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MSX電遊ランド開催、西和彦氏がMSXの公式エミュレータ提供を明言
──DreamcastでもMSX!?

開催日:8月20日

開催地:ヒロセ無線本社ビル5F(東京・秋葉原)


基調講演を待つ人々
 8月20日、東京・秋葉原のヒロセ無線本社ビル5Fにて、MSXのアマチュア作品の展示紹介や、販売を行なうイベント「MSX電遊ランド2000」が開催された。MSX電遊ランドは昨年も同じ場所、同時期に開催。'90年の「松下 F1-A1GT」を最後に、製造もされていないマシンの規格のイベントであったが、基調講演にアスキーの西和彦氏を招くなどして話題を呼び、2日間で2,000人以上集める大盛況のもとに幕を閉じた。

 今年の「MSX電遊ランド2000」にも、アスキー副会長 西和彦氏、同メディア技術開発室 室長 山下良蔵氏というMSX規格の立役者2人の基調講演が行なわれ、国内はもとより海外からも数多くのMSXユーザーが集まった。



西和彦氏、MSXエミュレータ開発を表明、1チップMSXも視野に

アスキー副会長 西和彦氏
 講演会場に、司会者が紹介するよりも先に西氏が登場してしまうと、満場の拍手をもって迎えられた。そして、冒頭に「まず最初に結論から」ということで、これからのMSXの展開を語りはじめた。

 「2001年にMSXエミュレータをWindows、Mac OS、UNIX上で提供」、「2002年にMSXの1チップ化」、「2003年に1チップMSXを使ったポータブル、ノートPCに加え、携帯電話への搭載、また冷蔵庫など家電への組み込み」と、今後はMSXを積極的に展開していくことが明らかになった。

 MSXエミュレータについては「開発は進んでおり、年明けには公開できるだろう。これをインターネットや、雑誌の付録CD-ROMなどに入れてガンガン配る。それが、MSX用のソフトをよみがえらせる足がかりとなるだろう」とした。

 さらに1チップMSXに関しては「現在の製造技術を用いてMSXを1チップ化すれば、動作クロック100MHz(オリジナルMSXは4MHz)も目指せる」と大幅な高速化が可能なことを強調。また、「1チップMSXを使ってノートPCを作れば、9,800円でできる」という。

 今回発表されたMSXの積極的な展開について西氏は、「実は去年このイベントで講演するまで、MSXはとっくにあきらめていた。しかし、昨年のイベントに参加してから、この1年よく考えた。その回答がこの内容だ」と、ユーザーに突き動かされる形で、MSXを復活計画を考えたことを明かした。



MSXエミュレータはマルチプラットフォーム対応

アスキー
メディア技術開発室
室長 山下良蔵氏
 西氏の講演後、MSXエミュレータの担当者に伺ったところ「Windows版、Dreamcast版のエミュレータは年内には公開できそう。公開方法などの詳細は未定だが、基本的には無償で公開予定」とのことだ。なお、エミュレータの動作環境は、アスキーとイギリスのTao Systemsが共同開発しているマルチプラットフォーム環境「intent」(インテント)上という。

 山下氏が基調講演で行なった解説によれば、intentはリアルタイムOS「Elate OS(イレート)」、Personal Java環境「intent Java Technology Edition」、2D、3Dグラフィックやサウンドなどライブラリ「Multimedia Toolkit」、公開鍵暗号システム「Tumbler」で構成される。

 実際には、ハードウェア上で動くWindowsやLinuxなどのホストOSの上にElate OSが載り、その上でElate用のアプリケーションが動く。動作イメージはJavaなどの仮想マシンに近いが、Elate OSは仮想プロセッサ「VPアキテクチャ」を採用しており、すべてのElate OS上で実行されるアプリケーション(アセンブリや、Javaなど)は、最初に独自のVPコードに変換される。そして、このVPコードロード時、リアルタイムにリアルCPUのネーティブコードにトランスレートされて、実行されることになる。これにより、リアルCPUのネィティブコードと遜色ない実行速度を実現できたという。

 「これだけ話すと、たいていの場合、“またか”、“眉唾モノだ”という顔をされるが、Tao Systemsの技術力は非常に高い。今時珍しくElate OSは、ほとんどアセンブリで書かれている。とはいうものの私自身も、現在のC言語コンパイラより、アセンブリで書いた方が最終的なバイナリの容量が少なくなるというのは半信半疑だったが、実際にできたものは小さく、速かった」という。なお、基調講演中に、Windows上でintentのデモストレーションが行なわれたが、かなり軽快に動作していた。

 以上のことからわかるように、intent用のプログラムは、バイナリレベルで互換性があり、Windowsであれ、Dreamcastであれ、Linuxであれ、intent環境があれば、まったく同じファイルを実行できる。また、「intentは高速なJava実行環境としても注目されており、昨年10月にモトローラからintent搭載携帯電話が発表された」という。

 ただし、このintentがどういった形で提供されるかは未定で、「単体パッケージでの販売よりは、携帯電話などへの組み込みがメインになるだろう」とした。なお、MSXエミュレータに関しては、なんらかの形でエミュレータの実行環境であるintentを含んで提供される予定。

 ちなみに、Amigaもintent上へ移行する事が明らかにされている。これは今回発表されたMSXエミュレータのように、intent上でAmigaエミュレータが動くというアプローチではなく、従来の主要なAmiga用アプリケーションをintentに移植。さらに今後新たに開発するすべてのAmiga用アプリケーション(正確にいえばintent用アプリケーションとなる)を、intent上で動くようにするというもの。つまり「New Amiga=intent」という形を目指しているようだ。

intent環境のデモストレーション



会場内の展示品

MSX版「ONE〜輝く季節へ〜」
今回の展示品の中で最も注目といえば、TacticsのWindowsゲーム「ONE〜輝く季節へ〜」のMSX移植版だ。
 レジャーソフトがMSX版の版権をとり、開発をユーザーグループが立ち上げた「MSX版『ONE〜輝く季節へ〜』制作委員会」に委託するという非常に変わった手法がとられている。このため、もし移植自体が順調に進んだとしても、レジャーソフトがビジネスとして採算がとれないと判断すると、世に出ない可能性もある。

 なお、詳細はMSX版「ONE〜輝く季節へ〜」制作委員会のホームページをご覧いただきたい

プログラムについては完全に新しく書き起こし、グラフィックはWindows版のグラフィックをコンバートした後、修正を加える。上の写真がほぼ製品版に近いグラフィックとのことだ。解像度が低いのは仕方のないところだが、全体の雰囲気はかなりWindows版に近い。

 なおScreenモードは5,8,12を場面に応じて使い分けている

会場内ではWindows版、プレイステーション版、MSX版の3種類が比較されていた。なお、MSX版はCD-ROMにFDD版とHDD版の2種類が収められる予定。FDD版は2DDで40〜50枚になりそうとのこと。価格は5,000円台を目指しているという。

Programmable Logic Device(PLD)を使用したPSG、SCC音源とメガROMカード 同じくPLDを使用したMSXのVDP互換カード。わざわざRGBをコンポジット、S出力にも変換しているところがMSXらしい?
 似非職人工房では、将来的にPLDを使ってMSX自体を復元したいとしている
こちらはスペインのZ380搭載MSXアクセラレータカード。残念ながら実物は見られなかったので、カタログだけご紹介。

こういったものがいろんな国で作られていることからも、MSXがワールドワイドで展開されていたことがわかる

MSX用10Base-Tカード MSX用日立H8搭載CPUカード。CPUだけでなくSRAMやA/Dコンバータやシリアル端子なども装備して、ほとんど1ボートマイコン。高速シリアルカードや、MIDIインターフェイス、サンプラとしても活用できる。価格は12,000円

あえてMSXで、携帯ゲーム機のようなゲームを作っている。その名も「GAME OVER COLOR」……。パッケージもそれらしくできている

□「MSX電遊ランド2000」公式ホームページ
http://www.msxmagazine.com/denyu2000/
□Tao Systemsのホームページ(英文)
http://www.tao-group.com/
□Elateのホームページ
http://www.ascii.co.jp/tao/
□MSX版「ONE〜輝く季節へ〜」制作委員会のホームページ
http://www.akari-house.net/one-msx/
□関連記事
【'99年8月23日】「MSX電遊ランド」開催 ──西和彦氏、MSXを大いに語る
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990823/msx.htm

(2000年8月21日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]

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