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「生成AIの無制限な利用は人間・社会にとってさまざまな課題をもたらす」。読売新聞とNTTが共同提言

 読売新聞グループ(読売新聞)および日本電信電話株式会社(NTT)は4月8日、生成AIのあり方に関する共同提言を発表した。

 生成AIの活用により人間の労働生産性向上が期待される一方で、現状では結果に対する正確さを担保しきれないため、無制限な利用は人間/社会にとってさまざまな課題をもたらす側面がある。

 そのため生成AIの規律と活用を両立する方策を、技術と制度の両方の観点から実現する必要があるといい、そのため両社は共同提言を発表した。

 論点1は、AIが個人を強く意識しすぎるがゆえ、アテンション・エコノミー(AE)の台頭による情報空間の不健全化、個人尊厳の毀損といった課題に対するもの。人間観/社会観を見つめ直し、望ましい技術のあり方を批判的に検討し、情報的健康のような概念の確立が期待されるというもの。

 論点2は、言論空間の確保に向けた法規制や対処技術の導入に関するもの。特に「選挙」と「安全保障」領域への生成AIの適用には強い制限が必要であり、教育領域においても生成AI利用の功罪を考慮した慎重な対応が必要だとする。また、著作権を中心とした知的財産権の保護も、制度と技術の両面から時代に合わせて適正化を図るべきなどとするもの。

 論点3は、日本の法整備に関するもの。EUでは先んじている一方、日本においては整備に長い時間を要することから、長期的/短期的それぞれの施策が必要であること、ソフトローアプローチの強化などをしていく必要性を提言。論点2で挙げた選挙や安全保障など特に警戒すべきリスク領域では、立法の導入も躊躇せず実施すべきであるといったことが記されている。

 両社は今後も生成AIに関する問題意識を共有し、引き続き提言を行なう。また、慶應義塾大学サイバー文明研究センター(CRCC)も両社の検討や提言を支援するとしている。