イベントレポート

【Microsoft編】Windows 8.1の新機能を実演

〜小型タブレットへOffice添付。RTにはOutlookを標準添付

基調講演会場
会期:6月4日〜8日(現地時間)

会場:

Taipei World Trade Center NANGANG Exhibition Hall

Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1

Taipei World Trade Center Exhibition Hall 3

Taipei International Convention Center

 米Microsoftは5日(現地時間)、COMPUTEX会場において基調講演を行ない、同社OEM担当コーポレート副社長のニック・パーカー氏、最高財務責任者兼最高マーケティング責任者のタミ・レラー氏らが、先だって開示したWindows 8.1のアップデート内容を実機で実演したほか、小型タブレットへのOffice添付や、Windows RTへのOutlook標準添付などの施策も明らかにした。

 レラー氏は、Windows 8が登場して以来、出荷したライセンス数は1億に上り、モダンアプリは8倍の8万本に、搭載機種は1,000機種から3,200機種になり、タッチ対応機種は6倍に増えたことなどを紹介。また、Windows 8において「次世代のモバイルコンピューティングに向けた大きな賭けをした」というレラー氏は、Windows 8がタッチの普及、さまざまなフォームファクタのPCやタブレットの登場、モダンアプリ、企業向け機能の互換性などをもたらすなど一定の成果を上げたが、今後も継続的な改善や、迅速な革新を行なっていくと述べた。

 その成果をさらに発展させるため、レラー氏は、小型タブレット向けに、9月頃のタイミングで、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteが入ったOfficeを付属させる施策を行なうことを発表した。Windows RTではすでにOfficeが標準搭載となっている。これと同じようなことをx86の小型タブレットにも展開するものだが、全製品が標準でそうなるのではなく、タブレットOEMメーカーに対し、Windows 8+Officeの非常に安価なライセンスを提供するものとなる。つまり、このライセンス形態を利用するかどうかは、メーカーに委ねられるわけだが、当然これにより、Office搭載タブレットが従来より安価に提供されることとなる。なお、ここで言う「小型タブレット」とは7型から10.1型を意味する。タブレットで先行するAndroidやiOS製品に対抗するため、キラーアプリであるOfficeを標準搭載に近い形にすることで、シェアを伸ばそうという戦略だ。

 また、レラー氏は、タブレットについて、Windows 8.1でポートレート(縦向き)モードの対応が改善されるほか、IntelのBay Trail-Tや、Windows RTではQualcommの8974、NVIDIAのT40など最新SoCへの対応に加え、Outlookを標準添付にすることを発表した。先述の通り、Windows RTにはOfficeが搭載されるが、これにOutlookは含まれない。Windows RTは、Windows 8.1と同様のアップデートがなされるが、そのアップデートを行なうと、自動的にOutlookがインストールされる。

 なお、Windows 8はアップデートにより、Windows 8.1となるが、Windows RTについては製品名称は変わらず、Windows RTのままとなる。以降で説明する8.1の新機能は、基本的にRTにも適用されるはずで、今回の説明では特にその区別なく紹介されたが、RTには8にない機能もあるため、RTは非対象のものも含まれると思われる。

ニック・パーカー氏
タミ・レラー氏
小型タブレット向けにOfficeを添付するライセンスや、RTへのOutlook標準搭載などが発表された
アントイン・レブロンド氏。手に持つのは先日Acerが発表した8型Windowsタブレット「Iconia W3」

 ここから、同社Windows担当コーポレート副社長のアントイン・レブロンド氏が実機を使ってWindows 8.1の新機能を紹介した。

 まず、ロック画面は、スライドショー機能を搭載し、SkyDriveを使うことで、クラウド上にある写真も表示可能。通知機能も改善され、例えばSkype着信の通知が表示された場合、それをタップするとSkypeが起動する。また、ロックを解除せず写真を撮ることもできる。

ロック画面がスライドショー対応に
ログオンしないでも写真撮影できるようになった

 スタート画面は、タイル表示の柔軟性が増し、より大きくしたり、小さくしたりできるようになった。例えば、 天気予報アプリのタイルを大きくすると、これまで1都市だけだったものが複数都市の天気が表示され、メールやカレンダーアプリも同様に、情報量を増やすことができる。逆に、情報表示が不要なアプリは、タイルを小さくすることで、一覧性が増す。

 スタート画面でのもっとも重要な改善の1つと思われるものが、ワンタッチでアプリの一覧が見られるようになった点。タッチ対応機では、画面下から上に向かってスワイプすると、マウスでは左下に表示される下矢印をクリックすると、アプリの全一覧が表示される。アプリは数が増えると、目的のものを探すのに手間取るため、この一覧では、名前順の表示のほか、インストール日順、利用頻度、カテゴリで並べ替えもできる。

 従来まで、アプリをインストールすると、自動的にスタート画面にタイルが追加されたが、これは廃止され、アプリ一覧にのみ追加されるようになる。スタート画面に追加したい場合は、一覧から選んで明示的に追加する。

新しいスタート画面。タイルのサイズの幅が広がった
下からスワイプすると
アプリ一覧が表示
マウスでは左下の下矢印をクリック
一覧は利用頻度などでソートできる
タイルはまとめて移動や、アンインストールなどもできるようになった

 大きく様変わりしたのが、チャームからの検索。従来の検索は、ファイルやアプリなどローカルに対する検索だったが、8.1では、Bingを使ったインターネット検索が標準となる。

 デモでは、入力欄に「mari」と入力すると、推測候補が表示。ここで「marilyn monroe」を選択すると、マリリン・モンローのスナップが大きく表示され、それに対するWikipediaへのリンク、Xbox Musicを利用した音楽再生や、YouTube動画へのリンクなどが整然とまとめられた形で表示される。

 画像が表示された帯をタップすると、画像検索によるサムネール一覧が表示。ここでは、各種のフィルタリングが可能で、青っぽい写真、人物の顔が写った写真などで絞り込んで表示させることができる。

 他方、「taipei」で検索した場合は、それが都市の名前であることを判別し、検索結果には、今日の天気や、観光名所、旅行関連Storeアプリなどが表示というように、検索した単語に応じて、動的に表示内容が変わるようになっている。

チャームの検索で「mari」と入力すると、Bing検索の予測候補が表示
marilyn monroeを選ぶと、このような体裁で検索結果が表示
Wikipediaリンクを選ぶと、Wikipediaアプリが起動
左右スワイプで他のアクションを選べるので、画像をタップすると、一覧が表示
さらにメニューから画像に対するフィルタリングもできる
青い画像だけといった絞り込みも可能
都市名で検索すると、地域情報、旅行情報などが表示
旅行アプリの検索結果も表示される

 チャームの設定については、これまで実行できることが限定的だったが、ディスプレイの解像度や表示方法、日付と時刻、地域と言語など、これまでコントロールパネルに行かないとできなかったものも設定できるようになった。

画面設定
日付と時刻の設定
言語の変更や追加もできる

 Windows 8では、WXGA以上の解像度で、フルスクリーン表示のストアアプリを、左右の端にもう1つ縮小表示させるスナップ機能があるが、8.1では、スナップの画面比を自由に変更できるようになったほか、3つ以上の同時スナップも可能となった。デモでは4つのアプリを同時にスナップさせていたが、上限があるのかどうかは不明。

 スナップ機能拡張の理由は、マルチタスク性を上げるためだが、単に表示方法の幅が広がっただけではない。例えば、メールアプリでURLをタップすると、従来はブラウザがフルスクリーン表示されていたものが、メールアプリを画面半分に残したまま、自動的にブラウザが残りの画面にスナップされるというように、使い勝手も高められている。

メールアプリからURLをタップすると
このようにブラウザが半画面でスナップ表示
スナップの幅は自由に変えられる
アプリを3つスナップさせたところ
4つスナップさせたところ
新たにスナップさせるアプリは、このようにウインドウ表示されたものをドラッグして、場所を指定する

 Windows 8では、新しいUIやストアアプリが前面に押し出されているが、旧来のデスクトップについても変更が加えられている。見た目には小さいが、インパクトの大きいのが、スタートボタンの追加だ。

 従来、デスクトップ画面では、マウスカーソルを左下に持って行くと、スタート画面のサムネールが表示され、それをクリックするとスタート画面に遷移していたが、このサムネールがWindowsのロゴに変更され、画面左下に常駐するようになった。

 このスタートボタンを押すと、従来通り、スタート画面に移動するが、タスクバーの設定から、スタートボタンの機能をアプリ一覧に変更できる。これにより、ピン留めしていないデスクトップアプリであっても、従来より少ない手間で起動できるようになる。また、追加の設定で、アプリ一覧でデスクトップアプリを最初に表示という指定もできる。

 このほか、スタート画面にもデスクトップと同じ壁紙を表示させる設定や、起動時の画面をスタート画面ではなくデスクトップにする設定も追加されており、デスクトップアプリ主体で利用するユーザーの利便性が高まった。

8.1のデスクトップ
左下にスタートボタンが常駐
スタートボタンの機能や、ログオン後にどの画面を表示させるかといったことが選択できる
デスクトップの壁紙のままスタート画面を表示させることも可能

 ソフトキーボードも改善されている。まず、入力予測の精度が高められているが、従来は入力候補を選ぶには、指をキーボードから入力欄へと移す必要があり、若干煩雑であった。これが8.1では、スペースキーを横にスワイプすると、候補から単語を選択できるようになった。

ソフトキーボード。入力予測の精度が向上
スペースキーのスワイプで候補から選択できる

 新しい標準アプリも追加されている。1つが「Reading List」というもので、いわゆる「後で読む」系のアプリ。例えば、ブラウザでページを表示している時に、チャームの共有からReading Listを選ぶと、そのURLがアプリに追加される。Reading Listを起動すると、追加したものが時系列に沿って、タイトルなどの概要と関連画像などとともにグラフィカルに一覧表示される。そこから、目的の記事を選択すると、Reading Listは自動的に小さくスナップ表示されるので、ブラウザとReading Listを行き来することなく、順次記事を読んでいくことができる。

 「Bing Food & Drink」アプリは、レシピアプリで、各種のレシピを検索したり、1週間の献立を計画したりといった機能がある。このアプリの特徴は、ハンズフリーモードが搭載されている点。実際に調理を行ないながら、レシピのページをめくると、タッチパネルを汚すことがあるが、ハンズフリーモードをオンにすると、Webカメラを使って、画面に触れず、ジェスチャーでページ送りができる。

 「フォト」アプリは機能強化され、各種の加工ができるようになった。UIも洗練され、加工メニューを選ぶと、円が表示され、くるくる回すようになぞることで、効果の度合いを選択できる。

ブラウジング中にチャームの共有からReading Listを選択すると、ブックマークが追加
Reading Listの画面
記事を選ぶと、自動的にReading Listは小さくスナップ表示される
フォトアプリはさまざまな加工機能が追加
各効果の度合いは円をなぞって調整できる
レシピアプリのBing Food & Drink
1週間の献立を決める機能
ジェスチャーでページ送りができる

 今回紹介された機能は、一部であり、6月末に米国で開催される開発者会議「build」では、より多くが公開される予定。また、そのタイミングで8.1のプレビュー版も公開される。

 説明会の最後では、各社のWindows PhoneおよびPCが紹介されたのだが、ここでLenovoが開発中の8型タブレットが初めて披露された。詳細は不明だが、見た目では10mmを切る厚さで、女性の手にも収まるサイズになっている。また、Windowsボタンが短辺の方にあり、8.1でサポートされるポートレートでの利用を前提にした製品のようだ。3G通信機能も搭載する。

未発表のLenovoの8型Windowsタブレット
裏面
側面。かなり薄型であることが分かる

(若杉 紀彦)