■Pentium 4を一気に普及させる
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どうして、こんなに急激な普及が可能になるのか。それは、Pentium 4自体の製造コストが意外と低く、量産も容易だと見られるためだ。 CPUの製造コストを左右する最大の要因はダイサイズ(半導体本体の面積)だ。Pen tium 4はこれが比較的小さい。これはちょっと意外に感じるかもしれない。というのは、Pentium 4は現行のほかのCPUと比べるとダイが大きいからだ。Willametteのダイは、これまでのカンファレンスで公開された写真から割り出すと約200mm2をちょっと超える程度になると見られる。これは、現行の「0.18μm版Pentium III(Coppermine :カッパーマイン)」の約100mm2の2倍で、小さくは感じられない。 ところが、Pentium 4をIntelのこれまでの新アーキテクチャCPUの第1世代と比較すると、格段にダイサイズが小さいのだ。たとえば、Pentium(P5)はデビュー時には0.8μmで約294mm2、Pentium Pro(P6)は0.6μmで306mm2だった。いずれも17mm角と、大きめの切手ほどもある巨大なチップだったわけだ。それが、次の第2世代プロセスになると、0.6μm版Pentium(P54C)で163mm2、0.35μm版Pentium II(Klam ath)で203mm2へとシュリンクした。そして、3世代目のプロセスでは0.35μm版Pen tium(P54Cs)が90mm2に、0.25μm版Pentium III(Katmai)が127.9mm2へとシュリンクしている。実際にはPentium Proは、登場時には0.35μmが出たのだが、L2キャッシュSRAMを統合したMCMパッケージが高コストだったので、普及にはPentiu m IIを待たなければならなかった。 こうして見ると、IntelのCPUの場合、ダイサイズと普及に一定の法則が見えてくる。つまり、登場時の第1段階は300mm2クラスのダイでハイエンドデスクトップにへばりついているが、次の160~200mm2前後の第2段階でメインストリームデスクトップをカバー、第3段階目の90~140mm2でバリューPCまで降りてくるというのが目安となる。いわば、ホップステップジャンプの3段階で普及してきたわけだ。 そこで、Pentium 4のダイサイズを見てみると、1段階少ないことが分かる。つまり、第2段階にあたるレンジのダイサイズから始まっており、しかも1年後には第3段階にあたるレンジに縮小する。つまりPentium 4は、これまでのCPUと異なり、ホップがなくステップジャンプで一気に普及させることができるわけだ。チップ自体の製造コストに関しては、Willametteで十分メインストリームデスクトップをカバーできるだろう。 しかも、今のPentium 4は4,200万個というトランジスタ数のわりに、ロジック部分のダイが大きい。これは最初の物理設計では、冒険を避けるために、ダイを小さくする最適化設計をあまり行なっていないからだと思われる。物理設計を最適化すると、同じ製造プロセスであっても今後ダイが小さくなる可能性が高い。そして、来年第4四半期に登場する0.13μm版のNorthwoodになると、さらにダイは140mm2以下に縮まり、完全にバリューPCもターゲットにできるようになると思われる。 |
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