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シャープ、電子回路をガラス板上に形成する「CGシリコン技術」を公開
〜ガラスに定着したZ80をデモ

CPUやコントロールICなどが形成されたシステム液晶基板

10月22日発表



 シャープ株式会社は22日、株式会社半導体エネルギー研究所と共同開発した、ガラス板にCPUなどを形成できるCGシリコン技術を発表した。

 CGシリコン(Continuous Grain Silicon)は、液晶ディスプレイのガラス基板上に、液晶制御回路や電源回路、入出力インターフェイスなどのLSIを組み込める、次世代デバイス「システム液晶」の主要技術。

 Continuousという名前が示すとおり、結晶粒界で原子レベルの“連続性”を持ち、電子の移動度がアモルファスシリコンと比べて600倍、多結晶シリコンに比べて3倍と高速なのが特徴。そのため、従来LSIとして組み込まれていた様々な回路を、液晶ガラス上に実装することが可能なため、製品の小型・軽量・低消費電力化が可能になるという。すでに表示デバイスなどが実装されたシステム液晶は実用化されている。

 今回の発表は、このCGシリコン技術を応用し、世界で初めてガラス基板上にCPUを形成することに成功したというもの。従来は、ガラスに含まれるナトリウムや、ガラス自体の耐熱性の問題があり、実現できなかったという。

 形成されたのは往年の8bit CPU「Z80」と同等のもので、3MHzのクロックで動作する。製造プロセスルールは3μm。この技術を応用することにより、シート型パソコンやシート型テレビなどの実用化も可能になるとしている。

 会場では、20年以上前に発売された同社のパソコン「MZ-80C」のCPUを、ガラス基板のCPUに載せ替えて、実際に動作させるデモを行なっていた。

ガラス基板に形成されたZ80 会場に展示された「MZ-80C」。CPUをガラス基板のZ80に換装して動作させていた
CGシリコンは電子移動度が極めて高い システム液晶により集積される回路類 システム液晶技術のロードマップ

 また、2005年までのシステム液晶技術のロードマップも公開された。それによると、2003年にはCPUのクロックは5MHz(1.5μm)、2005年には20〜30MHz(0.8μm)のものが可能になるとしている。しかし、CPUの実装については、必要であるかどうかも含めて検討する必要があるとしており、実際にはコントロールIC、I/Oインターフェイス、ビデオ処理回路、通信機能などが徐々に実装されていくのが先になるという。

 また、これらのシステム液晶技術を使って、ユビキタスネットワークを実現するデバイスとして、「ディスプレイカード」という概念も説明された。ディスプレイカードは、2型〜7型の液晶ディスプレイを備えたデバイスで、BluetoothやIEEE 802.11bなどでの無線通信機能や、MPEG-2/4やMP3ファイルの再生機能を備えながら、厚さ3mm程度の、より小型・軽量なPDAのようなもの。会場にはシステム液晶を搭載したモックアップも展示された。

 発表会ではシャープ株式会社 代表取締役副社長 技術開発統轄 三坂重雄氏が挨拶し、「かねてから、ガラス基板上にLSIを形成するという理論は発表されていたが、今回ようやく発表することができた。従来のシリコンとは全く違った新しいプロセスを開発することにより、液晶ディスプレイの新たな応用展開が可能になるだろう」と述べた。

シャープ株式会社 代表取締役副社長 技術開発統轄 三坂重雄氏 株式会社半導体エネルギー研究所 代表取締役社長 山崎舜平氏

 続いて、シャープ株式会社 モバイル液晶事業本部本部長 片山幹雄氏がCGシリコンの技術概要について、「CGシリコン(CG-Si)は、従来のアモルファスシリコン(A-Si)、ポリシリコン(P-Si)にくらべて、結晶粒子が大きく、結晶同士の境界が連続的になる。境界線(Grain Boundary)が連続的になることにより、A-SiやP-Siにくらべて電子の移動度が非常に高くなる。そのため、CGシリコンを用いることによって、表示コントローラやLCD用インターフェイスだけでなく、CPUも集積可能になった」と解説した。

 最後に、株式会社半導体エネルギー研究所 代表取締役社長 山崎舜平氏が挨拶し、「従来、ガラスの上にLSIを形成するのは夢でしかなかったが、CGシリコンを利用することで、それが可能となった。ガラス基板では、シリコンウェハに比べて10倍近い面積を利用することも可能なため、CPUだけでなく、いろいろな機能を持たせることができる。また、シリコンウェアの製造には高価な機材が必要だが、ガラス基板の場合は廉価な機械だけで実現でき、コスト的なメリットも大きい」などとコメントした。

 質疑応答では、「シート型のコンピュータが実現できるのはいつ頃になるか?」という質問がされたが、「公開したロードマップでは、2005年が一つの目安になっているが、当然その後もシステム液晶技術は進歩していくと考えている。今日はその開発のスタートを切ったところ」、「シリコンのLSIに追いつけるとは考えていない。その時点で可能な技術で、どういった応用展開が可能なのかを考えていくのが重要だ」と回答し、具体的な目処については明らかにされなかった。

 また、今回Z80をエミュレートしたことについては、「現時点で実現可能なものを選んだ結果、Z80になった。現在主流となっているものを今の技術で作るのは難しい。Z80そのものに意味があるとは思っていない」と説明した。

システム液晶が採用されたデジタルカメラのサンプル 同じくシステム液晶搭載の携帯電話

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/021022.html
□関連記事
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〜マルチレゾリューションに対応、今年10月より量産開始
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0424/sharp.htm

(2002年10月22日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]


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