MCPC、2005年までのモバイル市場予測を発表
~2005年度には3兆6,965億円の市場規模に

モバイルコンピューティング推進コンソーシアム 山口洋委員長

3月29日発表



 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)は、2005年までのモバイルコンピューティング市場需要予測を発表した。

 同調査は、携帯電話とB5ファイルサイズ以下のノートパソコンの市場規模を、調査、予測したもの。携帯電話業界と情報システム業界を横断的に調査するものとして、毎年注目を集めているものだ。

 これによると、モバイルコンピュータの市場規模は、2002年度の予測値で1兆8,931億円。内訳は、携帯電話などの移動体通信端末が5,278億円、ノートパソコンなどの情報機器が2,255億円、データ通信にかかわる通信料金が8,757億円、音楽配信や動画などのコンテンツ市場は2,641億円となる。

 通信料金とコンテンツをあわせた市場規模が全体の60.2%を占めており、2002年度には移動体通信キャリアから第3世代携帯電話サービスが出揃うこと、PHSでも128Kbpsの定額制のパケット通信が開始されることなどから動画像利用のコンテンツおよび画像データのトラフィックが増加すると予測している。また、通信端末の市場規模に関しては、第3世代携帯電話端末の価格が、従来の端末機に比べて単価が高くなっているという点も市場規模の算出に織り込んでいる。

 予測では、2005年度には、3兆6,965億円の市場規模に拡大するとし、第3世代携帯電話の本格サービスの開始、大容量データのトラフィックの増加などによる質の高いコンテンツ需要の拡大などを見込んでいる。

 2005年度の内訳は、移動体通信端末が1兆3,728億円、情報機器が3,732億円、通信料金が1兆4,128億円、コンテンツが5,377億円とした。

 今回の調査では、初めての試みとして、モバイル環境下におけるBluetoothおよび無線LANの活用状況を予測した。

 2002年度には、Bluetoothを利用してデータ通信を行なう端末は、ノートパソコンで8万台、携帯情報端末で7万台の合計15万台。これが2005年度には、ノートパソコンで32万台、携帯情報端末で75万台の合計107万台に拡大する。

 また、無線LANは、2002年度にはノートパソコンで24万台、携帯情報端末で13万台の合計37万台。2005年度にはノートパソコン53万台、携帯情報端末で88万台の合計141万台と予測した。

 いずれの数値も、モバイル環境下での利用に限定していること、ノートパソコンもB5ファイルサイズ以下としていることから、実際のホットスポットなどの利用に比べて少ない数字になっているのに加えて、今後の利用拡大が想定される企業内などの構内無線LANなどの利用も含まれていない。

 さらに、速度別のモバイルコンピューティングの市場規模も予測した。ここでは、64Kbps以下を中低速使用とし、128Kbps以上を高速使用と位置づけた。

 これによると、2002年度は3,854億円と23%にすぎなかった高速使用が、2005年には2兆4,187億円と72%を占めるとしている。

 一方、2002年度の携帯電話・自動車電話の市場規模は、7,249万人、人口普及率は57.7%。PHSは、592万台、普及率は4.7%とし、双方をあわせて7,886万人、人口普及率は62.4%に達すると見込んでいる。3人に2人が携帯電話を保有している計算で、今後は純増数の伸びは従来よりも緩やかになると予測している。

 2005年度には、携帯電話・自動車電話が8,262万人(人口普及率65.3%)、PHSが610万人(同4.8%)、合計で8,872万人(同70.1%)と予測した。

 また、携帯電話/自動車電話の利用形態別についても、調査結果を発表した。

 2002年度予測では、音声だけで利用する「音声利用」が1,694万人、携帯電話単体で音声利用のほかに、電子メールやインターネット利用を行なう「単体利用」が5,438万人、携帯電話とノートパソコンなどを接続して電子メールやインターネットを利用する「複合利用」が155万人、GPSによる位置情報通知システム、自動販売機の在庫管理、ペットへの装着などの「テレメタリング」が7万人。

 2005年度には音声利用が1,276万人と減少していくのに対して、単体利用が6,275万人、複合利用が683万人、テレメタリングが19万人とそれぞれ増加するとした。

 しかし、テレメタリングに関しては、昨年よりも予測値が大幅に減少している。2004年度の予測値では、前年予測の3分の1程度にまで利用者数を減少させている。その理由として、調査を担当したモバイルコンピューティング推進コンソーシアム普及促進委員会の山口洋委員長(=NTTドコモ)は、「テレメタリングに関しては、徐々に現実の形が見え始めてきたことで、業界としての見方が変わってきた。ペットの首輪に携帯電話の機能を埋め込み、位置情報と連動させるという使い方も技術的には不可能ではないが、首輪に入るサイズに入れるということが簡単にはいかないこと、電池も現在のボタン電池では無理なことなどが明らかになってきた。今回の予測値もこうした動きを反映して大幅に見直した」と説明した。

 また、PHSに関しても、データ通信による利用が増加傾向にあるものの、全体的な予測値に関してはやや下方修正したという。

□MCPCのホームページ
(3月29日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://club.pep.ne.jp/mcpchp/

(2002年3月29日)

[Reported by 大河原克行]

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