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デル新社長ロボトム氏、AI導入から「成果創出」への支援を強化

ジョン・ロボトム氏

 デル・テクノロジーズからジョン・ロボトム(Jon Robottom)氏が日本における新代表取締役社長に就任することを告げるお知らせが届いたのは2026年8月17日だった。同氏は新たなキャリアのスタートにあたり、グローバルなテクノロジー分野で培った専門知識と日本市場に対する深い理解を生かし、顧客のビジネス成果の加速、パートナーとの連携強化、そして日本市場における持続的な成長の推進に貢献していくということだった。

 同氏のテクノロジー業界でのキャリアは25年以上だ。特に、日本でのキャリアは23年間に及ぶ。外資系IT大手3社の要職を歴任、10年ぶりにデルに復帰した。そのロボトム氏が就任後約2カ月を経過した10月27日、日本のメディアに対して、社長就任記者会見を開催し、今後の事業戦略を説明した。

 社長就任以降、ロボトム氏は多くの顧客やパートナー企業と対話を重ね、日本の業界動向や、特にAIをどのようにビジネスに導入して貢献させ、伸ばしていくかといった、デルに対する期待感を把握することに注力してきたという。

 ロボトム氏は10年前、デルに在籍していた。当時のデルの日本法人で7年以上にわたりエンタープライズ系のデータセンタービジネスや、日本市場で極めて重要なハードウェア保守およびコンサルティングなどのサービス部門を経験している。

 10年前にデルを離れた後は、クラウドとソフトウェアの重要性が高まる中で日本マイクロソフトに参画し、日本市場への貢献と自身の知見拡大を図ったという。その後、日本企業の新しい取り組みを阻む要因として「既存インフラの整理・モダナイズの遅れ」があることを痛感し、レノボ(レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ)のデータセンター部門リーダーとして、インフラのモダナイズやクラウドレディ化、ハイブリッド環境の構築支援を牽引したという。

 また、前職の日本AMDでは、AMD、インテル、NVIDIAといった半導体メーカーがかつてない注目を集める中、インテルやNVIDIAに挑むチャレンジャーとしての立場から、AI時代における半導体(GPU/CPU)の重要性とプロジェクト推進について大きな学びを得たという。

 10年前の「デル」と現在の「デル・テクノロジーズ」を比較すると、社名に1つの言葉が加わっただけでなく、中身とケイパビリティが大きく進化し強化されていると確信できるとロボトム氏。これまでのキャリアの集大成としてこのタイミングで復帰できたことを光栄に感じているという。

 会見では、デル・テクノロジーズが毎年実施している調査の直近版「Modern Enterprise Readiness Study 2026」の結果について、自ら丁寧に解説し、日本市場にとって非常にポジティブな内容となっていることをアピールした。

 調査結果によれば、AI導入の成熟度において、初期・中期段階から次のフェーズ(後期フェーズ)へ進んだ日本企業の割合は、前年の35%から今年(2026年)は58%へと大幅に増加しているという。APJC(アジア太平洋および日本・中国)全体が51%から61%へと推移しているのと比較しても、日本は急速にキャッチアップしていて、単なるテスト段階から「いかに投資して結果を出すか」という本格導入フェーズへ移行してきているという。

 さらに、日本企業の72%(APJC全体と同率)が「AI導入プランが明確な成果を創出するものでなければ投資しにくい」と回答していて、単なるPoC(概念実証)や試験導入で終わらせず、ビジネス効果や成果にフォーカスする姿勢が鮮明になっているそうだ。

 また、企業のAI活用分野のトップ3について、日本は「データ分析・意思決定」「セキュリティ」「IT自動化」に注力している。APJC全体ではトップ3に「従業員の生産性」が入るというわずかな違いはあるものの、上位3~4項目はリージョン全体でほぼ一致しており、日本企業が今年からアクセルを踏んでビジネスへの貢献度を高めようとしている様子が見て取れるということだった。

 その一方で、国内企業のAI活用は業務効率化にはつながっているものの、売上や利益の向上といった直接的なビジネス成果を実感している企業はまだ4%弱にとどまるという課題もある。また、「信頼できるAI(Trusted AI)」の構築や深刻なAI人材不足、既存インフラのAIレディ化といった壁も存在する。これに対しロボトム氏率いるデル・テクノロジーズは、AI PCからデータセンターのモダナイズ、そしてグローバルで6,500社以上の導入実績を持つAI基盤「Dell AI Factory」までを一気通貫で提供できる強みを生かす。

 さらに、グローバルで3カ所しか存在しない東京・大手町本社の「EBSC(Executive Briefing & Solution Center)」や「AI Innovation Lab」を活用し、パートナー企業との共創を通じて顧客のAI導入から成果創出までを強力に支援していく方針を示した。

 そうした戦略を語る同氏の流暢な日本語は、外国人社長のそれではなく、まさに、日本人敏腕ビジネスパーソンそのものだった。こうした会見での外国人社長は最初こそ日本語で挨拶して親近感をアピールするものの、肝心な内容を話す本編は英語に切り替えることが多いのだが、この会見は最初から最後まで、プレゼンのみならず、質疑応答に至るまで通訳を介さず、立て板に水のような日本語で語られた。23年に及ぶ日本でのキャリアが、そのコミュニケーションからも実感できた。同氏の日本でのビジネスがいかに期待できるものかを象徴するかのような強烈な印象を持った。

 同氏はデルを深く理解していることに加えて、一度外に出て日本のIT業界でさまざまな学びを得て、顧客やパートナーとの20数年にわたるリレーションを持った上で復帰した。そのキャリアの中で、ビジネスにおいては「スピード」は極めて重要であり、日本語で直接対話し、デルの良さを顧客やパートナーに素早く伝えて意思決定とビジネスを加速できることが自身の強みだと考えるようになったという。

 2026年第2四半期(Q2)の実績として、世界のAIインフラ市場でシェアNo.1、国内の外付けストレージおよびストレージ全体でシェアNo.1、国内サーバー市場でもシェアNo.1を獲得していることを強調し、市場リーダーとしての責任を持って日本企業の期待に応えていく姿勢を示した。企業としてのデル・テクノロジーズはもちろん、今後の同氏のリーダーシップに期待したい。