パソコン工房新製品レビュー

バッテリ着脱可能な11万円台のノートPC。後で単品購入もできるし、Windows 10機の買い替えにいいかも

~パソコン工房「STYLE-15FH129-i7-UHCX」

パソコン工房「STYLE-15FH129-i7-UHCX」。直販価格11万9,700円
パフォーマンスと効率の両面でスケールアップを実現
インテル® Core™ i7-1355U プロセッサー

 今回紹介するパソコン工房の「STYLE-15FH129-i7-UHCX」は、15.6型液晶ディスプレイを搭載したスタンダードなノートPCだ。直販価格は11万9,700円とリーズナブル。

 それでいて最近のノートPCでは珍しく、バッテリ部分を簡単に換装できる構造を採用。またメモリスロットやストレージ用のM.2スロットにもアクセスしやすいため、長く安心して使い続けられることが特徴となる。

シンプルデザインでメンテナンスしやすい筐体を採用

 パソコン工房ではユーザーや利用シーンに合わせてさまざまなスタイルのノートPCを用意しているが、本製品は15.6型液晶ディスプレイや、第13世代Coreシリーズの「 Core i7-1355U」、テンキーも含めたフルサイズキーボードなどを備える、使いやすいメインストリーム向けのノートPCである。

 鋭角的な筐体は全体的にスッキリとしており、安っぽさは感じさせない。液晶ディスプレイのサイズや約1.77kgという重さを考えると、主にオフィスや家庭内で使われることが予想されるが、そういった状況にマッチした落ち着いた色合いとデザインだ。またBTOメニューで天板に「IIYAMA」のロゴを入れない選択肢も用意しているので、シンプルさにこだわりたいユーザーにおすすめだ。

ゴテゴテした装飾もなく、シンプルでスッキリとしたフォルムを採用
天板には小さくロゴが入っているだけ
有線LANポートを搭載しながらも、厚みは最大で25.1mmと薄型の設計を採用

 最近のノートPCでは見られない構造として、前述したバッテリの換装機能が目立つ。本体を裏返すと手前にバッテリを装備しており、2つのロックを外すことで簡単に着脱できるようになっている。またバッテリの上部にあるカバーを外すことで、メモリスロットやM.2スロットに簡単にアクセスできる。この作業も4本のネジを外すだけと非常に簡単だ。

メッシュ構造を採用する奥のパネルを固定している4本のネジを外す
中央のへこみに薄いカードやスクレイパーなどを挿し込んでロックを少しずつ外す
するとこのようにメモリスロットやM.2スロットにアクセスできるようになる

 こうしたバッテリ交換や内部へのアクセスが容易なノートPCは、20年くらい前までは普通に存在していた。しかし筐体の薄型化が進むにつれてこうした構造を維持することが難しくなり、バッテリやメモリ、ストレージへのアクセスが非常に難しくなった。そうした構造の変化に伴い、アップグレードやメンテナンスがしにくいノートPCが増えている。

 特にやっかいなのがバッテリの寿命だ。普通に使っていてもしだいに劣化してバッテリ駆動時間が低下していくし、うっかり過充電や過放電状態にしてバッテリが故障すると、本体は何も問題ないのにノートPCとして使えなくなってしまう。

底面の手前に装備するのがバッテリユニット
まずは右のロックを左にズラす
さらに左のロックを右にずらしながら中央のへこみにツメなどを引っかけて起こすと、このようにバッテリユニットが外れる

 しかし本製品なら、新しいバッテリユニットを購入して交換すればもとの状態に戻せる。Windows 10のサポート終了で新しいPCを検討しているユーザーなら、今までと同じように長く安心して大事に使えることも重視しているだろう。その意味でもおすすめできるノートPCと言える。

 バッテリを単品購入する場合、STYLE-15FH129-i7-UHCXの製品ページからはなぜかたどれないが、「着脱式バッテリー採用14型・15型ノートパソコン」のページに、バッテリ単体の製品ページへのリンクが用意されている。バッテリ容量は標準モデルの37WHより多めの55WHで、価格は1万3,981円だ。念のため、適合機種であるか確認の上で購入するようにしたい。

 なお、STYLE-15FH129-i7-UHCXのBTO注文時にもオプションとして選べるようになっている。

インターフェイスは過不足なし

 インターフェイスは左側面にHDMI、Thunderbolt 4、USB 5Gbpsポートを装備し、右側面には1Gbps対応の有線LANポートやmicroSDカードスロット、USB 2.0ポートを装備する。必要なポート類は過不足なく備えており、周辺機器を利用する上で困ることはない。有線LANポートが2.5Gbps対応ならなおよかったというくらいだろうか。

左側面にはHDMIやType-Cポート、電源コネクタなどを装備
右側面には有線LANポートやUSB 2.0ポート、microSDカードスロットを装備する

 キーボードはテンキー付きなので、Excelなどでの数値入力がしやすい。タッチは軽くスムーズで、タンタンと軽快にタイプしていける。また100万画素のWebカメラには手動式のシャッターが付いており、カメラ機能を物理的にオフにできる。セキュリティ的にオフィス内の様子を撮影されたくない、あるいはテレワークで散らかった自宅を見せたくないユーザーにはありがたい機能だ。

右側にテンキーを装備しており、キー配置にも余裕がある
液晶ディスプレイの上部に、シャッター付きのWebカメラとマイクを装備

 ACアダプタは、19V×2.37Aで約45W出力に対応するコンパクトなタイプだった。どんな場所に置いてもジャマに感じることはないだろう。また重さも実測値で155gと軽量で、仮にホテルなど出張先にノートPCと一緒に持ち出すときでも負担にはなりにくい。

ノートPCに付属するACアダプタとしてはかなりコンパクト
PCのスペック
STYLE-15FH129-i7-UHCX
OSWindows 11 Home
CPUCore i7-1355U(10コア12スレッド)
メモリDDR4-3200 SO-DIMM 8GB
ストレージSSD 500GB
ディスプレイ15.6型(1,920×1,080ドット、非光沢)
通信Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0
主なインターフェイスThunderbolt 4、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1、USB 2.0、HDMI、Gigabit Ethernet
キーボード日本語キーボード
カメラ100万画素
バッテリ駆動時間動画再生約3.4時間、アイドル約7.1時間
本体サイズ約361×238×25.1mm
重量約1.77kg
直販価格‭11万9,700円

10世代Coreシリーズと比べると飛躍的な性能向上

 一通り外観を見たところで、使い勝手を見ていこう。CPUはノートPC向け第13世代CoreシリーズのCore i7-1355Uなので、書類作成やWebブラウズ、動画配信サービスの視聴など一般的な軽作業なら問題なくこなせる。もちろんWindows 11の基本的な操作で動きがぎこちなくなったり、固まったりと言ったことはなかった。

 標準の搭載メモリが8GBと、最近のノートPCとしてはちょっと少なめなので身構えていた部分もあるが、わりと普通に利用できる印象だ。またBTOメニューを利用して5,000円で16GB構成にもできるので、不安なら最初から追加しておくとよいだろう。

 前述したようにメモリスロットへのアクセスも容易なので、自己責任を負えるなら自分で購入して追加してもよい。

メモリスロットは空いた状態なので、保証対象外となるが自己責任で追加することも可能

 PCを買い換える場合、古いPCと比べてどのくらい性能が向上するのかも気になるところだろう。今回は2019年に発売された第10世代Coreシリーズの「Core i7-10510U」を搭載するノートPCと、PCMark 10 や3DMarkで比較してみた。

 第10世代CoreシリーズはまだWindows 11には対応しており、今後もサポートは続く。しかしCPU内蔵GPUのHDMI出力がリフレッシュレート60Hzの4K(3,840×2,160ドット)出力に対応しておらず(DisplayPortは対応)、イマドキの高解像度のモニターで使うには厳しい世代だ。もちろん作業内容にもよるが、このあたりから買い換えを検討するのはよい選択肢だと思われる。

搭載CPUの比較
Core i7-1355UCore i7-10510U
コア/スレッド数10コア/12スレッド4コア/8スレッド
Turbo Boost時の最大クロック5GHz4.9GHz
キャッシュメモリー12MB8MB
内蔵GPUIntel Iris Xe Graphics eligibleIntel UHD Graphics
コードネームRaptor LakeComet Lake

 本製品が搭載するCore i7-1355Uは、Core i7-10510Uと比べると3世代進んだアーキテクチャを採用しており、性能面ではかなり大きな違いがあることが分かる。また3DMarkの結果を見ても分かる通り、特に内蔵GPUの性能が大きく向上している。

 もちろん本格的な3Dゲームを快適にプレイできるほどの結果ではないが、Webブラウザベースのゲームやグラフィックスの負荷が低めの2Dゲームなら、本製品でもちゃんと遊べる。

 同じくPCMark 10のバッテリ駆動時間を計測するバッテリテストの「Modern Office」を実行したところ、5時間11分という結果だった。外出先で長時間利用するタイプのノートPCではないし、打ち合わせや気分転換で利用場所を変える程度の使い方であればまったく問題ない結果だ。

使いやすく低価格、買い換えユーザーにぴったりの1台

 STYLE-15FH129-i7-UHCXに、突出して優れた機能というのは見当たらない。しかし高いレベルでバランスの取れた1台であり、比較的価格が安く購入のハードルが低い。バッテリやメモリ、ストレージまわりの構造を考えると、長く安心して利用できるPCだ。

 こうしたことを考えると、Windows 10のサポートが終了して使えなくなる古いPCからの乗り換えを検討しているユーザーには、特におすすめだ。オフィスで利用している古いPCを置き換えたり、新しいオフィスに大量導入したりするのにも向いているだろう。