イベントレポート
Intel、18コア/36スレッドに達した「Core i9-7980XE」を発表。新ソケットLGA2066導入
~X299チップセットやオーバークロック向け保証も
2017年5月30日 16:01
Intelは30日(台湾時間)、開発コードネーム“Basin Fall”(ベイスンフォール)の開発コードネームで知られてきた「Core Xシリーズ・プロセッサ」、「Intel X299 チップセット」を発表した。
Skylake-X(スカイレイク・エックス)、Kaby Lake-X(ケイビーレイク・エックス)という2つのプロセッサから構成されるCore Xシリーズ・プロセッサは、最上位SKUのCore i9-7980XEで18コア/36スレッドというデータセンター向け製品も顔負けの仕様になっており、従来3/5/7の3つだったCoreプロセッサに、新しく9というセグメントが加わっていることも特徴と言える。
Intelはこの新しいCore Xシリーズ・プロセッサをハイエンドPC向けと位置づけており、ゲーミングPCやプロフェッショナル用デスクトップPC向けとして販売していく方針だ。
コア数、PCI Express、メモリチャネルの違いでSkylake-XとKaby Lake-Xの2製品を用意
今回Intelが発表したIntel Core Xシリーズ・プロセッサ/Intel X299 チップセットは、Basin Fallの開発コードネームで知られる新製品で、Skylake-XおよびKaby Lake-Xという2つのプロセッサから構成されている。
製品ブランド | Core Xシリーズ・プロセッサ/Intel X299チップセット | Core Xシリーズ・プロセッサ/Intel X99チップセット | Core Xシリーズ・プロセッサ/Intel X99チップセット | |
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製品開発コードネーム | Skylake-X | Kaby Lake-X | Boradwell-E | Haswell-E |
登場年 | 2017年 | 2016年 | 2015年 | |
製造プロセスルール | 14nm | 22nm | ||
CPUコア数 | 18/16/14/12/10/8/6コア | 4コア | 10/8/6コア | 8/6コア |
Turbo Boost MAX technology 3.0 | 対応(一部SKUは非対応) | - | 対応 | - |
シェアードキャッシュ(LLC) | 最大16.5MB | 最大8MB | 最大25MB | 20MB |
PCI Expressレーン(CPU側) | 最大44 | 16 | 最大40 | |
PCI Expressレーン構成(CPU側のみ) | 2x16/4x8 | 1x16/2x8 | 2x16/4x8 | |
メモリ | DDR4-2666/4チャネル | DDR4-2666/2チャネル | DDR4-2400/4チャネル | DDR4-2133/4チャネル |
TDP | 165/140W | 112W | 140W | 140W |
ソケット | LGA2066 | LGA2011-v3 | ||
倍率ロック | アンロック |
メインストリーム向けのSkylake、Kaby Lakeではそれぞれ第6世代、第7世代と世代が違う製品という扱いになっているが、今回はSkylake-Xが上位で、Kaby Lake-Xが下位製品という扱いになる。
最大の違いはCPUのコア数で、Kaby Lake-Xが4コアまでになっているのに対して、Skylake-Xは6コア、8コア、10コア、12コア、14コア、16コア、18コアまで用意され、従来製品となるBroadwell-E/の10コアから大幅にコア数が増やされている。このほか、Skylake-XはTurbo Boost Max 3.0に対応(Kaby Lake-Xは未対応)、CPU側のPCI Expressレーンが44レーン(Kaby Lake-Xは16レーン)、メモリが4チャネル(Kaby Lake-Xは2チャネル)、TDPが165/140W(Kaby Lake-Xは112W)というあたりが違いとなる。
アーキテクチャの観点から言えば、Skylake-Xでは新しくAVX512に対応しているなど、機能強化が実現されている。また、Skylake-Xではキャッシュ階層が改良されている。Broadwell-Eまでは各CPUコアあたりにL2キャッシュが256KB、ほかのコアと共有するLLC(L3キャッシュとも呼ばれる)が2.5MB搭載されていた。対して、Skylake-Xでは、CPUコアのL2キャッシュが1MBに増やされ、逆にコアあたりのLLCは1.375MBに減らされている。これは、よりCPUに近く遅延が少ないL2キャッシュを増やすことで、キャッシュのヒット率を上げる狙いがあるとIntelでは説明している。
Broadwell-E世代で導入されたTurbo Boost Max 3.0は、Skylake-Xだけでサポートされるが、機能は強化されている。Broadwell-E世代で導入されたTurbo Boost Max 3.0では複数あるCPUコアから、一番オーバークロックできそうな1つのCPUコアを自動で判別し、そのコアだけをオーバークロックするという機能が導入されていた。Skylake-Xではそれに加えて、1つのコアだけでなく2つのコアを選んでオーバークロックすることが可能になっている。
このほか、オーバークロック関連の機能としては、AVX命令実行次にCPUクロックを引き上げないようにするAVXオフセット機能がAVX512に対応していること、メモリコントローラの電圧を調整できるようになっていること、GPUが接続されているPCI Expressとチップセットを接続するDMIのオーバークロックも可能になっていることなどが追加されている。
また、オーバークロッカー向けの“Performance tuning protection plan”と呼ばれる、オーバークロックに失敗して機材を壊してしまったときの一種の保険プログラムも提供される予定(詳細は現時点では明らかにされていない)。
チップセットはX299、最上位の18コアはCore i9-7980XEで、Core i9ブランドが新たに導入される
今回発表された新しいプラットフォームは、CPUソケットがLGA2066(Socket R4)へと変更されている。その名前の数字からもわかるように、Broadwell-E世代までで使われていたLGA2011-v3(Socket R3)からピン数が増えている。このため、Broadwell-E、Haswell-E用のマザーボードとピン互換ではないので、マザーボードはBasin Fall用のマザーボードが必要になる。
Basin Fall用のチップセットは、Intel X299 チップセットとなる。I/Oレーンは30レーン分が用意されており、PCI Express(Gen3、最大24レーン)、SATA 3.0(最大8ポート)、USB 3.0コントローラ(最大10ポート)の中から最大30本分をマザーボードメーカーが選択できる。例えば、PCI Expressが16レーン、SATA 3.0を4ポート、USB 3.0を10ポート(16+4+10=30)などと構成することが可能になっている。さらにOptaneメモリへの対応なども特徴となっている。
Intelが発表したIntel Core Xシリーズ・プロセッサ/Intel X299 チップセットのSKU構成は以下のようになっている。
プロセッサナンバー | 開発コードネーム | ベースクロック | Turbo Boost 2.0時クロック | Turbo Boost Max 3.0時クロック | コア/スレッド | L3キャッシュ | PCI Expressレーン数 | メモリサポート | メモリチャネル数 | TDP | ソケット | 1000個ロット時価格(米ドル) |
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Core i9-7980XE | SkylakeーX | - | - | - | 18/36 | - | - | - | - | - | LGA2066 | 1,999ドル |
Core i9-7960X | SkylakeーX | - | - | - | 16/32 | - | - | - | - | - | LGA2066 | 1,699ドル |
Core i9-7940X | SkylakeーX | - | - | - | 14/28 | - | - | - | - | - | LGA2066 | 1,399ドル |
Core i9-7920X | SkylakeーX | - | - | - | 12/24 | - | - | - | - | - | LGA2066 | 1,199ドル |
Core i9-7900X | SkylakeーX | 3.3GHz | 4.3GHz | 4.5GHz | 10/20 | 13.75MB | 44 | DDR4-2666 | 4 | 140W | LGA2066 | 999ドル |
Core i7-7820X | SkylakeーX | 3.6GHz | 4.3GHz | 4.5GHz | 8/16 | 11MB | 28 | DDR4-2666 | 4 | 140W | LGA2066 | 599ドル |
Core i7-7800X | SkylakeーX | 3.5GHz | 4GHz | - | 6/12 | 8.25MB | 28 | DDR4-2666 | 4 | 140W | LGA2066 | 389ドル |
Core i7-7740X | Kaby Lake-X | 4.3GHz | 4.5GHz | - | 4/8 | 8MB | 16 | DDR4-2666 | 2 | 112W | LGA2066 | 339ドル |
Core i5-7640X | Kaby Lake-X | 4GHz | 4.5GHz | - | 4/8 | 6MB | 16 | DDR4-2666 | 2 | 112W | LGA2066 | 242ドル |
なお、今回は14コア以上の製品に関しては、プロセッサナンバー、コア数、価格が発表されただけで、クロック周波数、キャッシュ容量などに関しては未発表となっている。これらは今後発表される予定だとIntelでは説明している。