●Pentium IIIコアは大きく後退

■特劇企画・目次

■Pentium 4を一気に普及させる
  Intelのアグレッシブな戦略

□Pentium 4 パフォーマンス分析

■Pentium 4搭載
  オリジナルブランドPCカタログ

 IntelがPentium 4を急速に普及させる戦略を取ったことで、Pentium IIIファミリーの終焉は早まった。Intelは、当初、WillametteとCoppermineの空隙を埋めるため、0.13μm版Pentium III(Tualatin:テュアラティン)をリリーフとして投入するつもりだった。Tualatinは、製造プロセスの微細化によりCoppermineより高クロック化が可能で、発熱量も減るため薄型デスクトップにも搭載しやすい。
 だが、IntelはPentium 4へのシフトを急がせるため、あえてTualatinにはフォーカスしない戦略を取ったようだ。あるOEMメーカーによると、Intelは基本的には来年の秋冬モデルのデスクトップではPentium 4を推奨しており、Tualatinはあまり供給しない見込みだ。また、Tualatin用に計画されていたグラフィックス統合チップセット「Almador:アマドール」のデスクトップ版はキャンセルされたと言う。その代わり、Intelは、Intel 815系チップセットのステッピングをチェンジして、新たにTualatinに対応できるようにする見込みだ。
 では、Pentium 4への移行を早めるIntelのCPU全体の移行はどうなるのだろう。
 2002年にPentium IIIをPentium 4へと移行させた後、IntelはCeleron系のバリューPC向けCPUもTualatinコアに置き換える見込みだ。また、業界関係者によると、TualatinベースのバリューCPU投入に合わせて、新しいグラフィックス統合チップセットもリリースすると言う。そのため、2002年のInt elのデスクトップCPUは、メインストリームがPentium 4、バリューとモバイルがP6コア(Pentium III/Celeron系CPUコア)とアーキテクチャできれいに分かれることになる。NorthwoodもCPUのコストで見るとバリューPCの領域を十分カバーできるはずだが、IntelはしばらくはNorthwoodをCeleronに投入しないでおくらしい。
 一方、モバイルCPUでは、Intelは2002年から2003年にかけてPentium 4のモバイル版を投入し始める。これはNorthwoodをベースにしたものになるようだ。また、同じタイムフレームでIntelは新たにモバイル専用に設計された新CPUも投入する。これは、モバイルに特化した設計になると言う。この後はIntelのCPUコアはデスクトップとモバイルで、設計が分かれることになる。
 Intelは、以前はIA-32 CPUをIA-64 CPUで置き換えるという長期プランを立てていた。だが、IA-64のもたつきと、IA-32の好調により、Intelはできる限りIA-32を存続させるように計画を変更したようだ。Intelによると「現在、次の3世代のIA-32プロセッサのデザインチームがすでに開発をスタートしている」と言う。IA-64へのシフトは、今後10年は起こりそうもない。

CPUコアの移行推測図