用は可能だが、再生ボタンなどの専用キーは使用することができない。

 また、DVDプレーヤーVer 2.00では、「プログラム再生」、「A-Bリピート」、「プログラム再生」にも対応。それらはリモコンでダイレクトに操作可能だが、[SELECT]ボタンにより表示されるメニューから操作することはできない。

 さらに、以前は進行状態はチャプタでしか表示できなかったが、タイムカウンタも表示できるようになった。このタイムカウンタは残り時間表示もサポートしている。

 全体の印象として、今回のリモコンとDVDプレーヤー Ver 2.00の組み合わせによって、まさに専用機感覚となったといっていいだろう。そして、これはDVDプレーヤーも同時に開発できる純正品だから実現したことであり、サードパーティには真似ができないところだ。ちなみに、リセットしてからDVDが再生されるまでの時間は、Ver 1.01とほぼ同じ23.72秒(3回計測の平均値)だった。


●CDプレーヤーもバージョンアップしたが……

 今回バージョンアップされたのはDVDプレーヤーだけでなく、CDプレーヤーもVer 1.00からVer 1.20へとバージョンアップしている。これによりプログラム再生、シャッフル再生、繰り返し再生がサポートされた。

 しかし、理解に苦しむのはCDプレーヤーの操作体系が以前のままということだ。つまり、コントローラの方向キーで操作を選んで決定するという形式。リモコンの操作も再生キーなどは使用できない。

 さらに、シャッフルなどの再生モードを変更する場合は、ブラウザ画面に戻り、詳細設定で変更するという面倒な仕様になっている。

 なぜ、せっかく同時にバージョンアップしたCDプレーヤーが、DVDプレーヤーと異なる操作体系となっているのだろうか? まったく理解できない。


●これで抜け道はすべて塞げたか?

 今回発売された新パッケージは、DVDプレーヤーのプログラムが本体に内蔵されたこともあり、ユーティリティディスク(CD-ROM)が付属しなくなった。そのため、SCPH-18000を購入したとしても、従来の機種のDVDプレーヤーをバージョンアップすることはできない。つまり、従来機種のユーザーは、12月22日発売のリモコン単体「SCPH-10170」を待たなくてはならない。

 当然ではあるが、DVDプレーヤーが本体に内蔵されたことにより、従来のユーティリティディスクを使ってDVDプレーヤーをダウンロードすることができなくなった(従来のユーティリティディスクは、メモリーカードにしかダウンロードできないため)。ということは、Ver 1.00/1.01にバージョンダウンすることができないということになる。さらに、内蔵のプレーヤーが優先されるようで、Ver 1.01が入ったメモリーカードをさしても2.00が起動した。

 なお、オンラインマニュアルも兼ねていたユーティリティディスクが付属しなくなったことで、説明書のDVDプレーヤーのページが1ページの簡単なものから17ページに大幅に増え、図も多く取り入れた詳細なものになった。オンラインマニュアルでは操作しながら参照することはできないわけで、これは歓迎すべき改善点だ。

 また、面白い変更点としては、「RGB」と「Y Cb/Pb Cr/Pr」の二者択一のコンポーネント映像出力のデフォルト値が「Y Cb/Pb Cr/Pr」となったこと。さらに、「RGB」を選択した場合でもDVDを再生すると自動的に、「Y Cb/Pb Cr/Pr」へ切り替わる。

 これは、RGB出力を使用したマクロビジョンのコピーガード回避方法に対処するためと思われる。しかし、これにより普段RGB(AVマルチ)で接続している場合、DVDを再生する時にケーブルを差し替える必要が出てくる。SCEIとしてはなるべくRGBを使ってもらいたくないのだろうが、ユーザーにとっては使い勝手がかなり悪くなった。

 以上のように新しいプレイステーション2は、ファームウェアのバージョンダウンができなくなり、DVDのRGB出力もできなくなった。これで、プレイステーション2で指摘されてきた問題は解決したことになる。今後、さらなる抜け道が見つからなければいいのだが……。


●プログレッシブの早期実現を!

 今回のバージョンアップにより、DVDプレーヤー機能はかなり強化された。DVDプレーヤーのバージョンアップは、リージョンコード回避問題への対処のためにVer 1.01がリリースされたものの、これはいわばバグフィックス版だった。

 その意味では、今回のVer 2.00は初のメジャーバージョンアップといえる。リモコンの使い勝手や、各種機能の追加など、専用機の操作性に肉薄している印象を受けた。ただ、以前から語られているプログレッシブ化が見送られたのが残念なところ。

 12月1日にBSデジタルの本放送が始まり、D2以上に対応するテレビ(ビデオディスプレイ)も急速に普及し始めていることを考えると、早急にプログレッシブ対応することを期待したい。


□「プレイステーション2」のホームページ
http://www.scei.co.jp/ps2/
□関連記事
【12月8日】新型プレイステーション2分解記
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001208/ps2.htm
【6月26日】プレステ2のデザインにマッチしたDVD用赤外線リモコン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000626/ps2.htm
【6月22日】プレステ2用DVD赤外線リモコンがついに国内で販売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000622/ps2.htm
【プレイステーション2 関連記事リンク集】
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000221/ps2i.htm

(2000年12月8日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]

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