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Huawei、MateBookの後継機種投入を明言
~今後投入予定のスマートフォンでの防水対応も示唆
2016年10月28日 06:00
来年MateBookの後継モデルを投入予定、新たな入力方法の模索も
インタビューではまず、モバイルブロードバンド&ホームデバイスプロダクトライン社長のWan Biao氏により、Huaweiのコンシューマ部門が掲げる理念や現状についての説明があった。
Wan氏によると、Huaweiのコンシューマ部門はスマートフォンとモバイルブロードバンドが大きな柱になっているという。そういった中で、「Connected People」、「Connected Home」、「Connected Office」、「Connected Car & M2M」という4つのシナリオを掲げ、それぞれのシナリオに応じたさまざまの製品に現在特に注力している。
Connected Peopleはウェアラブルデバイスやタブレット、Connected HomeはWi-Fiルータなど、Connected Car & M2MはいわゆるIoT分野で車載用3G/4G対応デバイスを指し、それぞれがHuaweiが提供するクラウドサービスと接続し、1つのIDで連携して付加価値の高いサービスの提供を目指しているとのこと。
そういった中、Connected Officeに属する製品となるのが、2016年2月の「Mobile World Congress」で発表された「MateBook」だ。Huawei初となるWindowsベースの2in1タブレットPCで、Mobile World Congressというモバイル分野の展示会に合わせて発表されたことも大きな驚きだった。
なぜ、そのタイミングでHuaweiが2in1タブレットPCを投入することになったのか。この点についてWan氏は「Huaweiはさまざまなシナリオでユーザー体験を提供したいと考えている。そういった中、PC分野は今後もまだまだ発展の余地があると考えている。そして、消費者もユーザー体験に優れるPC製品を求めている。特にクリエイティブな要素を備える製品は将来性が高く、最適の製品としてMateBookを開発した」と説明する。
ビジネス向けPCでは軽さや携帯性、価格が重視され、ゲームやVR、エンターテインメント用PCでは高性能が求められており、PC分野にはまだまだ応用の場面が多く残されているとWah氏。そういった中でHuaweiが、ビジネスシーンでのユーザー体験を高めるために開発したのがMateBookだった。そしてMateBookの開発には、これまでHuaweiが開発してきたさまざまな製品で培った経験が活かされているという。
例えば、MateBookに搭載されている指紋認証センサーは、スリープ状態で指紋認証センサーに指を触れることで、スリープ復帰と指紋認証によるログオン認証を同時に行なうようになっている。これは当時2in1 PCとして世界初となる技術だったが、これはスマートフォンの技術を活かして搭載されたものだ。
フルメタルボディの外観も、スマートフォンで培った外装技術が活かされている。そして、スマートフォンでの“軽く持ちやすい”という理念を受け継ぎ、携帯性に優れるコンパクトさと軽さを追求するために、ボディ素材の選択も含めて研究を重ね開発したという。
ただ、まだ足りない部分も多くあるとWan氏は指摘する。その1つが入力方法で、音声入力や手書きなど、さまざまな入力方式を支える技術の研究開発を進める必要があると考えているという。そういった中、キーボードを使った入力は難しいと考え、より簡単な、これまでにない新しい入力方法を模索しているとのこと。
それがどういったものなのか、今回のインタビューでは詳細は語られなかったが、「期待してほしい」というWan氏の言葉には自信のほどが伺えた。
MateBookの次期モデルについては、MicrosoftやIntelと緊密に連携しつつ、既存のWindowsだけでなく、将来のバージョンに関しても協力して開発が進んでいるという。来年には後継モデルを紹介できるとのことで、先ほどの新しい入力方法を含め、次期モデルがどういった姿になるか、今から注目したい。
次期PシリーズとMateシリーズにライカカメラを採用、防水対応も進める
続いて、スマートフォンを中心としたハンドセット部門の副社長、Li Changzhu氏により、Huaweiが開発するスマートフォンに関して話を聞いた。
現在Huaweiのスマートフォンは、中国市場ではシェア20%を獲得しNo.1、日本市場ではSIMロックフリー市場で4カ月連続No.1になってるが、グローバルでのシェアは14%でNo.3の位置となっており、シェアはまだ低いと指摘。ただ、グローバルシェアは今後伸びる余地が大きいとしつつ、今後さらにシェアを伸ばしていきたいという。
そのためには、製品の品質が特に重要と考えるとともに、競争力を維持するために、技術革新にも取り組んでいるという。そのためにHuaweiでは、利益の15~20%を技術開発に投資しているとのことだ。
とは言え、スマートフォンで必要となる要素技術は多岐に渡っており、それらを独自で開発し組み込むことの難しさも指摘。例えば、スマートフォンにはディスプレイ、カメラ、SoC、バッテリ、構造、外観など、さまざまな重要な要素があるが、そのうちSoCは子会社のHiSiliconが担当していたり、カメラのレンズや各種センサーはパートナーメーカーとの協業を行なっているという。そういった中で、独自開発技術も盛り込み製品の品質を高めつつ、クリエイティブな商品を送り出していきたいと意欲を示した。
ただし、「いくらすばらしい技術を使っていても、ユーザー体験が悪いと全く意味がない」ともLi氏は指摘する。技術も重要だが、それ以上に重要なのがユーザー体験で、そのために特に、外観、バッテリ駆動時間、カメラ画質、通信機能、音質に注力して開発リソースを割きたいとした。
続いて、重視している要素の1つであるカメラ機能について聞かれたLi氏は、「デュアルカメラは重要な機能として今後も継続していきたい」と答えた。Huaweiでは2014年よりデュアルカメラを搭載するスマートフォンを投入しており、「P9」では、カメラメーカーのライカと協力し、ハイエンドモデルに初めて採用。このライカとの協業によるP9のデュアルカメラは、画質の強化、特殊効果の実現、カラーとモノクロの同時撮影といった部分から、カメラマンにも人気になっているという。
そして、次期フラッグシップモデルだけでなく、そのほかの機種にも積極的に展開していきたいとし、さらに「今後(フラッグシップモデルの)Pシリーズと(ハイエンドモデルの)Mateシリーズにライカカメラを搭載していく」と明言。加えて、3Dスキャンやモデリング、VR、ARといた分野にも応用できるとし、さらなる展開にも含みを持たせた。
防水への対応を問われたLi氏は、4年前に登場した「Ascend D2」で対応したことを取り上げ、「技術自体は既に持っている」と語った。現在発売されているHuaweiのスマートフォンでは、防水対応のモデルはないが、これは国によってニーズが異なっていることや、構造、サイズ、コストなどが要因と指摘。ただ、防水に対するニーズが高まっていることは認識しているとし、「今後は、ハイエンドモデルやフラッグシップモデルで防水機能を導入していきたい」と説明。日本では、スマートフォンの防水対応には根強いニーズがあり、この点からも今後さらに注目を集める存在となりそうだ。
最後にLi氏は、「世界にはたくさんの競合メーカーがあるが、真の競争相手は自分自身。優れたユーザー体験を実現できる製品を提供するのが基本で、それができればシェアは自然と伸びていく。そのためにもユーザー体験に優れる製品を開発し提供していきたい」と、今後の抱負を述べインタビューは終了した。