塩田紳二のWindows .NET Server DevConレポート

間近にせまってきた.NET Serverのリリース
~MS版スマートフォン「Stinger」が展示される

実際に稼働しているWindows Powered Smartphone 2002搭載機。スティックやボタンを使って操作するため、GUIがPocket PCとは異なっている

9月3日(現地時間)



 9月3日より、米国ワシントン州シアトル市でMicrosoftの「Windows .NET Server DevCon」が開催されている。これは、次期サーバーOSとなるWindows .NET Server 2003や.NETについて開発者向けに行なうカンファレンスである(ちなみにDevConとはDeveloper's Conferenceの略)。

 会場となったのは、シアトルのダウンタウンにあるシェラトンホテルと、その隣のWashington State Convention Center。ほとんどのカンファレンスはシェラトンホテルで行なわれるのだが、人数の集まる基調講演やカンファレンスのみConvention Centerで行なわれる。会場の構成が変則的なのは、どうも予想以上に参加者があったせいらしい。本来の予定では、基調講演のみコンベンションセンターで、それ以外はすべてシェラトンホテルというどちらかというとこぢんまりとしたイベントだったのかもしれない(実際、昨年に同様の内容で開催されたProfessional Developer's Conferenceよりは小規模だ)。

■基調講演から技術者向け

 初日の基調講演は、.NET Server 2003の概要だが、DevConというだけあって、画面にプログラムコードを出してのスピーチである。Visual Studio .NETの画面を出して、その場でソースを編集して、サービスを動かして見せるといったデモは、開発現場かその近くにいるエンジニアでもなければ、はっきりいって何だかわからないだろう。

 Microsoftのような大手のイベントには、筆者のような報道関係だけでなく、いわゆるアナリストといった人たちも来る。彼らは、簡単にいえば、株価を予想するためにこうしたイベントに来るのだが、今回のDevConは、そういう人たちや、いわゆる経営、マーケティングといった非技術部門の人たちへの配慮のない、かなり技術中心のイベントである。今年4月に行なわれたWinHECでさえ、初日の基調講演はもっと一般向けだった。もっとも、同時期にロサンゼルスでWindows Media Player 9の発表が行なわれているので、そちらのほうに注目を集めたかったのかもしれない。

■展示会場には携帯電話版Windows CEも

 すでに.NET Server 2003はRC1の配布が行なわれており、特に製品関係の発表文は出ていないが、MSNやMicrosoft.comなど、同社のサイトのうちいくつかでASP.NETによる運用が開始されていることが公開された。ASP.NETは、従来のASP(Active Server Page:サーバー側で実行されるスクリプトを含むWWWページ記述システム。IISで多く利用されている)の.NET版で、.NET Serverに装備される予定のもの。Microsoftは自社のサイトですでに運用試験を行なっているというわけだ。

 小さいながら、展示会場もあり、Microsoft以外にNECやUnisys、HPなどが自社製品を展示していた。また、64bit版アプリケーションの展示コーナーもあった。

Unisysが開発中の32WayのItanium2マシンES7000 Model 130。プロセッサを2つの組にわけて完全に独立させ別々のOSなどを実行できる 同じく32wayのItanium2マシンであるNECのTX7/i9510(ASAMA)。こちらもプロセッサを含むハードウェアを最大8つに分割して独立して動作させることが可能。101ギガFLOPS(LINPACK HPC)という処理速度を持つ

 この会場で、Windows CEの携帯電話版(Windows Powered Smartphone 2002という名称だが、コードネームでStingerと呼ばれていたもの)の稼働する試作機が展示されていた。基調講演などで遠くから見ることはあったが、間近で動作しているものを見るのは初めて。試作機は、GSM用でARMプロセッサを採用、小さい画面ながら、ちゃんとWindows CEが動作する。年内にもヨーロッパで製品が登場する予定だという。

こちらは、PocketPC Mobile Editionを搭載した携帯電話一体型PDA。これは、すでに米国内でもT-Mobile(旧VoiceStream。ドイツテレコムの子会社)が採用を発表している

 また、OSとしては、現行のPocket PCと90%ぐらいの互換性があるという。大きな違いは、スティックや十字カーソルキーで操作するために、スタイラスを使うPocket PCとはGUIが違ってしまい、バイナリ的な互換性はあるものの、起動はするが操作ができないアプリケーションがでてきてしまう可能性があるらしい。また、内蔵のスケジューラーなどとPCの同期は、携帯電話のデータ通信を使ってMobile Infomation Server/Exchange経由で行なえるようだ。

 .NET Server 2003は、ASP.NETで、この携帯電話版のWindows CEをサポートする。携帯電話に搭載されたIEで、ASP.NETで作られたページを利用可能になるのである。

 会場のせいもあるだろうが、筆者の参加したどのカンファレンスもほぼ満員。間近にせまってきた.NET Serverのリリースを控え、開発者たちは本格的に対応を始めたようである。

□Microsoft Windows .NET Server DevConのホームページ
http://microsoft.com/misc/external/serverdevcon/

(2002年9月5日)

[Reported by 塩田紳二]

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