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Acer、10コアCPU搭載ゲーミングスマートフォン

~Thunderbolt 3対応2-in-1やContinuum対応Windowsスマホも

 Acerは、9月3日(ドイツ時間)にドイツ共和国ベルリン市で開催されるデジタル家電展示会IFAに先立って、IFAが行なわれる会場(ベルリンメッセ)で記者会見を行ない、同社が今年(2015年)のホリデーシーズンへ向けて投入を計画している複数の製品を紹介した。

Acer CEOのジェーソン・チャン氏

 この中で、Acer CEOのジェーソン・チャン氏は新しいChromebook、Thunderbolt 3対応のUSB Type-Cコネクタを備えた2-in-1デバイス、モジュールを追加できるタイプの合体型PC、Continuum対応のWindows 10 Mobile搭載スマートフォン、さらには10コアCPUを搭載したゲーミングスマートフォンなどを披露して注目を集めた。

Thunderbolt 3対応2-in-1デバイス、合体型PC、Continuum対応Windowsスマートフォンなどをデモ

 Acer CEOのジェーソン・チャン氏は「Acerにとってイノベーション(革新)は非常に重要だ、この記者会見ではそうした製品を紹介していきたい」と述べ、同社がIFAで発表する複数の製品を紹介した。

 最初に紹介したのは、同社が昨年(2014年)買収したXplovaが開発した、自転車に取り付けるIoTデバイス。これを利用することで、クラウドにデータをアップロードして、トレーニング状況の記録などができるようになる。

 その次は、Googleが推進するChromebookだ。AcerはChromebook市場で大きなシェアを持っており、調査会社ガートナーによれば2014年時点ではグローバルで36%のシェアがあるという。今回Acerが発表したのは「Chromebook R11」という製品で、360度回転するヒンジを備えており、2-in-1デバイスのように利用できるほか、教育現場などで使われることを意識し、高い耐衝撃性を備えるなどの特徴を持っている。

 実際、会見ではChromebook R11が床に落とされて、それでも動作しているという様子がデモされた。CPUはCeleron、液晶ディスプレイは1,366x768ドットで10点マルチタッチ対応、重量は1.25kgとなる。

XplovaのIoTデバイス
「Chromebook R11」。CPUはCeleron、液晶ディスプレイは1,366x768ドットで10点マルチタッチ対応、重量は1.25kgとなる

 そして、Intelが推進する2-in-1デバイスとして、「Aspire R13」と「Switch 12」の2製品を紹介。前者は第6世代Coreプロセッサを搭載した13型の2-in-1デバイスで、液晶ディスプレイが額縁の中央部分を支点にして回転するタイプとなる。後者は、12型のフルHDないしは4Kディスプレイを搭載する2-in-1デバイスで、第6世代Core mプロセッサベースの製品だ。

「Aspire R13」第6世代Coreプロセッサを搭載した2-in-1デバイス

 Switch 12の構造は非常にユニークだ。いわゆる脱着型で、キーボード部分とタブレット本体が分離する形状なのだが、ドッキング部分にはコネクタ(USB端子はポゴピンなど)がなく、電力を供給するラインが用意されているだけになっている。では、キーボードと本体はBluetoothなどで接続されているのかと言えば、そうではない。デバイスマネージャで確認したところ、FRESCO LOGICのF-Oneというコントローラを利用してキーボードなどが接続される形になっていた。Bluetoothキーボードなどと違い、キーボード側にバッテリは必要としないので、比較的軽量になっているのが特徴的と言える。

Acerの「Switch 12」。底面にあるはずのドッキング用の端子はない
Thunderbolt 3に対応した外付けGPUボックスのデモ。AMDのGPUが内蔵されているとのこと

 また、チャン氏はWindows 10の特徴的な機能の1つであるContinuumに対応したWindows 10 Mobile搭載スマートフォンを公開した。Acerは、2月に行なわれたMWCで低価格なWindows Phone 8.1を搭載したスマートフォンを発表しているが、ハイエンド製品はこれまでリリースしたことがない。「Jade Primo」というブランドを冠されたその製品は、Acer初のハイエンド向けWindowsスマートフォンということになる。

 ただし、今回は開発意向表明が行なわれた段階で、具体的な発売時期や価格などは発表されなかった。なお、IFAでLiquidシリーズという普及価格帯の製品で、Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォン(Liquid M330/M320)を発表している。

 このほか、AcerはRevoシリーズという小型デスクトップPCを展開しているが、その新製品として「RevoBuild」を発表した。RevoBuildは、マグネットで合体できるモジュールから構成されている製品で、LenovoがCESで公開して、日本でも販売開始しているThinkPad Stackに似たコンセプトの製品と言える。

Continuumに対応したWindows 10 Mobile搭載Windowsスマートフォン。外付けディスプレイに繋いで、キーボードを利用すると、まるでPCのように利用できる
RevoBuildはマグネットにより合体可能なモジュールで構成されているPC

ゲーミングスマートフォンとなるPredator 6をチラ見せ

 記者会見の後半では、ゲーミングPC、スマートフォンの発表に時間が使われた。「Aspire V Nitro」シリーズが、第6世代Coreプロセッサ搭載版に変更されたことが紹介され、PCゲーマーのために、埃がたまりにくい羽根を持つCPUファンを搭載していることと、ソフトウェアによるファンコントロール機能でより効率的な排熱が行なえる点をアピール。光学ドライブが入る場所には、入れ替え式で利用できるファン(FrostCore)もオプションで用意されており、それにより、熱設計の効率が5%向上することなどが紹介された。このほか、新しいゲーミングノートPCとして「Predator 15/17」という15型、17型を搭載したノートPCも紹介された。

Aspire V Nitroシリーズの光学ドライブと交換式で利用できる追加ファン
Predator 15/17

 また、同社の新しいPCゲーミング用にディスプレイとなる「Predator Z35」も紹介された。Predator Z35はNVIDIAのG-SYNCに対応した35型/21:9比となる2,560x1,080ドットのディスプレイで、湾曲型となる。NVIDIAのULMB(Ultra Low Motion Blur)テクノロジに対応しており、リフレッシュレートを最大で200Hzまでオーバークロックできる。

 Acerは4月にニューヨークで発表した、ゲーミングタブレットPredator 8の、スマートフォン版として「Predator 6」も紹介した。CPUにはMediaTekの10コアCPU内蔵SoCとなるHelio X20を採用している。Helio X20はCortex-A72(デュアルコア)、Cortex-A53(クアッドコア)を2つ内蔵しており、合計で10コアのCPUとして動作する。4GBのメインメモリや、2,100万画素のカメラを搭載するなど強力なスペックになっており、かなりハイスペックなスマートフォンと言える。

「Predator Z35」。35型21:9比となる2,560x1,080ドットのディスプレイ
MediaTekの10コアCPUを内蔵したHelio X20を採用するゲーミングスマートフォン「Predator 6」

 なお、現時点ではグローバルないしはヨーロッパ地域向けの発表となっており、日本で投入されるかどうかは不明だ。

(笠原 一輝)