●将来のソフトを見据えたバス帯域

■特劇企画・目次

■Pentium 4を一気に普及させる
  Intelのアグレッシブな戦略

□Pentium 4 パフォーマンス分析

■Pentium 4搭載
  オリジナルブランドPCカタログ

 Pentium 4ではバスアーキテクチャも大きく変わった。Pentium 4のFSBは、100MHzのベースクロックで400MHzで転送するバスとなっている。FSBのピーク帯域は3.2GB/sで、Pentium IIIバスの3倍だ。IntelがPentium 4のFSB幅をこんなに広く取ったのは、もちろんバスがCPUのパフォーマンス向上のボトルネックにならないようにするためだ。
 だが、当面はこの広帯域FSBの効果はそれほど出ないだろう。それは、アプリケーションがFSBの帯域が狭いことを前提として作られているからだ。また、オフィスアプリケーションでは、ほとんどの場合、それほど帯域を必要としない。FSB帯域を食うのは命令よりむしろデータなので、大量のデータを食うマルチメディア系のアプリケーションがPentium 4のFSBを意識して書かれるようにならないと、真価は発揮できない。
 こうしてアーキテクチャを概観すると、現状のPentium 4のベンチマーク性能がふるわない理由も見えてくる。つまり、Pentium 4が大きなアーキテクチャチェンジを試みているために、今のPentium 4で既存コードを走らせると性能が発揮されないのだ。これは、Pentium 4にとっては生みの苦しみと言える。問題は、Intelが、このハードルを無事に乗り越えることができるかどうかだ。クロックで性能を稼ぐというPentium 4の方向性が認知され、また、ソフトの対応も進むのでなければPentium 4の未来は順風満帆とは言えない。その意味では、Intelが、Pentium 4のクロックを引き上げ、普及ピッチを速めたのは正しい戦略だ。オーバー2GHzのクロックは目に見えるカタチでPentium 4のアーキテクチャを証明し、急速な普及はソフトの対応を促すからだ。
 Intelの戦略どおりにいけば、将来的にはPentium 4の特性を活かした新しい形態のアプリケーションが花開くことになる。うまくいくかどうか、Intelのお手並み拝見だ。