nano tech 2013は、東京ビッグサイト東4~6ホールと会議棟を利用して開催された。Neo Ceramics2013や新機能性材料展2013なども併催されている 「nano tech 2013」は、ナノテクノロジーに関する総合展示会/技術会議であり、今回で12回目の開催となる。ナノテクノロジー専門の展示会としては、世界最大の規模を誇る。ナノテクノロジーとは、ナノメートル(1mの10億分の1)オーダーで物質を制御する技術の総称であり、さまざまな分野での応用が期待されている。nanot tech 2013では、ナノテクノロジーを利用した電子デバイスや研究開発、超微細加工のための機器や計測器など、さまざまな展示が行なわれていたが、ここではその中から、読者の関心が高いと思われるIT関連の話題を取り上げる。
CNT複合材料は高性能ヒートシンクやTIMの材料として有望
毎回、nano techで最大のブース規模を誇るのが、NEDOのブースである。NEDOは、新エネルギー・産業技術総合開発機構の略で、エネルギーや地球環境問題の解決および産業技術の競争力強化を目指すために作られた独立行政法人である。
今回のNEDOブースの大きなテーマが「レアメタル・レアアースの代替材料の開発や削減技術」であった。レアメタルやレアアースは、産業にとって欠かせない材料であるが、供給が不安定になる可能性もあり、削減技術の開発が求められている。例えば、レアアースの1つであるジスプロシウムは、高性能磁石ネオジム磁石の保磁力を高めるために使われているが、代替材料の開発により、削減目標の40%減を達成したという。
CNT(カーボンナノチューブ)に関する展示も多かった。CNTは、カーボンの1原子厚の薄膜であるグラフェンを筒状に巻いたような構造をしており、その巻き方によって単層と多層に大別でき、構造によってさまざまな特性が変わるため、半導体の材料としても期待されている。従来のDIPS法(直噴熱分解合成)を改良したeDIPS法のさらなる改良により、より欠陥が少ない単層CNTの製造が可能になり、直径や形状の制御もできるようになったという。また、CNTをゴムや金属と複合させることで、両者の長所を併せ持つ新材料を作ることができる。
例えば、CNTとCF、ゴムを複合させたCNT/CF(カーボンファイバー)/ゴム複合材料は、軽さと柔らかさを持ちながら、鉄並みの熱伝導率を実現しており、CPUダイとヒートスプレッダなどの間で熱を伝えるTIMや放熱シートとして有望である。CNTとアルミを複合した材料は、純アルミの約4倍の熱伝導率を実現し、伝熱方向も制御可能なので高性能ヒートシンクに最適だ。
スライドリング・マテリアルと呼ばれる新規高分子材料を用いた、低電圧で駆動する高分子誘電アクチュエータの展示も興味深かった。出力はそれほど大きくはないが、材料そのものが柔らかく、駆動音がしないという利点があるため、筋電義手や床ずれ防止マット、電動歯ブラシなどへの応用が期待される。
そのほか、発光効率や寿命が長い照明用有機ELや全印刷プロセスで作る有機TFTアレイなどの展示にも注目が集まっていた。数年前から有機ELを照明に使おうという提案がなされているが、発光効率や生産性が向上してきたこともあり、近いうちに製品化されそうだ。
また、リチウムポリマー二次電池の正極材料として、新たな有機硫黄ポリマーが提案されていた。この有機硫黄ポリマーは、硫黄系材料と多電子反応の有機正極系材料を利用していることが特徴であり、反応に数個の電子が寄与するため、従来の2~5倍の高容量化が可能だという。あくまで研究開発段階だが、今回のnano techでは、こうしたリチウムイオン/リチウムポリマー二次電池の高容量化に関する展示が多く、高容量化へのニーズはやはり大きいという印象を受けた。
NEDOブースでは、レアメタル・レアアースといった希少材料の代替材料の開発や削減技術が大きなテーマとして挙げられていた 具体的なテーマと出口製品イメージ。例えば、ジスプロシウムは目標の40%減を達成し、代替に成功した。セリウムやタングステンもそれぞれ目標を達成している レアメタル・レアアースを使用する最終製品までのサプライチェーンの展示。インジウムは液晶パネルの透明電極に使われている。白金は触媒としての活性が高く、自動車の排気ガスの浄化などに使われている 左がeDIPS法で作られた単層CNT。右が、それを金属型と半導体型に分離したもの スーパーグロース法で作られたCNT複合材料の説明。スーパーグロース法CNT複合材料は高い電気伝導度や熱伝導率を実現する。例えば、CNT/CF/ゴム複合材料は軽くて鉄並みの熱伝導率を実現しており、CPUダイとヒートスプレッダなどの間で熱を伝えるTIMや放熱シートとして有望である スーパーグロース法CNT複合材料の例。手前右が熱伝導性の高いゴムシートである こちらはスーパーグロース法CNTとアルミの複合材料。熱の伝わる方向を制御可能で、熱伝導率は純アルミの約4倍、銅の約2.5倍を達成 スーパーグロース法CNTと金属の複合材料に関する説明。CNT-Cuは銅と同等の導電率を持ちながら、銅の数百倍の電流容量を実現しており、軽量電線や電子デバイス用微細電子回路への応用が期待される スライドリング・マテリアルによる高分子誘電アクチュエータに関する説明。スライドリング・マテリアルを用いることで、従来より低電圧で駆動する高分子誘電アクチュエータを実現できる 高分子誘電アクチュエータのデモ。動きは小さいが、卵の殻に手を乗せると、上下に動いていることがわかる こちらは、高分子誘電アクチュエータを6本利用した筋電義手の試作品。手前にある筒状のものが、高分子誘電アクチュエータである 高生産性有機EL照明を支える薄膜塗布技術に関する説明。正孔注入層をスリットコートで成膜した試作デバイスは、発光効率87lm/W、輝度半減寿命10時間超を実現した 【動画】世界に先駆け発光材料の全リン光化を実現した有機EL照明のデモ 印刷できる高性能有機半導体を用いた液晶ディスプレイに関する説明。簡便な溶液塗布法で、従来より格段に高性能な有機半導体トランジスタを作成することが目的 結晶性薄膜を一方向に成長させる「塗布結晶化プロセス」により、移動度が10平方cm/Vsを超える有機TFTアレイを実現 塗布法により高移動度有機TFTアクティブマトリックスを作成し、液晶ディスプレイを試作した 左が塗布法で作成したTFT液晶パネル。右が蒸着法で作成したTFT液晶パネル。塗布法で作成したTFT液晶は、蒸着法の8倍の480Hzで駆動可能 高反射型カラー電子ペーパーの開発に関する説明。カラー印刷と同じ減法混色表示により、カラー表示を実現している シアン・マゼンタ・イエローを発色するエレクトロクロミック材料を開発。この3層を積層し、1つのアクティブマトリクスTFTで駆動する 【動画】6型XGAモノカラー(マゼンタ)パネルのデモ。64階調表示が可能で、精細度は200ppi 手前にある3つの小さなパネルが、3層を積層したフルカラーパネルである 全印刷プロセスで作るフレキシブル有機TFTアレイに関する説明。プラスチック基板に印刷法で有機TFTを作製することで、フレキシブルな電子ペーパーを実現できる 印刷法で作製した有機TFTを利用したフレキシブル電子ペーパー。11型で、精細度は73ppiである 有機EL照明による照明空間に関する説明。標準化に向けて照明用有機ELパネルの量産実証試験を行なっている シーリング型の有機EL照明の試作機。25枚の有機ELパネルを使用している スタンドタイプの有機EL照明の試作機。こちらは薄さを活かしたデザインで、外観もスマートだ スタンドタイプの有機EL照明の有機EL面。長方形の有機ELパネルが2枚使われている 有機硫黄ポリマーを用いた高容量リチウムポリマー電池の開発に関する説明。硫黄系材料と多電子反応の有機正極系材料を利用することで、従来の2~5倍の高容量化が可能 ハイブリッドHDDや高性能透明導電フィルムなどを展示していた東芝
東芝は、ナノテクノロジーに力を入れており、毎年nano techに出展を行なっている。東芝は、NAND型フラッシュメモリ分野で世界2位のシェアを誇るが、nano tech 2013のブースにも、最新の19nmプロセスで製造されるNAND型フラッシュのウェハが展示されていた。
このフラッシュメモリは、1セルあたり3bitの情報を記録するTLC NANDであり、1チップで128Gbitの容量を実現する。なお、説明員によれば、TLCフラッシュメモリは、1セルあたり2bitの情報を記録するMLCフラッシュメモリに比べて、書き換え可能回数などのスペックが劣るため、当面はSSDに採用する予定はなく、USBメモリやSDカードに採用されているとのことだ。さらに、ダイを積層する多段パッケージ技術により、64Gbitチップを16段積層することで、1パッケージで128GBの大容量を実現可能だ。
また、NAND型フラッシュメモリの利用例として、HDDとフラッシュメモリを組み合わせたハイブリッドHDDの展示やデモも行なっていた。SSD搭載ノートPCとハイブリッドHDD搭載ノートPC、通常のHDD搭載ノートPCで、Windows 7の起動やアプリケーション起動時間を比較していたが、ハイブリッドHDDはSSDに迫る性能を発揮していた。展示されていたハイブリッドHDDの最新モデル「MQ01ABD100H」は、1TB HDD+8GB SLCフラッシュメモリという構成になっている。
HDDの記録密度を高めるためには、記録媒体、再生ヘッド、記録ヘッドの3つが高密度記録に対応する必要がある。東芝は、1平方インチあたり5Tbitという、現行の記録密度の6~7倍の記録密度に対応可能な新しい構造の再生ヘッドに関する展示を行なっていた。東芝が開発した再生ヘッドは、現行のTMRヘッドの進化形であり、絶縁体にナノメートルスケールのコンタクト部を設けたことが特徴だ。コンタクト部を設けることで、MR比(磁気抵抗比)が高くなり、より感度が高くなる。
グラフェン(炭素原子でできた原子1個分の厚さの膜)複合透明導電フィルムに関する展示も興味深かった。透明導電フィルムは、タッチパネルや液晶ディスプレイ、太陽電池などに使われており、現在はITOと呼ばれる素材が主流である。ITOにはレアメタルの1つであるインジウムが含まれており、その代替材料に注目が集まっている。グラフェンは、安定かつ平坦なことが利点だが、比較的抵抗が高いことが欠点である。そのグラフェンの上に低抵抗だが、不安定な銀ナノワイヤを積層してポリマーで支持することによって、両者の長所を併せ持った高性能な透明導電フィルムを実現している。
東芝は、以前からSCiBと呼ばれる独自リチウムイオン電池の開発を行なっており、ブースではSCiBの実用例として、スズキの新型ワゴンR FXリミテッドと2012年11月に販売が開始された定置式家庭用蓄電システム「エネグーン」が展示されていた。新型ワゴンR FXリミテッドには、ブレーキ回生システム「ENE-CHARGE」が搭載されているが、ブレーキで発生するエネルギーを蓄えるためにSCiBが使われているのだ。
OLED(有機EL)とLEDを組み合わせた、次世代照明に関する展示にも注目が集まっていた。OLEDとLEDを利用したペンダント型照明が展示されており、両者を使い分けることで、暮らしのシーンにあわせたあかり空間を提供できるという。展示されていたOLEDは、発光効率が91lm/Wと高いが、色温度が3,000Kと低めで、光がかなり赤っぽく感じられる。日本を含むアジア圏ではもっと色温度の高い照明が好まれるが、色温度を高くしようとすると、発光効率が下がってしまうとのことだ。また、青色レーザーダイオードを利用した照明のデモも行なわれていた。これは、青色レーザーダイオードの光を光ファイバーで発光部まで運び、発光部の蛍光体に当てることで白色光を得るというものだ。
そのほか、室内光でも発電効率が高い有機薄膜太陽電池やレアメタルであるジスプロシウムを使わずに、ほぼ同等の磁力を実現したモーター用磁石に関する展示も行なわれていた。
東芝のNAND型フラッシュメモリに関する説明。最先端の19nmプロセスで、1セルあたり3bitの情報を記録するTLC NANDを製造している。また、多段パッケージ技術により、64Gbitチップを16段積層することで、1パッケージで128GBの実現が可能だ 19nmプロセスルールで製造されたNANDフラッシュのウェハ。直径は30cmである ハイブリッドドライブに関する説明。HDDの大容量とSSD並の体感性能を両立。最大容量は1TBまで用意されている 左から512GB SSD、1TBハイブリッドHDD、通常の2.5インチHDDのスケルトンモデル SSDとハイブリッドHDD、HDDのWindows 7起動時間比較。SSD搭載モデルは28秒、ハイブリッドHDD搭載モデルは34秒、HDD搭載モデルは51秒で起動した。ハイブリッドHDDとSSDの起動時間の差は6秒しかないが、ハイブリッドHDDとHDDの差は17秒もある SSDとハイブリッドHDD、HDDのWindows 7起動+アプリケーション起動時間比較。Windows 8起動後、アプリケーションを複数起動し終わるまでの時間を計測したところ、SSD搭載モデルは32秒、ハイブリッドHDD搭載モデルは45秒、HDD搭載モデルは1分14秒であった ハイブリッドHDD(左)と通常のHDD(右)の裏側。ハイブリッドHDDの方が基板のスルーホールの数が多く、パターンが複雑である 1平方インチあたり5Tbitの再生が可能なHDD用Trilayer構造ヘッドに関する説明。TMRヘッドの進化形であり、絶縁体にナノメートルスケールのコンタクト部を設けたことがポイント HDDの構造。磁気記録媒体に記録された情報を磁気ヘッドで読み出す 磁気ヘッドは記録ヘッドと再生ヘッドから構成されている。再生ヘッドは磁界に応じて発生する電圧変化を検出する ナノコンタクトMRのコンセプトは、絶縁部にコンタクトエリアを設けて、MR比を上げることにある ナノコンタクト部のcAFM(電導性原子間力顕微鏡)とTEM(透過型電子顕微鏡)による観察。左の図で、鋭いピークが出ている部分がコンタクト部である グラフェン複合透明導電フィルムに関する説明。グラフェンと銀ナノワイヤを積層することで、両者の長所を活かした高性能な透明導電フィルムを実現できる ガラス基板の上にグラフェン膜を作り、その上に銀ナノワイヤの分散液をかけて、ポリマー溶液で固定後、基板からはがして導電フィルムを作成する 手前の黒い溶液がグラフェン膜の材料となる酸化グラフェン分散液。奥のグレーの溶液が銀ナノワイヤ分散液である 完成した透明導電フィルム。上が表面抵抗率11.7Ω/□(オームパースクエア、表面抵抗率の単位)で、下が4.9Ω/□ 車載用/定置用二次電池SCiBに関する説明。SCiBはリチウムイオン電池の一種だが、負極にナノLTOを利用することで、急速充電や長寿命化を実現する 手前がSCiBの3Ahセルと20Ahセル。後ろがそれぞれのセルを採用したバッテリパックとモジュール SCiBを利用したブレーキ回生システム「ENE-CHARGE」搭載のスズキ新型ワゴンR FXリミテッド ワゴンR FXリミテッドの助手席の下にSCiBを搭載したバッテリパックが設置されている 定置式家庭用蓄電システム「エネグーン」に関する説明。こちらにもSCiBが使われている 次世代照明に関する説明。OLEDとLEDの融合により、暮らしのシーンにあわせたあかり空間を提供する 発光効率91lm/Wを実現した高効率OLEDパネル。色温度は3000Kと低めだ OLEDとLEDを利用したペンダント型照明。中央に3つある点光源がLEDで、その周りの正方形の光源がOLEDだ LEDのみ点灯したところ。薄いというOLEDの特徴を活かし、周囲に穴が空いたデザインになっているのも面白い レーザーダイオード照明に関する説明。青色レーザーダイオードの光を光ファイバーで発光部まで運び、発光部の蛍光体に当てることで照明として利用する仕組みだ 下側の青いユニットが、青色レーザーダイオードが内蔵されているライトエンジンで、上にあるのが発光部である 有機薄膜太陽電池に関する説明。室内光でも発電効率が高いことが特徴 5cm角のサブモジュールで、有機薄膜太陽電池としては世界最高となる変換効率7.7%を実現した こちらは20cm角のモジュールで、実際に室内灯の明かりで発電を行ない、LEDを点灯させていた レアメタルであるジスプロシウムを使わずに、ほぼ同等の磁力を実現したモーター用磁石に関する説明 サマリウム・コバルト磁石の鉄濃度を高めることで、高磁力を実現した 耐熱型ネオジム磁石と同等の磁力を実現した高鉄濃度サマリウム・コバルト磁石 産総研が有機薄膜太陽電池やハンディ燃料電池システムなどを展示
産総研(産業技術総合研究所)のブースでも、フレキシブルな有機薄膜太陽電池をより低コストで製造する方法や、熱を電気に変換するフレキシブル熱電材料など、さまざまなナノテクノロジー関連の展示が行なわれていた。
PCやスマートフォンに関係の深いテーマとしては、高容量で低コストなリチウムイオン二次電池や全固体型薄膜リチウム空気電池に関する研究が挙げられる。カセットコンロなどで使われるLPGカセットボンベを燃料として用いる、ハンディ燃料電池システムにも注目が集まっていた。このハンディ燃料電池システムは、その名の通り、片手で持ち運べるサイズと重量を実現しており、LPGカセットボンベ1本で約24時間の発電が可能だ(出力50W仕様の場合)。従来のガソリン発電機に比べてコンパクトで静かなため、災害時や屋外での電源として期待される。
また、CNTを利用したアクチュエータも興味深かった。従来の誘電アクチュエータは、動作に高電圧が必要であったが、ナノカーボンソフトアクチュエータは、数Vという低電圧で動作が可能である。CNT関連の話題としては、CNTトランジスタの印刷形成技術に関する展示もあった。製造工程の改良により、出力電流のバラツキが抑制され、キャリア移動度が従来の40倍に向上したという。
低コストフレキシブル有機薄膜太陽電池に関する説明。有機太陽電池の弱点である耐久性をナノテクで改善したことが特徴 フレキシブル有機薄膜太陽電池の例。さまざまな形状に加工が可能だ 【動画】葉っぱの形状のフレキシブル有機薄膜太陽電池で、モーターを駆動しているところ 熱を電気に変換するフレキシブル熱電材料に関する説明。小型GPS用電源などの応用が考えられている フレキシブル熱電材料のデモ。左の枚数で13.1mVの熱起電力がある 高容量・低コストのリチウムイオン二次電池電極材料に関する説明。高価なコバルトやニッケルを使わずに、高容量化を実現 正極材料としてマンガン酸化物を、負極材料としてチタン酸化物を開発。重量エネルギー密度は現行の正極材料よりも高い チタン酸化物負極材料の粉体。コイン型電池やラミネート型セルの試作も行なっている 全固体型薄膜リチウム空気電池に関する説明。リチウムイオン電池よりも高い理論エネルギー密度を持つ、リチウム空気電池の全固体化に成功した 上が全固体リチウム空気二次電池セルの試作品。下が酸化物全固体リチウムイオン二次電池セルの試作品 ハンディ燃料電池システムに関する説明。LPGカセットボンベで発電が可能だ ハンディ燃料電池システムの構造図。左の写真のように、片手で持ち運べるサイズと重さを実現 ハンディ燃料電池システムの中身。出力は直流5Vで、USBパワーとして利用できる ハンディ燃料電池システムによる発電の様子。燃焼開始から約2分で450℃まで昇温し、発電が開始される ハンディ燃料電池システムの試作品。下にあるのが、発電を行なうSOFCモジュールだ 燃焼開始からの時間と温度、電圧の関係。50W仕様ならLPGカセットボンベ1本で24時間の運転が可能 ナノカーボンソフトアクチュエータに関する説明。カーボンナノチューブを利用することで、低電圧での駆動を実現している 【動画】ナノカーボンソフトアクチュエータの動作デモ。先端の黒いリボン状のものがナノカーボンソフトアクチュエータであり、電圧をかけることで上下に屈曲する CNTトランジスタの印刷形成技術に関する説明。製造工程の改良により、出力電流のバラツキが抑制され、キャリア移動度が従来の40倍に向上した 中央が印刷によって形成されたCNTトランジスタ。フレキシブルな大面積センサーデバイスなどへの応用が考えられる 帝人は各種ナノファイバーやSiインクなどを展示
帝人ブースでは、帝人が得意とする各種ナノファイバーに関する展示が行なわれていた。ナノフロントは、超極細繊維により、高い遮熱性を実現した生地である。一般的なUVカット加工生地との遮熱性比較を行なっていたが、7.3℃もナノフロントの方が温度が低くなっており、日傘や帽子などに最適であろう。また、カーボンナノファイバーや、カーボンナノファイバーを電極として利用したコイン電池の試作品も展示されていた。そのほか、プリンタブルエレクトロニクス用材料として開発中のSiインクや、Siインクを利用して作られたTFTなどの展示も行なわれていた。
超極細繊維により、高い遮熱性を実現したナノフロント(左)。一般的なUVカット加工生地の温度は56℃まで上昇しているのに対し、ナノフロントは48.7℃と7.3℃も低い 開発中のカーボンナノファイバー(左)とカーボンナノファイバーを利用したコイン型電池の試作品(右) Siインク/ペーストに関する説明。フラットパネルディスプレイ用TFTや太陽電池、各種センサーへの応用が期待されている 左が開発中のSiインク、右がSiインクによって作られたTFT