やじうまPC Watch

真っ平らな状態から自力で変身するロボット

~折り紙に発想を得た、紙製トランスフォーマー

 米ハーバード工学・応用化学大学院の研究者らは7日(現地時間)、紙とポリスチレンを使った1枚のシートでできた、自力で自分自身を組み立てるロボットを開発したと発表した。

 このロボットの本体は、Shrinky Dinksというポリスチレン製シートと紙の混合物のみでできている。Shrinky Dinksは、ぺらぺらのプラスチックシートで、これに色を塗ってオーブンで熱すると、面積が縮まるとともに、厚みが数mm程度に厚くなって固くなり、アクセサリーなどとして使える子供用のおもちゃである。

 普通、ロボットというと部品をボルトなどで留めていって組み立てるが、研究者らは日本の折り紙から、1枚のシートを折り曲げて行くだけで複雑な構造に変形するロボットの発想を得て、折り曲げると立体的なロボットになる1枚の紙をコンピュータで設計し、レーザーマシーンを使って、曲げられる回路と任意の角度に折り曲がるようプログラムされたヒンジをそれに組み込んだ。

 これに、動力および制御機構として、電池とモーター2つ、そしてマイクロコントローラを搭載。電池を入れると、10秒後に本体に熱が伝わり、折り曲げる場所が縮むことで、人手を介さずに自動的に折り紙のように変形していく。

 変形に要する時間はおよそ4分。熱が冷えると、ポリスチレンはロボットとして機能するのに十分な固さになる。するとマイクロコントローラの信号により、ロボットはモーターを使って、時速10分の1マイルの速度で4足歩行を始める。

 動画を見て分かる通り、この過程に必要な電力は単3電池1本分。また、コストも安く、全体は約100ドルで、モーターやコントローラなどを含まない本体部分は20ドルのみだ。

 このプロトタイプはタイマーで組み立てを始めるが、センサーを使うことで、温度や圧力など周囲の環境が特定の状況になった時点で組み立てを開始することもでき、用途としてはサンドイッチ状態で宇宙に送り、軌道上に到着すると自動的に変形する衛星といったものから、非常に安価な個人向けお手伝いロボットなども考えられている

 折しも日本では映画「トランスフォーマー」の最新作が公開になったばかりだが、これに近いものが、そう遠くない将来実現するのかもしれない。

(若杉 紀彦)