SiS、新ビデオチップ「Xabre」を公開

4月24日発表(現地時間)



SiSマルチメディアプロダクトディビジョン マネージャー トマス・ツイ氏

 SiS(Silicon Integrated Systems)は24日(現地時間)、台北市のFar East International Hotel(遠東國際大飯店)で最新GPUファミリーの「Xabre(セイバー)」を発表した。

 同GPUは、これまでSiS330のコードネームで知られてきた製品群で、「新たに名付けられたブランド名の“Xabre”は、英語で剣を意味する“Sabre”をベースに、eXtraordinary(非凡な)、Advanced(先進的な)、Brilliant(卓越した)、Rapture(歓喜の)、Enrichment(豊かにする)の5つの単語を組み合わせた造語である」と、同社でGPU製品を統括するマルチメディアプロダクトディビジョン、マネージャーのトマス・ツイ(崔開平)氏は語る。

 また、同氏はXabreシリーズの投入を機に、エンドユーザーが高品質なネットワークゲームを楽しめるように、http://www.xabre.comを開設したことも発表した。

 ラインナップはフラグシップのXabre 400とメインストリームチップのXabre 200、エントリチップのXabre 80の3製品で構成される。とくにXabre 400と200は、同社が“8X8”と呼ぶ、AGP 8XとDirectX 8.1サポートという最新テクノロジをメインストリーム市場に提供するというコンセプトをもとに作られており、最高のグラフィックス品質と高いパフォーマンスを190ドル以下という手頃な価格帯で一般ユーザーにもたらすことができるとしている。その主な仕様は以下の通り。

 Xabre 400Xabre 200Xabre 80
コードネームSiS360SiS340SiS320
AGP8X8X4X
コアクロック250MHz200MHz200MHz
メモリクロック250MHz166MHz166MHz
メモリタイプDDR SDRAMDDR SDRAMSDR/DDR SDRAM
メモリインターフェイス128bit128bit64bit
メモリ帯域8GB/sec約5.3GB/sec約2.65GB/sec・約1.3GB/sec
最大メモリ容量128MB128MB64MB
フィルレート2,000Mtexels/sec1,600Mtexels/sec1,600Mtexels/sec
チップサイズ37.5×37.5mm37.5×37.5mm35×35mm

 同社がPixelizerと名付けた新グラフィックスエンジンは、4ピクセルパイプライン×2テクスチャユニット(合計8テクスチャユニット)構成で、Pixel Shaderのバージョンは1.3に相当する。

 ただし、DirectX 8.1でサポートされたプログラマブルVertex Shaderは内蔵しない。このことについて、トマス・ツイ氏(崔氏)は「現行のDirectXアーキテクチャでは、パフォーマンスに影響を与えるのはもっぱらPixel Shaderであり、Vertex Shaderの機能はCPU側で肩代わりできる。これにより、ダイサイズを抑えチップ単価を安くすることができるからだ」と説明。

 現在、DirectX 8.1対応をうたっているNVIDIAのGeForce4 MXシリーズは、Pixel ShaderのバージョンがDirectX 8.1の規格を満たしていないため、3Dグラフィックスベンチマークソフトの3DMark2001SEではいくつかの項目が「No hardware support」としてスキップされるが、Xabreシリーズではこれらの項目も問題なく動作すると、ライブデモを披露した。

 また、世界初となるAGP 8Xサポートについて崔氏は、「現在、AGP 4Xの約1GB/secという転送速度は、CPUやメモリ、チップセット間接続の帯域幅に比べて狭すぎ、データ転送のボトルネックとなっている。そこで、約2GB/secの帯域を持つAGP 8Xをサポートすることで、データ転送のボトルネックを解消することができる」としている。

 ただし、AGP 8Xの仕様はいまだ規格の策定途中にあるのも事実。そのため、AGP 8Xの実装はプロポーザル規格となる0.95をベースにしているが、「AGP 8Xの正式規格がアナウンスされるのは、Intelが対応チップセットをリリースするのと同時期になる。これでは、AGP 8X対応チップはIntelが今年第3四半期末にGranaite Bayをリリースするまで待たなければならなくなる。これでは、サードパーティチップセットベンダーとしては不利。そこで、われわれはAGP 8XをサポートするPentium 4プラットフォーム向けチップセットSiS648と組み合わせて、入念に動作検証を行なってきた。

 また、GPUベンダーとしての立場で言うと、すでにATI TechnologiesやNVIDIAも、ドラフトの0.95でチップの開発を進めており、互換性で問題が生じることはないはずだ」(崔氏)と言う。

 同GPUは、このほかにも2X/4Xのフルシーンアンチエイリアシング機能であるJitter-Free Anti-Aliasingや、ディスプレイに出力される色をシャープかつヴィヴィットに表示させるカラーエンハンスメント技術のColoredeemerなどを実装。

 さらに最大20Mbit/secのビットレートでMPEG-1/2のデコードを可能にし、DVDやHDTVのデコードにも対応するビデオデコード機能、インターレース映像の補間や1/2、1/4にハードウェア的にダウンスケーリングができるビデオプロセシング機能を内蔵。3Dゲームだけでなく、定評のあるDVD-Videoなどのビデオ再生機能もさらに強化されている。

 製造は同社の0.15μmプロセスで製造され、すでにカスタマーサンプルを出荷中。量産は今四半期中を予定しており、発表会場にはAOpenやCHAINTECH、C.P.Technology、ECS、GIGA-BYTE、Joytech、SOYO、Transcend、TriplexなどがXabre 400搭載のビデオカードを参考出品し、市場への投入が近づいていることをうかがわせた。

AOpenのビデオカード CHAINTECHのビデオカード C.P.Technologyのビデオカード

ECSのビデオカード GIGABYTEのビデオカード Triplexのビデオカード

□SiSのホームページ(英文)
http://www.sis.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.sis.com/press/xabre.htm
□Xabreのホームページ(英文)
http://www.xabre.com/
□製品情報(英文)
http://www.xabre.com/products/xabre400.html
□関連記事
【4月24日】SiS、ハイエンド向けビデオチップ「Xabre400」
~DirectX 8.1とAGP 8Xに対応
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0424/sis.htm

(2002年4月25日)

[Reported by DOS/V POWER REPORT編集部]

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