Microsoft CEOスティーブ・バルマー氏、東大で基調講演
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6月24日 開催
マイクロソフト株式会社と東京大学は24日、東京大学安田講堂において「人と社会をつなぐ情報環境」と題したシンポジウムを開催し、米Microsoft CEO(最高経営責任者)のスティーブ・バルマー氏が基調講演を行なった。
スティーブ・バルマーCEO |
バルマー氏はまず、「今まで私は数多く日本で講演してきたが、学校に呼ばれたのは初めてだ。この場で学生の皆さんに、世界を変える新しい技術を紹介し、技術改革がもたらす興奮を共有できることを非常にうれしく思う」と挨拶し、今回の基調講演のテーマである「Digital Decade(デジタルの10年間)」について語った。
氏はこれまでの10年間を振り返り、「ハードウェアとソフトウェアは着実により強力なものへと進化し、IT産業は日本経済の中で重要な位置を占めるまでに至った」と説明。「そしてこれからの10年間にも、より大きな、そして世界を変えるような革新が起きるだろう」と述べた。
「私自身、PC/グラフィカルユーザーインターフェイス/インターネット/XML Webサービスという4つの大きな革新に遭遇してきた」と実例を挙げた上で、今後のデジタルデバイスの進化の方向性について説明した。
その中の重要なポイントの1つとして氏が強調したのは、情報をオーガナイズする能力だ。
「デバイスが扱える情報量は増えたものの、その情報の中から必要なものを抜き出したり、まとめたりするのには現状では人間の作業が必要。しかし、今後のデジタルデバイスは、情報を認識し、オーガナイズするデバイスに進化するだろう」と説明した。
また、バルマー氏は、そのような革新をもたらすうえで必要な要素について、アイデアと研究開発と教育機関の3つの柱による連携が必要と話す。同社ラボでの研究結果の披露や、東大との連携プログラムなどの話を交えながら、開発者サイドのテクノロジーと大学の基礎技術を結びつけ、かつユーザーのニーズを把握する視点が必要と述べた。
大きな身振り、手振りを見せながら語るバルマー氏 |
講演の最後には、学生がバルマー氏に直接質問する場が設けられ、学生から率直な質問が投げかけられた。
オープンソースの台頭に対する同社の対策についての質問に、バルマー氏は、「どのような企業も研究開発なしには成功できない。わが社では年間60億ドルの予算を研究開発につぎ込んでいる。また、我々には様々な新しいアイディアがある。オープンソースコミュニティは“古いもの”に対する技術は確かなものがあるが、“新しいもの”については、我々の方が秀でている」と回答した。
また、「私はプロジェクト管理について学んでいるのだが、大規模なプロジェクトをまとめ上げるのはどのようにしているのか。また、スケジュールどおりにプロジェクトを進捗させるにはどのようにしたらいいのか」という質問に対し、バルマー氏は「プロジェクトのメンバーを管理可能な小さなチームに分けた上で、いつくかのチームのまとめ役として、プロジェクト全体に関わる重要なポイントについて決断を下せる人間を少数配置することがコツだ」とアドバイスした。
「ただ、スケジュールに遅れるということについては、我々もしばしば経験しており、難しいことだ」と語り、会場の笑いを誘っていた。
バルマー氏は、途中.NETの優位性のアピールなども交えていたが、「できるだけ学生に近い位置で話したい」と、終始演壇を離れ壇上の最前部に立ち、聴講に訪れた学生に向かってIT全体の未来のビジョンについて力強く説明していた。
バルマー氏は終始演壇を離れ、客席に最も近い位置で語っていた | 学生の質問に答えるバルマー氏 |
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
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【3月27日】マイクロソフト、大学との連携プログラム「University Program」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0327/ms.htm
(2002年6月24日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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