イベントレポート
COMPUTEXよもやま話
~話題の新製品はいつ発売?
2017年6月5日 01:46
Kaby Lake-Xの真相
Skylake-Xとともに発表された、下位という位置づけのKaby Lake-X。プラットフォームこそSkylake-Xと同じくLGA2066ソケットに対応するが、コア数はLGA1151ソケットのKaby Lake-Sと同じだ。
実は、Kaby Lake-Xは純粋にKaby Lake-Sのダイをそのままに、LGA2066パッケージに封入したモデルである。機能がそのままであるため、CPUから出るメモリチャネルは2つのみで、PCI Expressレーンも16レーンに制限される。
このため、Intel X299マザーボードの多くでPCI Express x16スロットを多数備えているが、Kaby Lake-Xで使えるスロットは限られる。一方、メモリスロットも8本あるうち、片方(A/Bチャネル)のスロットしか使わず、もう片方は使えないことになる。
ただしLGA2066では、LGA1151と比較してダイに接続されている電源ピン数が若干多く、安定した電源供給が可能であり、約200~300MHz高いクロックが狙えるという。
しかし、ダイとヒートスプレッダの接合はSkylake-Xと同じグリスであり、この点がボトルネックになる可能性がある。
Skylake-Xの投入は3段階
Intelは30日(台湾時間)に、最大18コア/36スレッドのCore i7/i9シリーズを発表したが、投入時期については明らかにされていない。
OEMメーカーらが現段階で得ている情報によると、IntelはSkylake-Xを3段階で投入する予定だという。まずは6コアのi7-7800Xと8コアのi7-7820X、10コアのi9-7900Xを6月下旬に投入。数週間開けて、最大12コアのi9-7920Xを発売。また数週間を経て、最後に14コアのi9-7940X、16コアのi9-7960X、18コアのi9-7980XEを投入する予定だ。
具体的な時期への明言は避けられたが、対抗するRyzen Threadripperはすでに今夏投入されることが明らかとなっていることから、Core i9-7980XEが9月以降になるという可能性は低いかもしれない。
Skylake-Xのライブデモは禁止?
COMPUTEXとともに発表されたSkylake-Xだが、COMPUTEX期間中ライブデモは禁止というお達しがあったという。確かに、メーカーのプライベートブースを除き、展示会場で一般大衆が触れられるSkylake-Xのシステムは皆無であった。
前回(2016年)の時も、同じ時間にBroadwell-Eを発表したのだが、この時会場での展示機は製品版のCore i7-5960Xであった。一方、今回はエンジニアリングサンプルしか配布できなかったのが禁止になった理由の1つかもしれない。
この影響で、GALAXのブースでオーバークロックを行ない、HWBOTのスコアを狙っていたDuck氏も、Skylake-XではなくBroadwell-E+GeForce GTX 1080 Tiを使ったオーバークロックを行なった。
Intel未発表のサーバー向けプラットフォーム
今回、エンタープライズ向け製品の多くで、マザーボードのCPUソケット部分の製品写真を撮ってはならないというブースが多く存在した。例えば、Supermicroが展示を行なった2Uのマルチノードシステム「BigTwin」などがそうであった。
すでに発表されているBigTwinは、LGA2011ソケットを採用していることから、展示機はSkylakeをベースとしたXeonシリーズ、つまり次世代のLGA2066のようなソケットが採用されていることが想像される。
なお、次世代のXeonについては、性能と機能を差別化したグレードを、「BRONZE」、「SILVER」、「GOLD」、「PLATINUM」といった金属名で展開することがすでに発表されている(記事:“Skylake”アーキテクチャ採用次世代Xeon E7プロセッサは「Xeon Platinum」に参照)。
今年のCOMPUTEXは来場者が少ない?
「今年は人が少ないね」--ブースを構えるメーカー全てが口をそろえる。TAITRAが4日に発表した速報値によると、海外からの来場者は6月3日12時時点で41,378人と、2016年より1%増の結果を残しているが、メーカーとしては楽観的ではないようだ。筆者も同様の印象を受ける。
今年はIntelがブース出展をついに取りやめた。大規模なブースを構えていた某メーカーの話によると、南港に5日間出展するのにかかった費用はおおよそ200~300万ニュー台湾ドル(およそ730万~1,100万円)だという。Intelが従来出展していた規模では、これ以上の経費がかかることが予想される。来場者数とコストが見合わないと予想し踏ん切りをつけたのか、Intelは出展を取りやめたようだ。
加えて、今年はコンパニオンの数も少なかった。これもメーカーのコスト削減の一環かもしれないが、これによってコンパニオン目当てで来る人たちも減った印象を受けた。追い打ちをかけるかのように、金曜日(6月2日)は豪雨(記事:COMPUTEX TAIPEI取材班、記録的な豪雨に襲われる)となり、一部交通機関の麻痺も足かせとなった。
PC WatchのロゴがCOMPUTEX TAIPEI会場に
MOD好きならもうお気づきだろうが、実はCOMPUTEX TAIPEI 2017のブースが多数出展されている南港展覧館の4階の一角にある「Cybermods 24hrs」のコーナーの柱が、世界各地のメディアのロゴでラッピングされている。このなかに、PC Watchも混じっているのだ。
弊誌は特に協賛しているわけではないのだが、Cybermods 24hrsを主催しているCybermediaから、ぜひともロゴを掲載したいとの申し出があったのだ。
PC Watchとしては、COMPUTEXのような世界級のPCイベントに、日本メディアとして唯一、世界の強豪メディアと並んで出たことを誇りに思うとともに、この場をお借りしてCybermediaに感謝の言葉を申し上げたい。