WECA、無線LANに関する記者説明会を開催
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会場で公開されたWi-Fiの新ロゴ |
7月4日発表
WECA(Wireless Ethernet Compatibility Aliance)は、現在幕張で開催されているイベント「NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO」において、記者説明会を開催した。
WECAは、IEEE 802.11規格準拠のLAN機器間の相互接続性を検証するため'99年に設立された団体で、相互接続性が確認された機器について「Wi-Fi」認定を行なっている。
デニス・イートン氏 |
説明会にはWECA会長を務めるデニス・イートン氏(Intersil 市場戦略マネージャ)が出席し、無線LAN機器の現状や将来展望について語った。
同氏はまずWi-Fi認定の意義について解説し、「Wi-Fi認定はシームレスな機器間の相互接続性を保証し、消費者が安心して製品を購入できる指標となるもの」と述べた。
Wi-Fi機器は、昨今のPC市場の低迷にも関わらず、昨年末から好調な売れ行きを示しているという。中でもアジア市場の拡大は顕著で、アジアの無線LAN機器メーカーのWECA加盟率で見ると、一昨年の世界比率では、25%程度であったのにくらべ、昨年は45%にも拡大するなど、高い伸び率を示しているという。
それにあわせ、アジア地区での認定業務を行なうラボを東京およびシンガポールへ新設し、7月1日より業務を開始していることを発表した。従来の認定テストは、米国カリフォルニア、英国ロンドンのみで実施されていたが、今回のラボ新設により、アジア地区でも、より円滑な認定業務が可能になるという。
また、今回新たにWi-Fi認定の新ロゴとして「Wi-Fi CERTIFIED」が公開されたほか、現在検討中の性能ラベルも公開された。性能ラベルはWi-Fiロゴとの併用が検討されいるもので、どのような認定をされた製品であるのかをひと目で知ることができるほか、製品個別のID番号が付与され、IDから製品の情報を検索することができるようになるという。
性能ラベルの一案 | 性能ラベルの表記位置 |
イートン氏はWi-Fi機器の多様化についても触れ、「無線LANが普及し始めた当初は、Wi-Fi認定機器のほとんどがアクセスポイントかPCカードタイプの無線LANカードであった。ところが現在では、ADSLモデムなどと組み合わせた、家庭用ゲートウェイ製品への組込やminiPCIカード、USBクライアントなど、さまざまな機器への認定が進んでおり、非常に多様化している」と述べた。
今後のWi-Fi認定製品の出荷数の見通しについては、「現在無線LAN機器はビジネス市場が中心となっているが、2005年には家庭内市場への出荷がビジネス市場を上回る」としている。
最近注目を集める無線LANを使用したホットスポットについても、今後の見通しが語られた。「現在の(ホットスポット)市場は未成熟。だが、これは携帯電話の普及前と同じ状況で、成長の前には必ずローミングや課金の問題を解決しなければならない。また、現状では小規模な企業が隙間産業のような形で数多く事業を展開し、ビジネスモデルの乱立がユーザーを混乱させているともいえる。だが、ここへ来て大手通信業者も市場参入の動きを見せており、今後はこれらの問題も解決し、市場を統一化しようという動きも出てくるだろう」、「現在のホットスポット設置数では欧米がトップとなっているが、2005年にはアジアが最大の市場となり、世界中に12,000カ所以上のホットスポットが設置されるだろう」と説明された。
ホットスポットの主な設置場所。喫茶店やホテルでの設置がメインになるという | 各地域別のホットスポット数。現在は欧米が中心だが2005年にはアジア地域で急増するという |
引き続き、ソニー株式会社 ホームネットワークカンパニー ネットワーク担当部長の富樫 浩氏がWi-Fi機器のセキュリティと802.11a機器への取り組みについて解説した。
ソニー株式会社 ホームネットワークカンパニー ネットワーク担当部長 富樫 浩氏 |
「昨年からWEPの脆弱性が指摘されている。ある程度の知識があれば簡単に解析できてしまうことが証明されてしまった。現在は、この問題の解決に向けて業界全体で全力を尽くしているところだ。ただ、現状ではWEPを使用することにより、ある程度のセキュリティ確保は可能で、オフにしているよりはオンにして使用したほうがよい」と説明した。
WECAとしては、大企業ではVPNやRADIUS、IEEE 802.1xなどでのセキュリティ対策を推奨するほか、ホットスポットなど公共アクセスの場ではWEPを使用せず、VPNやSSLの使用を推奨するという。
5GHz帯を使用する無線LAN規格のIEEE 802.11aについては、2002年の第3四半期には認定テストを開始し、最初の認定済み製品は第3四半期~第4四半期中の出荷になる見通しという。また、従来「Wi-Fi5」という名称で検討されていた802.11aの認定テストは「Wi-Fi CERTIFIED 802.11a」に正式決定し、対応するロゴについては、認定された製品群が初めて発表される際に公開することが明らかにされた。
同氏は802.11a製品について「現在の802.11b製品のインフラを活かした展開が可能なデュアルバンド対応製品に期待している」と述べた。また、802.11bと同周波数帯を使用する802.11gについては「まだ仕様も決定していない状態なので詳しいことは言えないが、将来的には802.11bを置き換えていく規格であり、802.11a/g両対応のPCカードなどが主流になるかもしれない」などと語った。
質疑応答では「アジアにラボが設立されたことで認定テストの料金は安くなるのか? またテスト期間は短くなるか?」という質問がされ、「テスト料金は変わらない。15,000ドル相当の料金になる。期間についてはストレートにテストが成功して2日くらいで終了する。アジア圏にラボができることで、より柔軟な対応ができるようになるはずだ」と回答された。
□NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYOのホームページ
http://www.interop.jp/
□Wi-Fiのホームページ
http://www.wi-fi.org/
□関連記事
【5月22日】アジレント、無線LAN互換性テスト「WiFi」の認定機関を国内に設立
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0522/agilent.htm
【Keyword】IEEE 802.1x
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0510/key206.htm#802
(2002年7月4日)
[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]
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