コジマ、2001年度決算は初の減収、営業利益マイナス48億円
~家電量販店売上高日本一をヤマダ電機に譲る

株式会社コジマ 小島章利社長

5月29日発表



2001年度決算概要

 大手家電量販店を運営する株式会社コジマの2001年度連結決算が、売上高で前年比2.3%減の4,950億円、売上総利益で2.1%増の783億円、営業利益でマイナス48億円の赤字、経常利益で82.9%減の20億円、当期純利益で93.9%減の3億円となった。

 家電量販店売上高日本一の座を今年はヤマダ電機に譲るとともに、創業以来初の減収、営業利益で赤字となるなど厳しい決算内容となった。年度初めの計画では、売上高で5,330億円を計画していたが、念願の5,000億円突破はならなかった。

●小型店舗が社内で競合

2001年度の落ち込み要因を分析

 落ち込みの要因として、小島章利社長は「家電リサイクル法対象製品の取り扱い比率が競合他社よりも高いという背景から、その反動が上期のみならず、下期にまで影響したこと。パソコン分野において、Windows XP発売以降も期待していたほどの動きが見られなかったこと、景気の冷え込みによる個人消費の低迷、単価の下落が影響した」と分析している。

 パソコンは金額ベースで1,245億円と同社売上の25%を占めるが、対前年比では5.2%減。これにワープロ、電話、FAX、などを含めた新家電用品の分類では前年比5.5%減となる1,509億円(売上高構成比30.4%)となった。

 また、小型店舗の集客力の低下、1,000人近い新卒採用を3年連続で続けたことによって、平均年齢26歳という業界最低年齢を達成した一方で販売力/接客力が低下したこと、人員体制と新規オペレーションのバランスのミスマッチといった内部要因がマイナスに働いたとしている。

 とくに、売上高では下期に既存店舗が前年同期比24%減という大幅なマイナスになり、「一部では社内競合により、売り上げが半減した小型店舗もある」という。

●大型店を出店、小型店は整理

 同社では、今年度の重点施策として、「競争力のある店舗」、「効率的な仕組み」、「強い商品」、「強い人材」を掲げ、各種施策に乗り出すことを明らかにした。

 「競争力のある店舗」としては、標準で売り場面積3,000平方mの大型店舗を出店する計画で、同時に早期に全国300店舗体制に拡大する計画。今年度の出店計画では、売り場面積で3,000平方m以上の店舗を中心に13店舗の新規出店を明らかにしており、「出店場所を明確にしているこれらの店舗を含めて、年間20店舗程度の出店を予定している」(小島社長)としている。

 明らかになっている新規店舗のうち、とくに大型店舗となるのが5月25日にオープンしたNEW一宮店(愛知県一宮市、4,997平方m)、7月オープン予定のNEW梶ヶ谷店(川崎市高津区、5,412平方メートル)などとなっている。

 また、現在110店舗ある500平方m以下の店舗を大型店舗へ統合する計画で、「今年度だけで20店舗、今後3年間で北海道、東北地区、一部北関東地区などを対象に51店舗を閉鎖したい」とした。

業績回復への4つの施策 大型店への統廃合を進める

●物流や人材教育の効率化を図り、採用は抑制

 「効率的な仕組み」では、昨年の北関東物流センターの開設に続き、今年9月には東京・立川に南関東物流センターを設置、また、今期中に関西地区にも物流センターを開設することで顧客への個別配送を実現、POSシステムと連動したリアルタイムネットワークシステムの本格稼働による効率的なオペレーションの実現などを目指す。メーカー工場から直接、同社の物流倉庫に入庫させる仕組みも構築する予定。

 「強い商品」としては、同社の強みである売れ筋商品の計画仕入れの推進や、現在330アイテムに達し、全売上高の3割を占めている独自製品をさらに強化、「商品の安定供給と、マーケットメイクができる商品の調達を狙う」(小島社長)としている。

 また「強い人材」としては、教育専門部署を設置するなど、従来のOJT中心の教育から組織的教育を行う体制を確立する考えで、1人あたりの生産性向上を図る。人材採用に関しては、中途採用の凍結、来春新卒者の採用を200人に抑えるなどの施策をとる。

 これらの施策により、3年後には経営指数目標として、ROA(総資本経常利益率)を9%に、売上高経常利益率を3%に、総資本回転率を年間3回転にすることを掲げた。

●コンテンツとサービスを強化

e-ラーニングなどのコンテンツ&サービス強化に取り組む

 IT関連では、イー・アクセスと提携して国内最低料金を実現したADSLサービス「コジマネットADSL」が、数万人規模の会員数を獲得しており、同事業の拡大を目指すほか、e-ラーニングなどの各種コンテンツ販売に乗り出す予定。また、新たにパソコン教室事業として「コジマパソコンスクール」を今年5月を17店舗で開始、今後、全店舗展開を目標にするという。

 「コジマパソコンスクールでは、MOUS検定を想定したコースや、子どもを対象にしたコース、さらには、子どもにパソコンを教える人たちを対象にした親や先生のための日本初のコースも用意している」という。

 また、「コンシューマ分野に加えて、今後はSOHOや教育分野が今後の鍵になる。SOHO/中小企業向けには、業務ソフトのソリマチと組むことで、ソリマチ製品の取り扱いでは他社の追随を許さないところまできている。また、教育分野においても、東京書籍や日本IBMと組んで英会話のソフトを3年前から出しており、準備をすすめてきた」とこの分野での取り組みを強化していることを強調した。

●下期には売上げを2桁%増へ

2002年度も売上高5,000億円突破を目指す

 今年度の事業計画としては、売上高では前年比11.1%増の5,500億円、売上総利益で12.3%増の880億円、営業利益でマイナス23億円、経常利益で138.4%増となる50億円、当期純利益で604%増となる26億円を目指す。

 既存店舗の売上げ計画では前年比3.7%減としているが、全店舗では上期が9.6%増、下期が12.6%増と下期には2桁増の拡大を目指す。

 今年4月から新社長となった小島章利社長は、「安値日本一への挑戦は、当社が40年前から掲げてきたもの。当初は秋葉原に出向いて品物を仕入れ、宇都宮で販売した。こうした、お客のために最大限の努力を払うという当社の文化を守りながら、地域一番店の集合体として、確固たる地位を獲得することに強く執着したい」と抱負を語った。

□コジマのホームページ
(5月29日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.kojima.net/
□関連記事
【2001年12月4日】コジマ、パソコン販売で大幅な計画割れ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011204/kojima.htm

(2002年5月29日)

[Reported by 大河原克行]

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