三洋など、リムーバブルHDDの新規格「iVDR」を発表

試作品

3月6日発表



 三洋電機など8社は、リムーバブルHDDの新規格「iVDR」の標準化団体「iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム」を3月5日設立し、発表会を6日に開催した。

 iVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)は、PC用の2.5インチHDDをベースに、ケースやコネクタなどの規格化を行ない、リムーバブル化したHDD。コネクタ形状やファイルシステムなどを標準化し、持ち運び可能とすることで、AV機器やPCなど幅広い用途に対応できるようにした。

 本体サイズは130×80×12.7mm(幅×奥行き×高さ)。インターフェイスの仕様は、コネクタに50ピンのiVDR専用コネクタを採用し、電気仕様はATAに準拠。コマンドはATA標準にAV拡張やセキュア拡張(オプション)などが追加される。耐衝撃性は900G以上(非動作時)。

 ハードウェア仕様やファイルフォーマット(UDFなど)の仕様は決定しており、今後は、アプリケーションの技術規格やコンテンツ保護機能などの策定を進め、数カ月以内に仕様を決定するという。実際の製品の発売は、各メーカー次第とのことだが、技術的には、仕様が決まれば早い段階で投入可能だという。また、価格的には「今後の普及次第だが、PC用HDDの1割か、2割り増し程度」となる見込み。

本体サイズは130×80×12.7mm 2.5インチHDDを内蔵する コネクタは50ピン

 コンソーシアムに参加しているのは、三洋電機株式会社のほか、キヤノン株式会社富士通株式会社株式会社日立製作所フェニックステクノロジーズ株式会社パイオニア株式会社シャープ株式会社日本ビクター株式会社の8社。6日に行なわれた発表会では、この8社に加えて、コネクタ製造の大手であるFCIジャパン株式会社とミツミ電機株式会社の計10社が参加した。



三洋電機 研究開発本部 ハイパーメディア研究所 KdMプロジェクト マネージャーの日置敏昭氏

 発表会では、三洋電機 研究開発本部 ハイパーメディア研究所 KdMプロジェクト マネージャーの日置敏昭氏が解説を行なった。

 まず、「放送サービスのデジタル化が進み、双方向サービスや蓄積型サービスなどの新サービスが始まっている。また、ネットワークのブロードバンド化などによりAV機器はネットワーク化、PCはAV機器化している」と現状を説明した。

 そうした中で次世代のデータプラットホームを考えた場合、「大容量」、「高速アクセス」、「多様な情報が扱える」、「AVとPCが共通で扱える」の4つの条件が必要となるとし、そうした条件を満たすのはHDDであると解説した。現状のHDDの抱える問題として、モバイル性の欠如のほか、「容量が年2倍に増加するのは、AV機器のライフサイクルとしてはデメリット」と解説し、そうしたデメリットを吸収する施策として小型かつ持ち運び可能な「iVDR」を提案したと述べた。


次世代データプラットフォームの必要条件 記録媒体別の比較 固定HDDのメリットとデメリット
iVDRの基本仕様 iVDR技術規格の全体像 コンソーシアム組織体制

 iVDRの普及によるメリットについても解説し、「従来のHDDビジネスは、新技術の投入により大容量化し、コストを維持するという構造だった。iVDRにより新しい市場が立ち上がれば、従来型に加え、容量を一定に保ち、コスト低減を目指す形の新しいビジネスモデルが生まれる」と述べ、iVDRの普及により、HDDビジネスに変革がおきると説明した。また、AV用とPC用の共通化により量産効果が期待されること、リムーバブルの特徴を生かした応用製品が生まれる可能性についても言及した。

 また、ユーザーレベルでもリムーバブル化により、再生機器の互換性を保ったまま簡単に大容量化できるようになるなどのメリットがあると説明された。

 コンソーシアムの今後の活動としては、「アプリケーションデータフォーマットやコンテンツ保護セキュリティ規格の策定のほか、1.8インチHDD用の基本仕様の策定も行なっていく」としている。なお、コンソーシアムの会員には、年会費30万円でコンソーシアムでの議決権が無い一般会員と、年会費50万円で議決権があるExecutive会員の2種類があり、同コンソーシアムでは、各関連機器メーカーのほか、コンテンツホルダ、放送/通信業界などにも参加を呼びかけていくとしている。

発表会には各社の代表が出席した

 発表会では、参加各メーカーの代表が、それぞれの立場でiVDRを推進していく方針を明らかにした。その中でも、PC用BIOSなどの開発を行なう、フェニックステクノロジーズの藤根淳一社長は「リムーバブル化によるメリットなど、大容量の外部記憶装置として将来性があると思った。当社のビジネスはPCが中心となっているが、iVDRからのブート機能やコンテンツ保護機能などに対応していきたい」と、具体的なサポート方針を明らかにした。

 なお、発表会場では、三洋電機やシャープなどの各社が、iVDRに対応したビデオレコーダーなどを参考出品していた。


三洋電機が展示したビデオレコーダー 4つのiVDRを装着できるスタックユニット シャープもビデオレコーダーをデモ
日立はiVDR対応のプリウスデッキを参考展示 ミツミ電機のリムーバブルHDD単体ソケット

□iVDRコンソーシアムのホームページ
http://www.ivdr.org/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.ivdr.org/pdf/newsRelease020306_j.pdf

(2002年3月6日)

[Reported by usuda@impress.co.jp]

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