イベントレポート

COMPUTEXで業界人に業界裏話を聞いてきた

快炒店「大渓港生猛活海鮮」よりお届けします

 COMPUTEX TAIPEI期間中に、偶然、会場でアユートのバイヤーである森田健介氏と、バッファローのサプライ製品担当の鈴木雅博氏と合流した。一緒に晩ご飯でも行きましょうということで、快炒店へ移動。2人とも年齢こそ若いが、PC業界ではそこそこ長いベテランだ。2人と晩ご飯を食べながら業界の裏話を色々聞いたので、その時の様子を赤裸々にお伝えしたい。

 あまりにも業界寄りの話なので、要所には注釈やリンクを適宜入れるが、それでも理解できない方はごめんなさい。

森田氏
鈴木氏

日本でもMOD PCを広めたい

司会「今年のCOMPUTEXでの動向とか、いろいろざっくばらんに喋ってもらえれば」

COMPUTEX TAIPEI 2016はLEDで光っているマシンが多かった

森田「今年はRGB LEDで光らせる、だよね」

司会「まあ確かに。マザーボードで言えば、BIOSTARもRacingシリーズもそうだし、MSIもASUSもGIGABYTEもそうだし」

鈴木「ってかキーボードも何もかも。キーボードとマウスは昨年(2015年)辺りからRGBで光るもの出てたね、RazerとかCorsairとかから。今や、サーマルも……」

司会「そうそう。CPUクーラーですらRGBとか言ってる」

鈴木「あれはケースに入れて見えるのかな?」

森田「まあ、最終的にケースはフレームだけのものに戻る」

司会「ってかむしろもうケースいらなくね?」

森田「まな板に戻って……ただそれだと指怪我するから、アクリルあった方が良いんじゃんってことでアクリル付けて。そうしたらホコリかぶるの嫌だから、やっぱりケースにした方が良いってなって……一周する」

一同(笑)

司会「でも今年のCOMPUTEX会場で展示されたケースMODはかなりアグレッシブだったよね。ガンダムとかあったり」

森田「そういうコンテスト日本でやりたいよね。優勝者にはマシンのパーツ一式をプレゼントするみたいな(中身だけだけど)」

司会「それはアユートでやるの?」

森田「いやいや何社かで集まって共同でやればいいんじゃないですかね。ウチが音頭取るので。今はNVIDIAだけやってるし」

司会「そういえばNVIDIAアンバサダーってノルマみたいなのあるの?」

森田「ノルマってかイベントに合わせてやる感じですね。近々やるのでそこで作って欲しいって」

司会「ほほう」

14nmになってから値段が高くなった

司会「NVIDIAって言えば今回のGeForce GTX 1080、品薄ですね」

GALAXのGeForce GTX 1080 HOF。最大2.5GHzで動作するが、現時点では空回りしているという

森田「最初からこれじゃ足りないって言ってたね。まあ来週(記事掲載時は今週)にはもうちょっと潤沢に。今回オーバークロックモデルも遅れてるみたいだね。2.5GHzで回るけど電圧が上がらなくて空回りしてるって話も

司会「要はBIOSの作りって言ってたよね」

鈴木「そういえば有志の人達がBIOSをリバースエンジニアリングしてるって」

司会「えっ!? あれ解析は有志なの!? 何やってんの……まぁでもClevoのPCとかもBIOSが解析されててMOD BIOSが出てて、それ入れればいろんなことができるしなぁ。アンダーボルテージエディションとか、電圧下げて省電力化とか。有志はいろいろ怪しい(笑)」

鈴木「マジか、それもそれで面白いなー」

森田「今回のGTX 1080も、データ見て、どの電圧でどのクロックで動作するのか、いろいろ調節してるって。まあ出るのは時間の問題だよね」

COMPUTEXで発表されたCore i7-6950X

司会「有志って言えばBroadwell-Eを殻割りするための殻割り器を作ってる人も怪しかった

鈴木「あぁ、あのKickstarterの……?」

司会「いやKickstarterのはSkylakeを割るヤツ(Rockit 88)。今回見せてもらったのはBroadwell-Eを割るの。しかも金属の削り出しで作ってた。Kickstarterのやつはベースプラスチックだし」

森田「金属で作っちゃうんか、すげぇな。でもあのCPU、20万円ってどうなのさ?」

司会「うん、しかもダイサイズ的にHaswell-Eより一回り小さいし、本来ここまで高くしなくてもね」

森田「なんでついに999ドルを破ったんだって思った。20万だったら別にXeonでも良いよね」

司会「オーバークロックもあまりできないようだし

鈴木「20万だったらワークステーション1台買えちゃうよね。でも結局CPUだけ買う人はいるからね」

森田「特に海外ではね」

“税金”のお話

Radeon RX 480

司会「そういう意味では今回のAMDかなりいいポイント突いてる。Polarisが199ドル。すごいインパクトがある」

森田「後は実勢価格がどのぐらいになるか」

司会「おっと? ここから先書いてもいいのか。ってかあの“税”はどうなのさ(笑)」

鈴木「ねぇ」

司会「えっ、他人事ですか?(一応、グループ会社)」

鈴木「うん、担当じゃないし(笑)」

森田「代理店としては倉庫維持、サポート、キャンペーンなどなど、ある程度マージンは必要でしょ」

司会「確かに、セットで買ったら5,000円引きとかあるし、そういうのはね」

森田「それよりも今は海外のAmazonの転売ヤーの話で盛り上がってるから。699ドルのやつが1,000ドルぐらいになっちゃってるから。買って出し直してるだけじゃんって」

司会「ふーん。でもやっぱあの“税”の記事は結構反響あったんですか」

森田「まあ代理店レベルではそれなりに話題に」

鈴木「一般の人のほとんどは関係ないでしょ。ふーんって言うだけで」

森田「結局騒いでる人は二極化してて、騒ぎたいだけのお祭り好きと、分かってて最初から個人輸入してる人ね、あまり関係ないよね。10万円の個人輸入をして初期不良で壊れてたらどうするんだよって話だよね。送り返したら超面倒くさいでしょ、まためっちゃ時間かかるし、日本ならその場で交換できるし」

司会「海外だと早くても1~2週間ぐらいかかるしね。俺もHDDをRMAに出して2週間ぐらい掛かった」

森田「その分のお金を保険として見るか、高いと見るか。だから俺はどっちもアリだと思っている。代理店購入と個人輸入。それこそユーザーチョイス」

司会「でも本来は、メーカーがウン百ウン十ウンドルって発表時に言わなければ一番美しいんだけどね」

森田「そうそう、だから一番あれこれ言われるのはメーカーが発表する時の価格」

鈴木「例のMSRP(笑)。そんな価格で売れるわけないじゃん。あれもアメリカで税を含まない価格だし。でも言わないと、ユーザーにとってどの価格レンジの製品か分からないので、発表会で出すしかないでしょうね」

森田「困ったのはゴールデンウィークでの発表だったね。旧モデルの在庫……

鈴木「39,000円とかで売ってたよGeForce GTX 980。あまり売れなくって先週でも名古屋では普通に売ってた」

司会「マジか、980 Tiの方に目が行って、980無印はちょっとフォローしてなかったな。欲しい」

森田「まあ、話は戻るけど、Polarisは各社力を入れているみたいだから期待したいよね」

鈴木「AMDが本来得意としているミドルレンジだよね。コスパに優れたラインナップ」

司会「そうそう、昔のRadeon HD 4850を思い出す。いいと思います」

スティックPCは落ち着いたがECS LIVAは好調

司会「各社14nmになってからダイサイズが小さくなっている割に、値段上がってきているじゃないですか。NVIDIAとかIntelとか利益率高いよね」

森田「Intelは工場があるからね。ただ工場はモノを作り続けないといけない。モバイル向けSoc撤退でしょ。あれは結局利益出たんだろうか……。広めるために安くばらまいたとは記事で見たけど」

鈴木「Windowsタブレットの辺りから、Atomがすごく安くなったからね。性能はイマイチだけど」

森田「特にAtom 3735FとかスティックPCに付いているヤツはやばかった。スティックPCが7,000円とか“いやそれOSの値段じゃん”とか(笑)。むしろOS単品のが高いじゃんみたいな」

鈴木「いろんなところが血を出してる」

司会「血で血を洗うみたいな(笑)」

ECS LIVA

森田「なんだかんだ言ってAtom系でうまく行っているのはECSのLIVAかな(注:LIVAはCeleronブランドだがAtomと同じチップ)。スティックPCは一段落着いたけど、LIVAは結構続いてる。ECSは法人向け営業に強いしね」

次世代機の名前

ZenFone 4はもう既に出ている

森田「そういえば、今後ZenFoneネーミングどうするんだろう」

司会「どういうことですか?」

森田「ZenFone 4はもう出てる。4インチの。5も出ちゃってるでしょ」

鈴木「次はどこか真似るんじゃないの、Xとか? 3sとか」

司会「ハハハ、じゃあZenFone Z」

鈴木「えー、Z出ちゃったら終わりでしょ!(VAIOやXperiaなどのソニー製品にとって、Zは最終形態を示す)」

司会「じゃあとりあえずAから始めますか?」

森田「ZenFone M。M+! ZenFone E……」

一同(笑)

 この後、ちょうどよいタイミングで料理が続々運ばれ、話題は料理やTwitter友達の話などへと移っていった。