パソコン工房新製品レビュー

RAW100枚を1分26秒で現像、RTX 5070搭載パソコン工房クリエイターノート

「SENSE-15FR172-U7P-TK4X」

 パソコン工房の「SENSE-15FR172-U7P-TK4X」は、Core Ultra 7 270HX PlusとGeForce RTX 5070 Laptop GPUを組み合わせた15.6型クリエイター向けノートPCだ。メモリは32GB、SSDは2TBと余裕たっぷり。写真編集や動画制作など、大きなデータを扱う作業もどんと来いな構成となっている。直販価格は42万9,800円から。

 近年、クリエイター向けノートPCとゲーミングノートPCの境界は曖昧になりつつあり、高性能なCPUとGPU、大容量メモリなど基本スペックに共通点は多い。しかし、ディスプレイに求められる性能は違う。ゲームではハイリフレッシュレートが重視される一方、写真・動画編集用途では色精度や色域も重要だ。

 そこで今回は、あくまでもクリエイター向けノートPCとして本製品のスペックやディスプレイの仕様、使い勝手をチェック。そのうえで、実際のクリエイティブワークでどのぐらいのパフォーマンスが出るのかを検証していこう。

メモリとSSDを柔軟にカスタマイズ可能

 SENSE-15FR172-U7P-TK4Xは、OSにWindows 11 Home、プロセッサにCore Ultra 7 270HX Plus(20コア[8P+12E])、ディスクリートGPUにGeForce RTX 5070 Laptop GPUを採用。メモリは32GB、ストレージは2TBを搭載している。ディスプレイは15.6型フルHD(1,920×1,080ドット/144Hz)の非光沢液晶だ。

 インターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 Type-C 2基、USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 1、HDMI、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 7、Bluetooth 5をサポートしている。

 本体サイズは361×248.5×33.5mm、重量は約2.45kg。51Whのリチウムイオンバッテリを内蔵しており、公称バッテリ駆動時間は2.8時間(動画再生時)、2.9時間(アイドル時)となっている。

 本製品の売りの1つが、購入時に構成を柔軟にカスタマイズできること。メモリは32GB/64GBを選択可能。ストレージ用には3基のM.2スロットが用意されており、1つ目には2TB/4TB、2つ目と3つ目にはなし/500GB/1TB/2TB/4TBを選択できる。さらに、2TB SSDにはリード7,300MB/s、ライト6,600MB/sの「WD_BLACK SN850X」も指定可能だ。予算と目的に応じてメモリとストレージを組み合わせられるのは大きなメリットである。

15.6型ボディとテンキー付きキーボード
本体サイズは361×248.5×33.5mm
底面には大きな通気口を配置。内部の冷却ファンも確認できる
ディスプレイは15.6型フルHD(1,920×1,080ドット/144Hz)の非光沢液晶を搭載
キーボードはテンキー付きの107キー日本語配列
背面と両側面のインターフェイス配置
本体背面にGigabit Ethernet、HDMI、電源端子、USB 3.2 Gen 2 Type-Cを用意
右側面にUSB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 2 Type-C、左側面にUSB 3.2 Gen 1、3.5mmコンボジャックを配置
展開角度と付属品、ACアダプタの実測値
ディスプレイの最大展開角度は実測150度
パッケージには本体、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書類が同梱
ACアダプタのサイズは実測154×75×25mm。ACアダプタのコード長は実測180cm、電源ケーブルの長さは実測100cm
ACアダプタの型番は「PA-1231-26」。入力は100~120V/3A、200~240V/1.5A、出力は20V/11.5A、定格出力は230W
本体の実測重量は2,416g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測691g

見た目の発色は自然だが、色域はsRGBカバー率約65%と狭い

 ディスプレイは最大144Hzのリフレッシュレートに対応。Windowsの設定画面から144Hz、60Hzを切り替えられる。実際に手持ちの写真を表示してみたところ、発色は自然で、肉眼では実物の色と大きな差は感じられなかった。

 そこでカラーキャリブレーションソフト「i1Profiler」で測定、作成したICCプロファイルをもとに算出したところ、sRGBカバー率は約65%となった。液晶パネルの型番は「N156HRA-EA1」で、色域はNTSC 45%となっており、スペック上も広色域ではないことを確認できた。一般的な用途では大きな問題はないが、写真や動画の色を厳密に調整するのであれば、広色域に対応した外部ディスプレイを用意したほうがいい。

肉眼では自然、測定ではsRGB約65%
実際に写真を表示してみたところ、発色は自然で、実物と大きな差は感じられなかった
ICCプロファイルから算出したsRGBカバー率は約65%

テンキー付きでも打鍵感は良好。タッチパッドも広くジェスチャー操作が快適

 キーボードは前述の通り、テンキー付きの107キー日本語配列で、キーピッチは実測18.5mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後が確保されている。テンキーを搭載するぶんキーピッチはやや狭いが、クリック感は明確で、打鍵音も低めだ。

 また、タッチパッドは実測121×72mmと広く、複数指によるジェスチャー操作もしやすい。タッチパッドのクリック感は最高品質とまではいえないが、平均的な操作感だ。よほどのこだわり派でなければ、外付けキーボードやマウスを用意する必要はない。

キーピッチ18.5mm、タッチパッドは121×72mm
キーピッチは実測18.5mm前後
キーストロークは実測1.5mm前後
キーボードバックライトは発光色(全15色)や発光パターンを変更できるマルチカラーLED仕様
タッチパッドの面積は実測121×72mm

Webカメラは暗部ノイズが目立つ。配信用途なら外付けがおすすめ

 一方、割り切りが必要なのがWebカメラの画質だ。Windows 11の「カメラ」アプリで撮影してみると、HDRオフでは特に暗部ノイズが目立つ。HDRオンではざらつきがやや抑えられたものの、かなりのっぺりとした印象となる。動画で見るぶんにはそれほど気にならないので、Web会議用途には使えるが、配信などで画質にこだわるなら外付けWebカメラを用意したほうがいい。

ディスプレイ上部に100万画素Webカメラ
ディスプレイ上部には100万画素Webカメラ、マイクを内蔵
HDRオフは暗部ノイズ、オンはのっぺり
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオン)

Core Ultra 7 270HX PlusとRTX 5070 Laptop GPUの処理性能を検証

 まずはベンチマークで本製品のパフォーマンスの目安をチェックしよう。今回の貸出機のスペックはCore Ultra 7 270HX Plus/GeForce RTX 5070 Laptop GPU(VRAM 8GB)/メモリ32GB(DDR5)/ストレージ2TB(PCIe 4.0 x4接続SSD)だ。

貸出機の構成とベンチマーク時の設定
今回の貸出機のスペックはCore Ultra 7 270HX Plus/GeForce RTX 5070 Laptop GPU(VRAM 8GB)/メモリ32GB(DDR5)/ストレージ2TB(PCIe 4.0 x4接続SSD)
ベンチマークは動作モードを「パフォーマンス」、ファンを「最大」に設定して実施

 CPU性能については、「Cinebench 2024」のCPU(Multi Core)は1903、CPU(Single Core)は135、「Cinebench 2026」のCPU(Multiple Threads)は7,756、CPU(Single Thread)は546、GPUは50956を記録した。Core Ultra 7 270HX Plusは20コア20スレッドのプロセッサだ。今回の結果からもマルチスレッド性能の高さがうかがえる。

Cinebenchでマルチスレッド性能を確認
Cinebench 2024のCPU(Multi Core)は1903、CPU(Single Core)は135
Cinebench 2026のGPUは50956、CPU(Multiple Threads)は7,756、CPU(Single Thread)は546

 3Dグラフィックス性能については、「3DMark」のSpeed Wayは3402、Steel Nomadは2828、Time Spyは13843を記録した。レイトレーシングを利用するSpeed Wayでも高スコアを記録しており、GeForce RTX 5070 Laptop GPUなら最新のAAAタイトルも十分楽しめそうだ。

3DMarkのTime Spyは13843
3DMarkのSpeed Wayは3402
Steel Nomadは2828
Time Spyは13843

 ストレージはPCIe 4.0 x4接続SSD「KINGSTON OM8TAP42048K1-A00」が搭載されており、「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は6,143.48MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5,487.32MB/sを記録した。BTOで指名買いできるWD_BLACK SN850Xの理論値であるリード7,300MB/s、ライト6,600MB/sには及ばないが、標準搭載SSDでもクリエイティブワークに十分対応可能な転送速度を備えている。

標準SSDはKINGSTON製のPCIe 4.0 x4接続
ストレージはPCIe 4.0 x4接続SSD「KINGSTON OM8TAP42048K1-A00」を搭載
CrystalDiskMarkでリード約6,143MB/s
CrystalDiskMark 9のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は6,143.48MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5,487.32MB/s

 総合性能を計測する「PCMark 10」では、総合スコアが11302、Essentialsが10820、Productivityが23272、Digital Content Creationが15559となった。特にProductivityとDigital Content Creationが高く、オフィスワークはもちろんのこと、写真編集や動画編集などでも余裕を期待できるスコアだ。

PCMark 10の総合スコアは11302
PCMark 10の総合スコアは11302、Essentialsは10820、Productivityは23272、Digital Content Creationは15559

 バッテリ駆動時間についてはディスプレイ輝度と音量を50%、パフォーマンスモードを「静音」に設定し、YouTube動画を連続再生したところ、バッテリ残量が100%から80%に減るまで57分39秒(3459秒)を要した。単純計算では、残量100%から0%まで4時間48分15秒動作することになる。モバイル用途に十分な動作時間とはいえないが、電源のない場所で軽い仕事をこなすぐらいであれば実用的なスタミナ性能といえる。

RAW画像100枚を約1分26秒、5分の4K動画を約1分4秒で書き出し

 さてベンチマークで分かるのはあくまでも目安となるスコア。ここからは実作業でパフォーマンスをチェックしていく。まず、Lightroom Classicで約4,220万画素(7,952×5,304ドット)のRAW画像100枚を一括現像したところ、1分25秒69で完了した。1枚当たり約0.86秒だ。これだけの高画素のRAW画像を100枚まとめて現像しても約1分半で完了してしまった。撮影後に大量の写真を仕上げる際にも、それほど待たされ感はないといえる。

約4,220万画素RAW 100枚の一括現像は1分25秒
Lightroom Classicで約4,220万画素のRAW画像100枚を一括現像するのにかかった時間は1分25秒69

 次に、Premiereで約5分の4K動画(3,840×2,160ドット、29.97fps)をH.264形式で書き出したところ、所要時間は1分4秒22となった。書き出し設定はハードウェアエンコードを有効にし、VBR 1パス、ターゲットビットレート75.90Mbpsとしている。約5分の4K動画を、実時間の約1/5の所要時間で処理を終えたわけだ。撮影した動画をすぐに公開したいときなどでも頼りになるパワーである。

4K動画のH.264書き出しは1分4秒
Premiereで約5分の4K動画をH.264形式で書き出すのにかかった時間は1分4秒22

VRAM 8GBでもローカル動画生成に成功。5秒の動画を約200秒で生成

 クリエイター向けPCの新たな用途として、ローカル環境でのAI動画生成にも挑戦してみた。今回使用したのは、生成AIをローカルで実行するための「ComfyUI」と、動画生成AIモデル「Wan2.2-TI2V-5B」だ。

 Wan2.2 TI2V-5Bは、テキストから動画を生成するText-to-Videoと、静止画から動画を生成するImage-to-Videoの両方に対応している。今回はAIで作成したクラゲの静止画を開始画像に指定し、傘の収縮や触手の揺れを表現する動画を生成してみた。

 GeForce RTX 5070 Laptop GPUのVRAMは8GB。動画生成AIを動かす際には、この容量が制約となる。実際、検証中に「RuntimeError: Fault failed: 2」が発生し、生成が止まることもあった。そこで、ComfyUIのGPUメモリ管理機能「Dynamic VRAM」を無効化する起動オプション「--disable-dynamic-vram」を追加。その後の計測では3回連続で動画生成に成功した。

 生成条件は832×480ドット、121フレーム、24fps。約5秒の動画を、シード値だけ変更して3回生成した。所要時間は1回目が200.32秒、2回目が200.12秒、3回目が200.01秒。平均は200.15秒で、最短と最長の差はわずか0.31秒だ。3回とも正常に完了し、処理時間もほぼ揃っている。動作自体は安定しているといえる。

 生成した動画には動きのカクつきや不自然な変形が見られたので、完成度の高い動画が必ずできるわけではない。しかし、VRAM 8GBのノートPCでもローカル動画生成を実行できたのは収穫といえる。利用できる生成AIモデルや、生成する動画の解像度、動画の長さに制約はあるものの、クラウドサービスを使わず、手元のPCだけで動画生成を試せる。

Image-to-Videoで3回平均200.15秒
ComfyUIでWan2.2 TI2V-5Bを実行。静止画から動画を生成するImage-to-Videoで検証した
生成条件は832×480ドット、121フレーム、24fps。3回平均の生成時間は200.15秒だった
実際にWan2.2 TI2V-5Bで生成したクラゲの動画。傘や触手が動くものの、映像には不自然な部分も残る

RAW現像や4K編集は高速。色を厳密に調整するなら外付けディスプレイがほしい

 クリエイター向けノートPCとしては、ディスプレイの色域をもう少し広げてほしいというのが正直なところ。ただし、外付けディスプレイをメインに据えるなら話は別だ。内蔵ディスプレイをサブ画面として使うのであれば、色域の狭さはそれほど大きな問題にはならない。

 一方、Core Ultra 7 270HX PlusとGeForce RTX 5070 Laptop GPUの組み合わせは、クリエイティブワークで十分なパワーを見せてくれた。RAW画像の現像も4K動画の書き出しも高速。VRAM 8GBという制約はあるが、モデルや生成条件を選べばローカルでのAI動画生成も試せる。メモリ32GB、ストレージ2TBという余裕のある構成も高く評価したい。

 ディスプレイの特性は把握しておく必要があるが、家やオフィスのさまざまな場所で活用するクリエイティブワーク向けノートPCとしては魅力的な選択肢といえる。