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電離圏の電子数の変化で巨大地震を1時間前に検知
~京大が手法を開発
2016年10月4日 12:45
京都大学情報学研究科梅野健教授らは、複数GPS観測局データに対する相関解析法を開発。これにより、マグニチュード7以上の大地震発生を1時間から20分前に予測可能になりうることを示した。
地球上空にある電離圏には電子が広がっており、その電子数は地震や火山噴火などの自然現象や、ミサイル発射などの人為的事象によっても影響を受ける。これまで、GPS観測局を利用し、マグニチュード8以上の巨大地震の発生前に、電離圏電子数が異常増加することが知られていたが、従来のデータ解析法では、地震発生後のデータが必要なため直前予測には直接利用ができないほか、予測誤差が大きい問題があった。また、マグニチュード7クラスの地震では電離圏の異常を検知できていなかった。
今回、梅野教授らは複数のGPS観測局を利用し、その観測データを元に電子数を予測。予測した電子数と実際に観測される電子数との違いを予測誤差とし、誤差が大きければ異常が大きいと判断。次に基準となるGPS観測局と周囲の複数のGPS観測局とで得られた誤差の同時刻相関を取り、その総和を計算することで異常検知における時間精度を高め、S/N比も格段に増大させた。これにより、マグニチュード7クラスの地震でも電離圏の電子数の異常が検知できることを発見した。
今回の成果はマグニチュード7以上の大地震発生を1時間~20分前に直接予測できる可能性と、それを利用した警報システム構築に道を拓く。今後、この手法の第三者検証を進めるとともに、地震直前異常が観測できる地震の大きさの最小値の解明、地震直前の電離圏電子数異常の物理的解析、地震の大きさと電離圏異常の特徴との関係解明などに取り組む。