PS2、デジタル家電に足らないものはチップセット供給で対応する
株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (以下SCEI) の開発研究本部 本部長を務める岡本伸一氏は、幕張で開催中のCEATEC JAPAN 2000会場でセミナーを開催し、プレイステーション2 (以下PS2) の今後の家電構想に関する講演を行なった。 岡本氏はまず、PS2が新しいカテゴリの製品としては立ち上がりが早い点をPCやCDプレーヤー、ウォークマンなどと比較しながら説明。PS2が“DVD-Video”、“PS2”、“PS”という3種類のコンテンツを再生できる点を指摘し、「3種類のコンテンツを再生できることで初期の段階で爆発的に売れたのではないか。同時発売のPS2用ソフトだけではこれほど早く立ち上げられなかった」とコメント。国内でのビジネス立ち上げの指標といわれる“300万台”を早期に達成することを目標とし、新しいカテゴリの商品の立ち上げに関し、ユーザーの理解とポジティブスパイラルが重要であるとした (全世界規模のビジネスの指標としては日米欧で500万台とされている)。 ここで、PS2のゲーム制作に関する技術的な説明がされた。これはシステム構成や役割に関する説明だが、中でも重要なものとしてIPUの説明があった。IPUはハードウェアによるMPEG-2デコードを担当しており、PS2ではテクスチャデータのデコードにも利用されている。岡本氏はIPUを持っていることを重要視し「通常ゲームで使っているジオメトリ変換やワールドシミュレーションといった部分でブラウザ、TCP/IPプロトコルスタックといったことをやれば、インターネットやマルチメディア関連のどんなことでもできる」とし、「PS2の設計は4~5年前から開始されており、インターネットが一般に浸透し始めた時期で未来予測的な部分もあったが、ゲームだけでなくそういった分野まで視野に入れて設計している」と語った。
デジタル家電に関しては、今後も広がることを予測し、その入り口としてインターネットをPS2の第4のコンテンツとし取り組むことを明言した。その上で、ハードディスクレコーダやインターネットアクセスデバイスといったデジタル家電との差分を検証。
これらのデジタル家電とPS2の差を検証した上で、PS2はデジタル家電の機能をほとんどソフトウェアで解決できるとし、周辺機器を含め今後自社ブランドや他社から続々と商品化していくという。衛星からデータを取り込むといった点に関してはチューナがないため、コスト的に不利だが、インターネットを通じたホームゲートウェイとしての役割は十分果たせるし、挑戦していくと述べた。 (2000年10月6日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp] |
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