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NECとレノボ、PCの国内統合物流体制を16日からスタート
~出荷式で両ブランド製品を混載したトラックが出発
(2013/7/17 00:00)
NECパーソナルコンピュータ株式会社とレノボ・ジャパン株式会社は、国内におけるPCの物流網を統合。物流の中核拠点となる東京・大井のNECロジスティクス東東京支店にて7月16日、出荷式を行なった。
出荷式では、NECレノボ・ジャパングループ グローバルサプライチェーン部門統括担当であるNECパーソナルコンピュータ・山越弘二郎執行役員、レノボ・ジャパン GSC グローバルロジスティクス・鈴木伸一シニアマネージャー、NECロジスティクス・鳥井恭取締役執行役員常務などの関係者が出席。NECブランドのPCと、レノボブランドのPCを混載した第1号トラックが、同日午後1時過ぎ、量販店に向けて出発した。
NECパーソナルコンピュータ・山越執行役員は、「NECとレノボの統合による大きな成果の1つと位置付けられるのが、今回の日本における物流網の統合。これにより、国内のトラック便数を約10%削減できる。今後は、この成果を、中国からの船便物流などにも反映していきたい」としている。
NECおよびレノボ・ジャパンは、2011年7月のジョイントベンチャーのスタートに伴い、物流ネットワーク最適化プロジェクトをグループ内に発足。NECパーソナルコンピュータ、レノボ・ジャパン、レノボ本社などから約30人が参加して、日本国内における最適な物流体制の確立に向けた検討を行なってきた。
2012年7月には、レノボが採用していたハイキューブ型コンテナをNECパーソナルコンピュータが採用。「通常のコンテナに比べて約1割高さがあることから、積載効率を25%向上させることに成功した」(レノボ・ジャパン GSC グローバルロジスティクス・鈴木伸一シニアマネージャー)ほか、2012年8月には、レノボが、中国のODMで生産した日本市場向けPCを、上海のハブ拠点に一度集積し、そこからコンテナに積載して日本に輸出する手法を採用。コンテナ積載効率を高めるといった実績が出ていた。
こうした取り組みをもとに、2012年10月には、それまで分かれていたNECパーソナルコンピュータ、レノボ・ジャパンの資材調達、生産および物流に関するレポートラインを、現在、両社の社長を務めるロードリック・ラピン氏に一本化。さらに、2013年1月にはサプライチェーンに関する両社の組織体系を一本化し、物流統合に向けた体制づくりを行なってきた。
今回の物流体制の統合は、ジョイントベンチャーを開始してから2年に渡って取り組んできた両社にとって、大きな成果の1つになる。
NECパーソナルコンピュータが活用していたNECロジスティクスの仕組みをベースに、倉庫、配送業務を一本化。レノボ・ジャパンの製品の在庫管理なども、NECロジスティクスの管理システムを採用することになる。
「これまでレノボ・ジャパンでは、チャーター便により物流を行なっていたため、トラックが満載状態になるまで待って配送するということもあった。今後は、NECロジスティクスの定期便を活用して配送できることから、よりタイムリーで、納期に正確な配送が可能になる」(レノボ・ジャパン GSC グローバルロジスティクス・鈴木伸一シニアマネージャー)という。
物流統合の対象となるのは、NECパーソナルコンピュータのコンシューマ向けPC、レノボ・ジャパンのコンシューマ向けPCおよびコマーシャル向けPC。大口顧客向けなどの直接配送分以外のすべてのPCが、この物流網を経由することになる。
現時点では、1台のトラックにレノボブランドのPCと、NECブランドのPCをそれぞれ別々のパレットに搭載した形で出荷しているが、今後は、1つのパレットに両社の製品が搭載し、量販店に向けて出荷するという。
物流の一本化が開始される前日の7月15日までに、レノボ・ジャパンの東京・辰巳の物流倉庫から、トラック24台を使用し、約380台のパレットに積載したレノボブランドのPCを大井の倉庫に移動。初日には約14,000台のレノボブランドのPCを在庫しているという。また、NECブランドのPCは約33,000台を在庫しており、3分の2強がNECブランドとなっている。
なお、NECブランドのコマーシャルPCについては、米沢事業場で生産後、NECが別途契約したNECロジスティクスの物流ルートを利用することになる。
「NECブランドのコマーシャル向けPCは、BTOによる3営業日での納品を可能としており、将来的には、レノボブランドのコマーシャル向けPCにおいても、短納期を目指したい」(NECパーソナルコンピュータ・山越執行役員)としている。
今回の成果をもとに、2014年以降、中国のODMから日本への配送についても、物流体制を統合する方向で検討を開始するほか、2013年前半に行なったNECパーソナルコンピュータの米沢事業場におけるThinkPadのパイロット生産の成果を反映するなど、サプライチェーン全体のさらなる強化も検討していくことになりそうだ。
7月16日午後1時から、NECロジスティクス東東京支店で行なわれた出荷式では、NECパーソナルコンピュータ・山越執行役員は、「NECブランドの製品と、レノボブランドの製品を一緒に出荷できるようになったことは、両社社員の努力の成果によるもの。物流ネットワーク最適化プロジェクトは、グループ全体の中でも、最も注目されていた取り組みであり、ラピン(=ロードリック・ラピン社長)からもプロジェクトの成功に対するプレッシャーを常にかけられていたほか、レノボグループのCEOである楊元慶(ヤン・ユワンチン)からも、日本のジョイントベンチャーの成功事例の1つとして期待されていた。今日は、大きなプロジェクトがいよいよスタートする初日。これまでそれぞれが独自に行なっていた国内輸送業務を一本化して、日本のお客様により高い顧客満足度を提供することになる。期待以上の成果をあげたい」などとした。
また、NECロジスティクス・鳥井恭取締役執行役員常務は、「NECレノボ・ジャパングループの物流統合を担う会社に、NECロジスティクスを選んでいただいたことは、これまで約30年に渡って、PC製品の国内物流に関する仕組みおよびITシステムによる実績がベースにあったためだと考えている。今日からスタートする日ではなく、クオリティ、コスト、デリバリーにおいて、新たな改善が始まる日である。今後の進化を認めてもらえるように取り組みたい」とコメントした。