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ブラザー、ハードとサービスの充実でシェア15%を目指すPRIVIO新モデルを紹介

~丹下段平に扮したアンタッチャブルのザキヤマさんも登場

8月26日 実施

 ブラザーは26日、家庭向けインクジェット複合機「PRIVIO」シリーズの新ラインナップを発表。これに合わせて都内で新製品発表会を行なった。

 冒頭で挨拶に登壇したブラザー販売株式会社代表取締役の片山俊介氏は「昨年(2012年)にPRIVIOへとブランドを刷新し、台数、シェアともに順調に伸びている。今年はハードウェアの進化に加えて、プリンタが提供するサービスを充実させた。お客様のことを第一に考え、プリンタの新たな価値を提供していく」と新製品をアピール。

 市場に対しては、「景況感の改善で消費の上向きが期待されている。旧機器からの買い替えや、XPサポート終了による需要など、年末商戦に期待がかかる」と見込みを述べた。

ブラザー販売・代表取締役の片山俊介氏
ブラザー販売・取締役の三島勉氏

 続いて登壇した同取締役の三島勉氏は、インクジェットプリンタ市場の動向や、新製品の販売戦略、目標などを紹介した。

 同社では、「プリンタに第3の選択肢」というキャッチコピーの元、2012年から従来のFAX売り場に加えてプリンタ売り場へ拡大する方針を採っている。これにより年賀状印刷のニーズが高まり、インクジェットプリンタの販売数が急増する12月におけるシェアを拡大することができた実績を紹介。しかしながら、そのシェアは8%程度と10%に満たないことから、「第3の選択肢としては弱いと考えている。確固たる第3の選択肢となるためにチャレンジしていく」とし、年末商戦時のシェア拡大を2013年度の課題であるとした。

 新製品の訴求ポイントとしては、「年賀状機能の充実」と「ラインナップの強化」を挙げた。通常月の2.5~3倍を12月に売り上げるということは年賀状印刷の需要が以前として高いと考え、同社では専門のプロジェクトチームを立ち上げて年賀状の調査を行なったと結果、オリジナリティのある年賀状を簡単に作れる機能を提供すると考えたという。

 そこで、PCを使わず、プリンタのみで年賀状作成から印刷までできる“年賀状トータルソリューション”として年賀状アプリを開発。「今年の年賀状はブラザーのプリンタを使いたいと思ってもらえるところまできた」と完成度の高さに自信を見せた。

 ラインナップの強化については、これまでのWorks、Neo、Proに加えて、Simpleシリーズを追加することで、ローエンドのラインナップを強化。これにより、2013年度の年末商戦に向けて4シリーズ21機種を揃えることになった。

 同社ではこのラインナップで、年間の販売台数は75万台、年間のシェア目標は15%を目指す。12月単月のシェアは13%程度を目標にするという。

同社調べのインクジェット市場動向。2009年のリーマンショックのあとは、年間620万台前後の安定した市場となっている
プリンタ売り場の強化を行なった2012年は、FAX売り場中心だった2010年に比べて12月のシェアを向上させた
年賀状機能の充実とラインナップ強化で、年末商戦のシェア拡大を目指す
年賀状を必要と考える人は多い一方で、手間であると考える人も多いことから、簡単でオリジナリティのある年賀状を作れる機能を提供する
年賀状の作成から印刷までをプリンタのみで完結できる“年賀状トータルソリューション”として年賀状アプリを提供する
ローエンドのSimpleシリーズを新たにラインナップに加える

 新機能やサービスなどの詳細は、同マーケティング推進部長の大澤敏明氏により説明が行なわれた。

 サービスについては、製品とネットワークが連携してサービスを提供するとし、「年賀状アプリ」と「お役立ちツール」が新たに提供される。これらはクラウド上で動作するアプリとなるので、ユーザーはファームウェアアップデートなどの作業を行なうことなく、常に最新の機能を利用できる点をアピールしている。

 年賀状アプリは、クラウドサービスでテンプレートが用意されるほか、テンプレート内にユーザーが撮影した写真を自動的に埋め込んでくれる「自動写真レイアウト」、ハンカチなどお気に入りの柄をスキャンして年賀状の背景などに使える「お気に入り素材合成」、モノクロで手書きしたイラストなどをスキャンして自動的に彩色してくれる「ラブリーカラーチェンジ」、プリンタから出力したA4の“お絵かきシート”に色を塗ってスキャンすることで自動的にハガキサイズでレイアウトしてくれる「A4お絵かきシート」、同じくプリンタから出力できる宛名シートに手書きした住所、宛名をスキャンしてハガキの宛先面へ印字できる「手書き宛名シート」といった機能が提供される。

 お役立ちツールは2種類。1つはスキャンした資料や手書き書類などをWord/Excel/PowerPointファイルへ変換してくれる「スキャン to Office文書」機能で、文字はOCRしたテキストデータ、画像はJPEGデータとして埋め込むことで編集可能なOfficeファイルとして保存できるもの。もう1つは「手書きトリミング スキャン&コピー」機能で、スキャンする書類の赤枠で囲った部分のみをスキャンやコピーできるものとなる。

 ハードウェア面では、スマートフォンやタブレットとの連携強化をアピールした。これまでにも、Android/iOS端末から直接印刷できる機能を提供してきたが、新製品では無線LANルーターを介さずに直接印刷する機能を強化。Wi-Fi Direct対応モデルの拡大や、NFCを活用して直接印刷を手軽に利用できる「タッチdeプリント&スキャン」機能を提供する。

ブラザー販売・マーケティング推進部長の大澤敏明氏
新製品の特徴をサービスとハードウェアの両面から解説
クラウドで提供される年賀状アプリは6種類の機能が提供される
Officeファイルへの変換機能などを提供する「お役立ちツール」
ハードウェア面では主にスマートフォン/タブレット連携を強化
無線LANルーターを介さずに直接印刷する機能を追加/拡充した
奥行き290mmの本体でA3手差し印刷に対応する「Neo」シリーズは、白/黒の2色展開
多機能な「Basic」シリーズは、クラウド対応と新デザインが特徴
新たにラインナップされる「Simple」シリーズ
年賀状アプリの機能とサンプル

「あしたのジョー」をキャラクターに採用

 同社ではこの新製品のプロモーションに人気アニメ「あしたのジョー」を採用。大澤氏は「明日を夢見て戦うジョーの姿に、プリンタ業界の明日に挑むブラザーの姿勢を重ね合わせた」と採用の理由を述べ、印刷の鮮やかさを掛けたカラフルな印象とすることで幅広い年代に向けて訴求していく。

 会見ではアンタッチャブルの山崎弘也さんが丹下段平の衣装で登場。「ゆくゆくは丹下段平をやりたいと思っていた」というリップサービスを見せたが、TV CMでは声だけの出演。とはいえ「からのー」や「くるー」など山崎さんの持ちネタを盛り込んだCMで存在感を見せている。

 CMは“あしたのジョー(常)識”、“あしたの年賀ジョー(状)”のキャッチコピーを用いた2パターン。山崎さんは「一見ただのダジャレじゃないかなと思いますが、全然違う。クオリティのかなり高いダジャレですよ。まさかここにジョーを掛ける人がいるとは思いませんでした。すごく突飛なアイデアを持った方がいらっしゃるんでしょう」と笑いを交えて感想を述べた。

 壇上では、同社新製品で印刷したA3ポスターや年賀状などのサンプルを紹介。「年賀状を考える季節がくるー」と得意のギャグを披露した年賀状サンプルの紹介では、「今年のブラザーはPCなしでもこういう年賀状が作れちゃう。PCがちょっと苦手だなーって方もいらっしゃいますよね。そういう方でも“なし”でいいんです。いつかは“プリンタなし”なんて夢も見ちゃいますね」と会場を沸かせた。

プロモーションには「あしたのジョー」を起用し、TV CMなどを展開する
TV CMでナレーションを担当したアンタッチャブルの山崎弘也さんが丹下段平に扮して登場。「くるー」などのお馴染みのギャグを交えつつ新製品のメリットをアピールした
新製品の発表に合わせて東京・京橋のブラザー東京ショールームもお色直しした

(多和田 新也)