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ICの発明者、ジャック・キルビー氏来日講演

ジャック・キルビー氏 IC発明当時
9月28日 開催



最初のIC '60年代の象徴として切手になったIC

 '58年に米TIでICを発明したジャック・キルビー氏が来日し、プレス向けに講演を行なった。

 キルビー氏は現在もTIの顧問を務めており、同社の研究開発戦略についての発表会に列席したもの。壇上に立ったキルビー氏はゆっくりながらはっきりとした口調で語った。

 「40年前にICを発明したときは、たくさんの調査を行ない、深く熟考した結果、このアイデアが浮かびました。ある意味シンプルなソリューションでした。それは当時目指されていた方向とは異なり、製品化までにはさまざまな障壁がありましたが、ICは世界を変えると信じる人々からのはげましによって、それを乗り越えることができました 。最初の第一歩を踏み出すことは、小石を池に投げ込むようなことです。40年たって波紋は広がり、当時考えていなかったほどの変化をもたらしました」と述べた。

 また、「成田ではみながiモードなどでコミュニケーションしているのを見ました。すべての人々が、インターネット、Eメールなどに依存するようになっています。また、日本ほどインターネットを生活に取り入れている国はないでしょう。この40年間、何度も来日しましたが失望を感じたことはありません。日本はICの発明以来40年の歩みにとって重要な役割を果たしたと思います」と、日本についての感想を述べ、高齢('23年生まれ)を感じさせない好奇心の強さが伺われた。

 質疑応答の場でもキルビー氏は、積極的にコメントを行なった。

 IC製造のための基本的特許であり、TIに常に特許収入をもたらし続けた、いわゆる“キルビー特許”の期限切れ(2001年)についても「キルビー特許の期限切れは大した問題ではありません、それは40年も前の発明であり、国によってはすでに期限切れを迎えています。また、根本の特許が切れても製造プロセスなどの周辺の特許は生き続けています。また、今後もキルビー特許のような大きなパテントは出ないかもしれないが、常にパテントは生み出されつつあり、TIの特許収入がとだえることはありません」と述べた。

 また、エレクトロニクス業界における日本の地盤沈下とその対策という質問には、「この業界では、市場の規模や状況は常に変化します。'80年代は日本が栄え、我々は苦しみました。TIがDSPとアナログデバイスへの集中というリストラクチャリングによって専門化を果たしたように、日本も全方位で戦うのではなく、得意とするコンシューマエレクトロニクス製品への集中が近道でしょう」と語った。

 なお、TIではキルビー氏を記念してシリコンチップ製造の研究開発施設「キルビー・センター」を'97年9月に開設している。

講演のもよう。MPEG-1形式、約1.3MB、15秒

□日本TIのホームページ
http://www.tij.co.jp/
□TI技術列伝
http://www.tij.co.jp/recruit/company/history.htm

(2000年9月27日)

[Reported by date@impress.co.jp]

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