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HDDの復旧依頼が増加傾向、2014年度は81,000台に
~データ復旧依頼の際の注意点とは?
(2015/12/8 06:00)
日本データ復旧協会は12月4日、2014年度のデータ復旧市場規模についての統計データを発表した。
2014年度における業界全体のHDD復旧依頼件数は、前年比8,000台増となる81,000台で、復旧台数は前年比6,400台増の64,800台と推定している。内訳は下表の通り。
PC | 外付けHDD (NAS含む) | サーバー | |
---|---|---|---|
販売台数(2014年) | 1,540万台 | 300万台 | 57万台 |
稼働分(5年分) | 6,600万台 | 1,500万台 | 300万台 |
データ喪失率 | 1.00% | 1.00% | 1.00% |
復旧必要台数 (稼働分×データ喪失率) | 66万台 | 15万台 | 3万台 |
復旧依頼率 | 10.0% | 7.00% | 15.0% |
復旧依頼台数 (復旧必要台数×復旧依頼率) | 6.6万台 | 1.05万台 | 4,500台 |
前述の復旧依頼件数は表のPC、外付けHDD、サーバーの復旧依頼台数を足したもので、復旧台数は復旧率80%というデータから算出している。
日本データ復旧協会は、世界的にPC出荷台数が落ちている中で、復旧台数が前年比で伸びた点について、スマートフォンやタブレットなどの復旧によりNASなどへのバックアップ利用が増えたためだろうと推測している。最近では主に法人で多かったNAS復旧依頼が個人でも増加傾向にあるとのこと。ただ、ストレージの大容量化によって復旧業者の作業負担も増えており、それに伴う作業経費の見積もりで個々のユーザーとのミスマッチが起きており、コストバランスの形成が難しい状況になっているという。
「復元率XX%」と煽る復旧業者に注意
日本データ復旧協会は、データ復旧サービスの依頼に際して何を基準に業者を選択すべきか、以下の6点を挙げている。
- 対応: 依頼を煽るような対応がないか、事前に同意できる説明が行なわれているか。
- 規模: 従業員がいる法人であるか、ネット上だけで受注している個人ではないか。
- 場所: 所在地はバーチャルオフィスやマンション、自宅の一室などではないか。
- 環境: 大事な情報を預けるにあたり、セキュリティや保管に適した施設であるか。
- 設備: 高性能なデータ復旧ツール、クリーンルームなどの作業設備を整えているか。
- 認証: ISO、ISMS、Pマークなどの第三者認証を取得しているか。
復旧率の誇大表示を行なっている業者が信用できない理由として、まず復旧の依頼を受けた業者は復旧すべきHDD内の本当に重要なデータが何か、そしてどれくらいのデータ量があるのかが基本的には分からないため、データの内容について正確にユーザーから知らされていない限り、データ復旧後にどの程度希望するデータが復元できたか判断できないとする。
逆にその細かいデータの内容について知らされていたとしても、復旧率がいくつだったかは復旧が無事に達成されて初めて分かるものであり、全ての業者が事前に正確な復元率など出せるはずがないということから、Webページなどで誇大な復元率を表示している業者には十分に気を付けた方が良いと警鐘を鳴らしている。
SSDといったフラッシュメモリを利用したデータの復旧はほぼ不可能
日本データ復旧協会は、近年ではシステムドライブとして主流になりつつある、フラッシュメモリを利用したSSDなどのストレージに関して、技術的な観点からデータの復旧は困難であり、現実的とは言えないという見解を示している。
この理由として、NAND型フラッシュメモリは寿命を延ばすための消耗軽減記録制御を行なっており、メーカーがコントローラの記録アルゴリズムを技術情報として厳重に保護していることから、データ復旧の手がかりとなる情報が常に不足しているからだという。そのため、フラッシュメモリの解析は手作業に等しく、多大な時間と工数を投資してもデータを復旧できる可能性が極めて低くならざるを得ない。
同協会はフラッシュメモリを使用したストレージに関しては、定期的なバックアップを行なうことを強く推奨している。
スマートフォンの通常データ復旧と修理の混同
日本データ復旧協会はスマートフォンのデータ復旧について、利用者から多くの問い合わせを受けているが、ユーザーが修理と通常のデータ復旧を混同している場合があり、依頼時の業者選択に関する注意を促している。
そもそもiPhoneといったスマートフォンやタブレットなどのデバイスはメーカーのセキュリティによってデータが暗号化されているため、データ削除後の復元が困難であり、さらにこれらデバイスではデータ復旧作業によりメーカーの保証が得られなくなることがほとんどのため、データ復旧については購入店舗や契約キャリアへ問い合わせて欲しいとのこと。また、データ破損前にPCに接続してバックアップを取っていなかったかなどの確認も推奨している。
また、デジタル証拠(電磁的記録証拠)についての復旧依頼も増えているようで、これらの知識に乏しい業者に渡してしまうと、最悪証拠として利用できなくなってしまう可能性がある。そのため、依頼の際は「復元した結果を裁判や弁護士が用いる」と事前に伝えるべきとしている。
児童ポルノ関係のデータが見つかった場合は警察に報告される
日本データ復旧協会は、2012年2月より児童ポルノ排除に取り組んでおり、業界全体に向けて発信しているという。データ復旧などへの作業依頼内容から児童ポルノに関する該当情報が発覚した場合は、会員企業一同で然るべき措置を執っているとし、悪質な場合は警察に報告を行なうとしている。