松下、2002年度第1四半期連結決算を発表
~ワールドカップ需要で黒字化に

川上徹也取締役

7月31日発表



 松下電器産業株式会社は31日、2002年度第1四半期連結決算を発表した。売上高では前年同期比5%増の1兆7,567億円、営業利益で前年同期比533億円増加の146億円、税引き前利益は393億円増加の181億円、当期純利益は237億円増加の43億円と、黒字化した。

 同社・川上徹也取締役は、「第1四半期が山であると見ていたが、売上増、利益増となり確かな手応えを得ている」と業績を自己評価、上期の業績予想を4月時点に比べて1,100億円増となる3兆5,700億円、営業利益では倍増となる400億円、税引き前利益では310億円増となる500億円、当期純利益は150億円増の170億円とした。しかし、松下電器・中村邦夫社長が社内に向けて、「窮地は脱したが、危機は続いている」と第1四半期の状況を説明したとされるように、厳しい市場環境であることを反映して、通期の予測値は変更しないままとした。

V商品の販売実績

 第1四半期の業績好調の要因として、川上取締役は、(1)ワールドカップ需要などに支えられ、テレビ、ビデオが順調な伸びを見せたこと、(2)「V商品」の増販が業績回復をけん引したこと、(3)前期の構造改革効果が赤字を吸収、売上増が収益に直結した-- ことなどをあげた。

 特に、V商品に関しては、「年間で1兆円の売上を見込んでいるが、第1四半期だけで2,011億円の売上を達成。上期中に88品目中約60品目が投入できる予定」として、V商品により収益拡大を加速する考えを示した。

 部門別の売上高では、AVCネットワークが前年同期比8%増の1兆289億円。内訳では、映像・音響機器はワールドカップ需要前のテレビ、ビデオが好調で、連結対象となる日本ビクターも第1四半期は黒字となり、19%増の4,667億円。情報・通信機器は、NTTドコモ向け携帯電話「P504i」の出荷の遅れなどが影響して1%増の5,622億円に留まった。第2四半期以降は、携帯電話の売り上げは上昇するだろうと見込んでいる。

 アプライアンスは、海外向けのエアコン、冷蔵庫、掃除機が堅調だったが、国内では昨年のリサイクル法施行に伴う特需の影響もあって3%減の2,883億円。「6月は国内のエアコン需要が低迷したが、7月は暑い日が続いており、前年並みまで盛り返している」と第2四半期以降の拡大を期待している。

 インダストリアル・イクイップメントは、8%減の662億円。企業の設備投資の抑制が続いており、FA機器の低迷が続いている状況だという。

 デバイスは、5%増の3,733億円。アジア・中国を中心に一般電子部品、半導体、コンプレッサが増収となっているという。

 業績は回復傾向にあるが、ソニーがハードウェアで大幅な増収を見せていること、三洋電機、シャープなども好業績をあげていることから、松下電器の今回の業績を手放しでは評価できないという声があるのも事実。川上取締役も、「緊迫感をもった経営を続けていきたい」と手綱を締めている。

 しかし、昨年、手を打った構造改革が着実に成果をあげていることは評価できるだろう。

□松下電器のホームページ
(7月31日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.matsushita.co.jp/

(2002年7月31日)

[Reported by 大河原 克行]

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