マイクロソフト、電子政府へのオープンソースソフト採用について見解を発表 ~「GPLはソフトウェア産業育成を制限」と主張
11月27日発表
マイクロソフト株式会社は27日、電子政府においてオープンソースソフトウェア(OSS)推奨・採用の動きが広がっていることについて、方針と見解を発表した。この中で同社は、OSSを否定しないとしながらも電子政府実現におけるWindowsの優位性を主張、また、「GPL(General Public License)」に対する批判を展開した。
発表では、個別契約に基づきWindowsのソースコードを公開する「シェアードソースイニシアチブ」を日本においても政府・自治体向けに展開するとし、Windowsに関する情報公開を実施しているとした。また、OSSが優位とされるセキュリティ、コストについての見解も述べた。
セキュリティ面については、OSSでも商用ソフト同様にセキュリティ警告があること、同社が「Trustworthy Computing」構想を推進し、製品のセキュリティ強化に務めていること、Windows 2000がISO 15408のセキュリティ評価共通基準認定を取得していることをあげ、Windowsが優位であると主張した。
コスト面では、製品そのもののコストだけでなく、システム構築、運用などのコストを総合して考慮すべきとし、OSSでは商用ソフトよりも費用がかかる場合があるとした。
さらに、OSSでよく利用されるライセンス「GPL」にも言及。GPL適用ソフトウェアの派生物にもGPLが適用され、ソースコード公開や、ソフトウェアの価格請求をしないなどの義務を負うことになるが、こうした条件を「ソフトウェアに対する知的財産権を否定するもの」と批判、「知的財産戦略大綱がだされ、日本を知的財産立国にしようとしているときGPLはこれに逆行する」とし、GPLが「国内のソフトウェア産業の育成を制限する可能性を秘めている」との考えを表した。
ここ数年、電子政府・電子自治体の構築において、OSSを推奨し、Windowsからの転換を進める動きが全世界で広がっている。日本では政府内のOSの大半をWindowsが占めるが、16日付け朝日新聞が「電子政府の基本ソフト、脱ウィンドウズへ」と題し、政府内でOSSへ転換していく動きがあることを報じた。また、24日付北海道新聞は、道庁がOSSへ転換する方針を固めたことを報じている。今回の発表は、こうした動きを牽制する意図と見られる。
□マイクロソフトのホームページ
(11月27日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.microsoft.com/japan/
□三菱総合研究所の「オープンソースと政府」
http://oss.mri.co.jp/
□関連記事
【7月27日】英政府、独・ノルウェーに続きオープンソース化宣言
(Internet)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/0726/uk.htm
(2002年11月27日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]
PC Watch編集部
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