立教大学、ビル・ゲイツ氏に名誉博士学位授与 |
立教大学は米Microsoftの会長、ビル・ゲイツ氏に名誉博士号を授与、16日に立教大学にて授与式を執り行なった。同大学の名誉博士号(Doctor of Humanities)は「文化の向上または人類の幸福のために顕著な貢献をした外国人」に与えられるもので、これまでにライシャワー駐日米国大使をはじめとした49人に授与しており、ゲイツ氏は50人目にあたる。
授与式後にはゲイツ氏の特別講演「ビル・ゲイツからのメッセージ~21世紀を担う若者たちへ~」が行なわれた。ゲイツ氏は、現在の大きな変革の時期において、家庭やビジネスがどう変わるかを説明。「ビジネスの世界ではペーパーレスやデジタルダッシュボードが実現し、家庭ではパーソナルWebTVや目を見張るようなゲームが現実のものとなる。今話していることはSFに聞こえるかもしれないが、実際に研究開発されている内容で、これから20年間の間に抜本的な変革が行なわれる」と力説した。
また教育問題に関しても「学生が活き活きと勉強しているのを見てうれしく思っているが、すべての学生達がパソコンにアクセスできるわけではない。すべての学生が情報にアクセスできるようにしたいと思っている」と語り、米国の学校や図書館にPCを導入することに積極的であることを強調。一方で、「日本の教育現場におけるパソコンの利用について、まだまだ普及していないことに驚いている」と米国の学校と日本の教育現場との違いについて述べた。
講演会の最後には学生との質疑応答が行なわれた。質問の中にはユニークなものもあり「ゲイツ氏のお子さんが学校を辞めて社長になると言ったらどう対処するか?」といった質問には「私の両親は、私が成功するとは思っていなかったようだ。だが、失敗したところで大きな損失がないと判断してからは、私のことを認め、励ましてくれた。私も両親と同じく励ましていきたい」とコメント。また、「一番大きな失敗は?」という質問には「私はこれまで多くの失敗をしてきた。たとえば、以前手がけたOS/2はおそろしい経験だった。だが、あの経験は今思えば体験してよかったと思う。これからも危機を機会に変えていきたい」と語った。
このほか、1日にどの程度の分量のメールを受けているのかといった質問に「200から300通程度だろうか。だいたいは営業報告などで返答の必要はないが、そのなかの20通程度は返答が必要なものだ。例えば技術的な意見の相違を仲介して欲しいといったものなどだ」と答え、日頃どのようなメールがやり取りされているのかが伺いしれるコメントも飛び出した。
学位の授与について「私は大学を卒業していないので、(授与で)両親は喜ぶだろう」とにこやかに語っていた。今回の質疑応答は学生によるもので事前登録制だったこともあり、いつもの記者からの厳しい質問を受ける必要がなく、気が楽だったのか終始にこやかな笑顔が印象的だった。
総長から学位記を受け取るビル・ゲイツ氏 | 学位章フードをかけてもらうゲイツ氏。よほどうれしいのか、クルッとターンしてこちらを向いてしまうほど | 時代の変革期であることを強調するゲイツ氏 |
学生の質問ににこやかに答えるゲイツ氏 | 学生からもらった花束を手に総長と握手 |
(2000年6月16日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp / Photo by 若林直樹(STUDIO海童)]
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