最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】

【Watch記事検索】

JEITA、上期の国内パソコン出荷は10%減に
~2002年度出荷見通しを1,000万台強へと下方修正

JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会 篠崎雅継委員長

10月29日発表



 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2002年度上期(4~9月)のパソコン出荷統計を発表、国内のパソコン出荷実績が、前年同期比10%減の455万5,000台、金額ベースでは、前年同期比7%減の7,743億円となった。

 同協会では、上期から台数ベースで2桁台のマイナス成長になったことを受けて、今年度のパソコン出荷見通しを、年度初めに打ち出した1,110万台(前年比4%増)から下方修正、「最低でも1,000万台(前年比6%減)には到達するが、1,000万台プラスアルファ程度になる」(JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会 篠崎雅継委員長)とした。

平成14年度上半期総出荷実績

 上期実績を振り返ると、企業におけるパソコン需要の低迷ぷりが顕著であるのに加えて、個人向けパソコンが第1四半期(4~6月)にワールドカップの影響を受けて、消費が冷え込んだことが、出荷台数の低迷として表れている。

 第2四半期は前年同期比6%減の212万6,000台と、第1四半期の前年比13%減に比べると回復しているが、依然として前年割れからは脱出していない。これで、3半期連続での2桁台のマイナス成長という厳しい市場環境が続くことになった。

 しかし、今後の見通しについては、やや明るい兆しが見えている。

 今年冬モデルが9月から10月にかけて主要パソコンメーカーから投入されたが、「現時点での初速を見る限り、好調な出足を見せている。好調な要因は分析しきれていないが、10月は前年同期実績を上回る可能性がある」(篠崎委員長)という。下方修正した見通しについても、下期は前年同期比3%減で推移すれば達成できることから、10月のコンシューマパソコンの出足の良さは、業界にとっても心強い要因のひとつといえる。

 さらに、来年度以降は、IT減税効果の期待や、個人向けパソコンのリサイクル法施行を前にした駆け込み需要といった点での期待もあり、プラス成長に転じる可能性もあるのではないか、との見通しも出ている。

 同協会では、今後の需要喚起のキーワードとして、企業向けには、1)大・中規模企業のリプレース促進、2)電子政府・電子自治体関連需要、3)中・小規模企業のIT投資マインドの拡大が見込めるとしたほか、個人向けには、1)アクティブシニア層、小中学生への普及、2)機種の多様化によるユーザー選択肢の広がり、3)ブロードバンドやネットコンテンツの充実、4)家庭での新しい用途提案、などに期待が集まっている。また、企業、個人の共通の要素として、1)街角でもネットを利用できるようにユビキタス時代の到来、2)モバイル/ワイヤレス、ブロードバンド化の進展、3)タブレットPCなどの新コンセプトマシンの登場、などをあげている。

●ノート比率過去最高、パソコン単価は大幅な下落

ノートパソコンの出荷比率は過去最高に

 今回発表した2002年度上期の動向のなかで注目されるのが、ノートパソコンの需要拡大と、パソコンの平均単価の下落だ。

 ノートパソコンに関しては、上期実績で257万5,000台(前年同期比6%減)となり、デスクトップパソコンの198万台(同14%減)と比較すると、構成比は57%に達し、半期ベースでは過去最高の出荷比率となった。

 「企業において、省スペースで片づけやすいノートパソコンが人気を博していること、家庭においても、ノートパソコンの大画面化によって需要が拡大したのが、比率が高まった要因」としている。

 一方、平均単価については、部材の値上がりなどを背景にして第1四半期はノートパソコンで18万3,000円、デスクトップパソコンで16万8,000円となっていたが、第2四半期は一転して下落傾向に転じ、ノートパソコンでは17万1,000円と、わずか3カ月で1万2,000円も下落。また、デスクトップパソコンは、15万2,000円と1万6,000円も下落し、過去最低の平均単価となった。

 同協会では、「部材価格が安定していること、円も大きなブレがないと見込まれること。さらに、高機能モデルの需要が高まっていることなどから、第3四半期もほぼ同等水準か、あるいは1%程度低い価格で推移することになるだろう。今後、大きく価格が下がることはない」と予測している。

●本格的な回復は来年度以降か?

 上期の出荷統計を見る限り、やや回復基調にあるものの、まだ完全な回復には時間がかかるというのが実感だ。

 上期は、コンシューマ向けでは前年同期比9%減と、ビジネス分野の11%減に比べると、回復が早いようだが、いずれにしろ、企業需要の回復が見込めない限り、国内のパソコン需要の回復は本格化しないといえるだろう。同協会でも、「需要が集中する年度末までは、企業需要の回復は厳しいだろう」と分析しており、来年度以降の本格回復を見込んでいるようだ。

□JEITAのホームページ
(10月29日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.jeita.or.jp/

(2002年10月29日)

[Reported by 大河原 克行]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.