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ブラザー、上位2社へ“三つ巴の戦い”を挑むインクジェット新製品発表会

~新CMに出演する歌舞伎の中村“ブラザー”も来場

 ブラザーは28日、「技ありインク」の採用で写真画質を向上させたインクジェット複合機/プリンタ「PRIVIO」新製品の発表会を開催した。

ブラザー販売株式会社代表取締役社長の片山俊介氏

 冒頭でブラザー販売株式会社代表取締役社長の片山俊介氏が、PRIVIOシリーズのビジネス戦略を紹介。まず、昨年(2013年)度の実績について、消費増税前の駆け込み消費はあったものの、それまでの落ち込みが響いてインクジェットプリンタ市場全体では前年比97%と落ち込んだ中、ブラザーは出荷台数を前年比118%へ伸長させたことを紹介。

 また、2012年までは最大の商戦期である12月にシェアが大きく落ち込む傾向があったが、2013年の発表会では10%を超えるシェアを獲得すると宣言。そして実際に、10%を超えるシェアを初めて達成した。

 2014年度の動向については、消費増税の反動もきていたが、同社は8月は前年並みに回復していると言い、年度を通じては前年並みの数字を出せることに期待感を見せた。

 製品については、2011年からインクジェットプリンタ市場に参入し、「プリンタに第3の選択肢」として展開してきた。家電量販店の販売面積が増えるなど、片山氏は「ブラザーが選択肢に入ってきている」と手応えを感じていると言う。

 これまで同社は、コストパフォーマンスや充実したアプリを強みに展開してきたが、2014年は「インクジェットの本質的なところ」(片山氏)という写真画質向上にチャレンジ。そして、「第3の選択肢」から上位2社(エプソン、キヤノン)との「三つ巴の戦い」へ切り替えて、市場活性化に取り組むと宣言した。

2013年度は、市場全体が前年を下回る中、ブラザーは18%伸長
同社にとって例年シェア落ち込みが大きかった12月だが、2013年度は10%超えを達成
2011年から「第3の選択肢」として、コストパフォーマンスなどを売りに展開
2014年はコストパフォーマンスやアプリの強みはそのままに、写真画質向上を目指した製品を投入
第3の選択肢から「三つ巴の戦い」へ
ブラザー販売取締役の三島勉氏

 新製品の紹介はブラザー販売取締役の三島勉氏が担当。2014年は、11機種(バリエーションモデルを含め17モデル)を投入する。そのポイントとして同氏は「写真画質向上」と「年賀状機能の強化」を挙げた。

 写真画質の向上については、これまでブラザー製品はCMYの染料インクと、ブラック(K)の顔料インクを組み合わせ、4色インクでコストパフォーマンスと写真/文書の印刷品質を両立。これを強みとして訴求してきた。

 しかしながら、販売店の店員などが「写真印刷なら6色プリンタ」と勧めることも多いほか、ユーザーへの調査の結果、「全体に色が薄い」、「画質にメリハリがない」など、ほかの機能に比べて、画質に対する満足度が低い結果が出たという。そして、さらなるユーザビリティ調査の結果、同社は改善すべき点を「明るさ」と「コントラスト」にあると判断した。

 画質への評価が低い理由は、黒の染料インクを搭載していないことから、CMYの3色を混合して黒を表現しているが、そのために暗い部分の濃度や色再現性が低いことにあるとする。そこで、新組成のインクを開発し、黒や暗部の濃度を強化。色再現領域を13%拡大。これを「技ありインク」と名付けて訴求している。

 また、人々の記憶に残る“記憶色”が思い通りに仕上がると写真の印象がよくなることから、画像を自動的に解析して、空をより青く、肌色をより自然に、髪の毛の黒をくっきりと印象的な色に最適化する技術を盛り込んだ。

 一方で、ランニングコストという従来からの強みを維持するため、インク使用量を最適化する制御技術なども盛り込んでいる。

 三島氏は「ブラザーの強みであった4色テクノロジーが、市場では弱みであったことを理解し、新インクで写真画質向上を達成した。今後は画質も強みとして拡販していく」とアピールした。

2014年は11機種17モデルを発売
新機種は写真画質向上と年賀状機能強化がポイント
発色のいいCMYの3色染料インクと、文書に強い黒顔料インクを組み合わせた4色テクノロジーがブラザーの強み
販売店では「写真印刷には6色プリンタ」が店員に推され、ユーザーからも文書には十分だが写真画質への不満があった
ユーザビリティ調査の結果、「明るさ」と「コントラスト」を改善のポイントと判断
従来はCMYの混合で黒を作っていた結果、黒と暗部の色再現性が低かった
そこで新インクの「技ありインク」を開発し、黒と暗部を改善
技ありインクの採用で、暗部を中心に色の再現域を13%拡大した
印象的な色をピンポイントで最適化する技術を開発し、写真の印象を向上させた
技ありインクに加え、インク使用量の制御も行ない低ランニングコストを維持
発表会の会場では、従来機種で印刷したサンプルと比較して、新機種の写真画質をアピールした

 もう1つの強化点である年賀状印刷については、2013年モデルに導入したPCなしで年賀状作成を行なう機能など、これまでの取り組みを紹介。さらに2013年頃からスマートフォンで簡単に作りたいという声が増えてきたことから、2014年は「Brother 年賀状プリント」というスマートフォン向けアプリを提供する。アプリは11月ごろの提供開始を予定している。

 年賀状作成ソフトでは「テンプレートの豊富さが重要」(三島氏)であることから、家族の写真を多く盛り込める「写真いっぱいテンプレート」や、イラスト調デザインの「マンガテンプレート」など、180種類以上を用意。アドレス帳に登録された住所なども利用して、宛名面をバランスよく印刷できる機能も用意した。スマートフォン用の年賀状作成アプリで宛名面まで印刷できることは「知る限りでは初めて」と特に強くアピールしている。

 また、年賀状印刷をより楽に行なうため、一部機種で本体後方に、はがき50枚を給紙できる「多目的トレイ」を装備。通常トレイのはがき30枚と合わせて、一度に80枚のはがきを印刷できる。

 さらに、スマートフォンとの接続を簡略化するため、Wi-Fi Direct対応機種も従来の3機種から7機種へ拡大した。

 スマートフォン向けの印刷では、NFCを利用してデバイスをタッチするだけで印刷やスキャンを行なえる「タッチ de プリント&スキャン」対応機種を2機種から4機種へ拡充。こうしたスマートフォンと複合機の連携は、今後も推進していくとした。

年賀状作成はプリンタを購入する最大の理由で、ユーザーからは「スマートフォンで簡単に作りたいが、接続が面倒で難しい」といった声が聞かれるようになってきた
2014年11月よりスマートフォン用年賀状作成アプリ「Brother 年賀状プリント」を提供する
スマートフォンアプリでは「写真いっぱいテンプレート」や「マンガテンプレート」など180以上のテンプレートを収録する
スマートフォンアプリから宛名登録、印刷も可能
一部機種では、通常の用紙トレイ(はがき30枚)に加えて、はがき50枚の給紙が可能な「多目的トレイ」を搭載する
無線LANルーターなしでスマートフォンと接続できるWi-Fi Direct対応機種を7機種へ拡大した
スマートフォン向けアプリとWi-Fi Direct対応機種の拡充で、“年賀状印刷ならブラザー”をさらに訴求
NFCを利用したスマートフォン連携機能「タッチ de プリント&スキャン」の対応機種も2機種から4機種へ拡大

中村勘九郎・七之助ブラザーを新キャラクターに起用

 2013年のブラザーは、「あしたのジョー」をキャラクターに採用し、アンタッチャブルのザキヤマさんこと山崎弘也さんが丹下段平の声を務めたTV CMを展開したが、今年は三島氏曰く「がらっと変わって」、歌舞伎俳優の中村勘九郎さんと中村七之助さんの兄弟がキャラクターに起用された。

 三島氏は、「歌舞伎界の伝統を守りながらも、新しい取り組みに数多く挑戦している。ブラザーの、新市場を開拓し、三つ巴の戦いに挑むところに通じる部分がある」と起用の理由を説明。さらに、「兄弟はブラザーということで、一緒出ていただけることも含めて強力にアピールしていく」、「歌舞伎の鮮やかな衣装や背景が、技ありインクを訴えるのに有効」といった理由もあると言う。

 新しいTV CMでは、中村勘九郎さん・七之助さんが30秒間に9回も「ブラザー!」と連呼。「ここまできたか、ブラザー!」のキャッチコピーで、技ありインクの写真画質を訴求するものとなっている。

中村勘九郎さん
中村七之助さん
8月30日から放映される中村勘九郎さん・七之助さん出演の新CM
実際に印刷された写真を見て、衣装の“赤と朱の違い”が表現されているなど、色の再現性に両名とも感心していた
東京・京橋のブラザー東京ショールームもリニューアルし、中村兄弟が出迎えてくれるかのような雰囲気に

(多和田 新也)