オプトウェア、最大1TBの記録容量を実現する「テラバイト光ディスクシステム」

ホログラム光ディスクシステム評価装置「T-VRD」

7月16日



 株式会社オプトウェアは、光産業技術の総合展示会「InterOpto'02」において、12cm CDサイズのディスクに1TB(テラバイト)の容量を書き込むことが可能な光ディスク技術「テラバイト光ディスクシステム」を発表した。

 従来から研究されている「ホログラムシステム」を応用して開発されたシステム。従来型のホログラム方式では小型化やコスト、DVDなど既存メディアとの互換性などに問題があった。今回発表された技術では、同社独自の「偏光コリニアホログラム技術」などを用いることにより、これらの弱点を克服したという。

 ホログラム技術は従来、2つの対物レンズを使用して別々の「参照光」、「信号光」を照射する必要があった。偏光コリニアホログラム技術ではこれらを1つの対物レンズから照射可能にすることで省スペース、コストダウンを実現するという。また、DVDやCDメディアとの互換性も維持できるとしている。

CDドライブなどとのデータ記録方法の違い テラバイトディスクへの記録のしくみ

 テラバイトディスクメディアの構造は体積ホログラム録素材をガラス製のディスク基板で挟み、プリフォーマットされた反射層が片面に貼られているもの。将来的にはガラスではなく、プラスチック製のディスク基板が使用される予定という。また、当初はライトワンスのメディアが提供されるが、将来的にはリライタブルなメディアも提供できるという。

 データ記録時には、この反射層に対して信号光と参照光を照射し、反射した参照光と情報光が体積ホログラム素材内で干渉しあって発生する干渉縞にデータを記録する。

 読み取り時は参照光のみを照射し、体積記録素材に記録されたホログラムを読みとるしくみ。

 従来のDVDやCDドライブでは、単一のレーザー光を使用して読み書きを行なっているが、ホログラム技術では、多数の細い光の束を使用する。また、従来はデータをビット単位で平面的に記録していたが、ホログラム記録ではページデータとして立体的な体積ホログラム層に記録することができる。

 そのため、ホログラムを使用したディスクメディアでは、直径500μmのホログラム内に3万bitのデータを書き込むことが可能。それぞれのホログラムが重なり合いながら存在可能なため、大容量化に適しているとしている。また、従来のDVD/CDドライブのピックアップでは、一度に1bitしかデータ転送ができなかったが、ホログラム方式では一度に3万bitのデータを読み書きできるため、データ転送速度も大幅に向上し、100Mbps~1Gbpsでのデータ転送が可能になるという。

 InterOpt会場にはテラバイト光ディスクシステムの評価装置「T-VRD」が展示され、デモが行なわれた。同社では、当初はテレビ局や政府機関での導入を見込んでいるとしており、2003年末には19インチラックマウント型システムの提供、2005年にはドライブ本体をさらに小型化し、コンシューマ製品としてホームサーバーやPC市場向けに展開するとしている。

T-VRDのドライブ部分 ドライブを開けたところ。メディアはカートリッジに納められている 各社から対応ディスクが展示された

実際にホログラム記録されたメディア こちらは未使用のメディア。記録面は鏡のように高い反射率を持つ



代表取締役会長兼CEO 青木芳夫氏

 発表会場では、代表取締役会長兼CEOの青木芳夫氏が挨拶し、「現在通信業界では、毎秒1TBものデータも送信可能になってきている。これは2時間程度の映画を0.1秒程度で転送可能にするものだ。だが、大容量データが瞬時にやり取りできるようになると、そのデータを保存するストレージ側にも大容量かつ高速な転送速度をもったメディアが必要になる」と、テラバイト光ディスクシステムの必要性を述べた。

 「従来のCDやDVDドライブでは、対物レンズのNA値を上げ、レーザーの波長を下げることで記録密度の精度を上げてきた。だがこのやり方ではすでに限界が見えている」とも語り、ホログラムを使用したディスクシステムは従来方式とはまったく異なるシステムであることを強調した。


□オプトウェアのホームページ
(7月16日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.optware.co.jp/ja/main.html

(2002年7月16日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

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