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日本IBM、新戦略“Thinkストラテジー”を発表
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オートノミックコンピューティングは、自己構成、自己修復、自己最適化、自己防衛の4つの要素から構成される |
オートノミックコンピューティングは、「プロジェクトイライザ」の名称で呼ばれていたもので、同社がメインフレームやサーバー製品で、すでに採用している考え方。また、今年に入ってからは、ソフト製品群にもこの考え方を応用し、先頃発表されたノーツ/ドミノ6は、旧ロータス製品として初めてオートノミックコンピューティングの考え方を採用した製品となっている。
オートノミックコンピューティングは、自己構成(Self-Configuring)、自己修復(Self-Healing)、自己最適化(Self-Optimizing)、自己防衛(Self-Protecting)の4つの要素から構成され、基本的には、人手をかけずにコンピューティング環境の運用/管理を可能とする考え方といえる。
BP&システム・PC製品事業担当 橋本孝之取締役 |
日本IBMのBP&システム・PC製品事業担当の橋本孝之取締役は、「企業における総ITコストの80%は運用、管理、保守費用となっており、ハードやソフトの導入価格はわずか20%。パソコン単体の価格が安くても、導入後のコストが高いままではTCO(Total Cost of Ownership)の削減にはつながらない。」
「IBMは、パソコン単体での事業を行なっているのではなく、トータルソリューションを提供する中でのエンドデバイスとしてクライアントPCを位置づけている。クライアントPC単体のコストパフォーマンスを追求するDell Computerなどとは、事業の軸足が大きく異なり、同じ土俵で戦うものではないことを明確にした。クライアントPCにおけるゲームプランを変えることができる考え方が“Think Vantage”だ」と話した。
Think Vantageでは、「オートノミックコンピューティング時代にフォーカスした、IBMの考える、TCO削減を実現する新しいクライアントPC技術」と位置づけており、オートノミックコンピューティングを実現するソフト技術と、エルゴノミクスデザインのキーボードの採用や、連続稼働が可能な堅牢性、信頼性といった点での製品デザインの2つの要素から構成されるとした。
Autonomicを実現する“Think Vantage” |
すでに、ソフト技術では、既存のパソコンのユーザー設定やネットワーク設定、メールやデータなどを新たなPCへ容易に移行できる「SystemMigrationAssistant」、障害発生時にあらかじめ設定しておいた状態にハードディスクの内容を復旧できる「RapidRestorePC」、有線、無線あるいは自宅、オフィス、外出先などの複数のネットワーク環境の設定管理を容易にする「Access Connections」、クリックひとつで必要な情報が呼び出せるオンラインヘルプ機能の「Access IBM」などを搭載。
また、「Image Ultra Builder」、「IBM Client Rescue and Recovery」、「IBM DWSA(Distributed Wireless Security Auditor)」などのソフトも順次投入していく予定。
これらによって、クライアントPC導入後のTCO削減を実現できるとしている。
デスクトップPCやディスプレイも含め“Think”ブランドに統一 |
一方、発売10周年を迎えたThinkPadを軸に、ブランド戦略を一新。新たに「The IBM Think Family of Offering」製品群とした。ノートパソコンのThinkPadのブランド名はそのままだが、デスクトップパソコンのNetVistaを、「ThinkCentre」にリブランディング。また、TFT液晶ディスプレイ製品を「ThinkVision」の新たな名称に変更したほか、アクセサリーおよびサービスを「Think Accessary and Service」として、液晶プロジェクターやマウスなどをここに集約した。
ThinkCentreおよびThinkVisionブランドの製品は、来年第2四半期(4月~6月)以降に出荷される予定であり、来年秋頃までは現行ブランドと新ブランドの製品が並行販売されることになるという。
今回の記者会見では、本日正式発売となったTablet PCについて、日本IBMが参加していないことにも質問が及んだ。橋本取締役は、「IBMのクライアントPC事業の中で、やる必要性があればやりたい。だが、現時点では、検討中。IBMが直接やるという方向に加えて、テクノロジーパートナーとして、技術を提供することでこの分野に参入するという考え方もある」として、すぐに参入する意思がないことを示した。
また、ソニーが法人向けパソコン市場に参入することを明らかにした点については、「コンシューマとコマーシャルはネットワーク対応力や、ソリューション対応力が求められこと、連続稼働時間が個人向けパソコンに比べて圧倒的に長いことなど、求められる製品デザインが違う。そうした意味で、個人向けとは違うものが求められ、難しい市場だ」として、ソニーの法人市場参入を牽制した。
□日本IBMのホームページ
http://www.ibm.com/jp/
□ニュースリリース
http://www.ibm.com/news/jp/2002/11/11072.html
(2002年11月7日)
[Reported by 大河原克行]
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