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Skylakeのデスクトップ向け通常版およびモバイル版が一斉発表

〜TDPスケーリングは20倍。モバイル向け初の“K”も

Skylakeのパッケージ

 インテル株式会社は2日、Skylakeアーキテクチャに基づく第6世代Coreプロセッサ46モデルを一挙に発表した。

 既に8月5日には、同じくSkylakeアーキテクチャを採用したアンロック版の「Core i7-6700K」、「Core i5-6600K」が発売されているが、今回発表されたのは言わば一般向けのSKU。46モデルのうち18モデルはデスクトップ向けのLGA1151ソケットタイプ、残る28モデルはモバイル向けとなる。

 Skylakeは、近年成長しつつある高性能なPCゲーミング、そして携帯可能な2-in-1、さらにはより小型のタブレットという、多方面に広がりを見せるPCのジャンルに1つのアーキテクチャで対応できるよう設計された。

 例えばデスクトップ最上位のCore i7-6700KのTDPは91Wだが、モバイル向けのCore mシリーズのTDPはわずか4.5Wと、その差は約20倍となる。この幅広いTDPレンジに対応できることこそが、Skylakeアーキテクチャの最大の特徴だ。この高いTDPスケーラビリティを実現するために、高性能と省電力の両方に注力して設計を行なった。

 性能面では、細かいところで改善を行なった。Haswellと比較して、アウトオブオーダー・ウィンドウは192から224に、インフライト・ストア数は42から56に、スケジューラー・エントリーは60から97に、整数レジスター・ファイルは168から180に、スレッドあたりのアロケーション・キューは56から64に拡張されている。LLCキャッシュミス処理のスループットを2倍に引き上げるとともに、ファブリック・バッファ・リソースの増加を1.5倍に抑えながら2倍のスループットを実現するよう設計したという。

 省電力の面では、内部のパワーゲーティングの粒度をさらに細かくして制御するとともに、デジタルPLLの採用やグラフィックス/GPUクロックドメインの見直しを行なった。また、システム・エージェントやeDRAM I/OへのSpeed Shift技術の搭載など、新しい機構を取り入れた。

 既報の通り、SkylakeではHaswell世代で採用された内蔵電圧レギュレータ「FIVR」を廃止し、マザーボードに搭載することとなった。一見プロセッサとしての省電力機能は退化しているが、実は電源の管理や設定の機能は増えており、OEMのイノベーションを活かした実装が可能になったという。

Skylakeのアーキテクチャ
性能面における改善
電力面での改善
進化するコンピューティングイノベーション
PCゲーマーの増加
拡大する2-in-1市場
2-in-1 PC購入者は買い替えサイクルが短く、タブレットの購入を検討していた
Windows 10がもたらす新しい体験
さまざまなPCの形態が増加し、それに応えるプロセッサが必要となった

 内蔵グラフィックスに関しては、メモリバンド幅の拡大に伴い3D性能が向上したほか、ドライバが新たにDirectX 12やOpenCL 2.0、OpenGL 4.4、Vulkanに対応した。なお、現時点ではDirectX 12のどのフィーチャーレベルまで対応するのかは不明である。動画関連では、HEVC/H.265のハードウェアデコード/エンコードに対応し、低電力化したAVC/H.264エンコーダ、フォーマット変換エンジンおよびスケーラーを搭載した。

第9世代の500シリーズグラフィックス
メディア向け機能の強化
ディスプレイのサポート

 また、14nmプロセスの利点が活きるよう、それぞれのセグメント向けにチップ/ダイのバリエーションを増やした。例えばHaswellのYプロセッサは40×24mm、BroadwellベースのCore Mプロセッサでも30×16.5mmだったパッケージのフットプリントは、Skylakeで20×16.5mmと大幅に縮小された。HaswellのYプロセッサはUをベースとしたものだったのに対し、Skylakeは設計当初からフットプリントに考慮している。

 一般的なモバイル向けでも、サウスブリッジ搭載版、eDRAM+サウスブリッジ搭載版、サウスブリッジ非搭載版など、さまざまなバリエーションを用意。さらに、SKUによってはこれまでのメインストリームプロセッサではなかったeMMCのインターフェイスや、カメラ用のイメージプロセッサ、センサーハブなどを内包し、フォームファクタや性能に合わせてOEMが選択できるようになっている。

 このためSkylake世代ではメインストリーム向けには5種類のダイを用意し、4つのパッケージで展開する。組み合わせで合計7種類のバリエーションが存在することになる。

過去最高のTDPスケーラビリティを実現するSkylake。そのためパッケージの種類も多い
現時点で4.5Wから91WまでのスケーラブルなTDPを提供する
モバイルだけでも4.5Wから45Wまで10倍のスケーラビリティがある
UやYシリーズではタブレット向けにカメラのイメージングプロセッサやセンサーハブを内蔵する
Yプロセッサのパッケージ比較。左からSkylake、Broadwell(Core M)、Haswell

 ビジネス向けの機能としては、これまで通りPro WiDiやワイヤレスドッキング、vPro、SBA(Small Business Advantage)のサポートに加え、Thunderbolt 3によるUSB type-Cとの統合などにより拡張性と利便性の両立を図る。

 Windows 10との親和性の高さも謳われており、Disconnected Standby/Connected Standby(これらをまとめてModern Standbyと呼ぶ)をサポートし、CortanaによってPCをスリープから復帰させ、RealSenseカメラによる顔認証で即Windowsにログインする、と言ったことも可能になる。

ビジネス向け機能の強化
Windows 10との親和性の向上
市場には3年以上使用されているPCが10億台存在すると試算するIntel
例えばCore i5-6200Uを搭載するノートPCは、数年前のCore i5-520M搭載PCと比較して性能やバッテリ駆動時間が向上している
第1世代Coreプロセッサと比較して、消費電力を4分の1に抑えても性能が2倍向上するといい、効率は8倍に向上した
グラフィックス性能の進化は目覚しい。Iris Pro Graphics搭載モデルでは2006年と比較すると100倍以上の性能を実現するとしているが、今回は製品未発表となる
前世代のCore Mと比較してもグラフィックス性能が向上しているという
Skylake世代搭載製品の特徴
Skylakeでは3年以上使用されているPCからの買い替えを狙う
Iris Pro Graphics搭載製品は第4四半期から2016年にかけて発表する

SKUの構成が大きく変わったSkylake世代

 以下に、既存のCore i7-6700K/i5-6600Kも含めたSKUの一覧表を掲載する。表から分かる通り、Skylake世代のデスクトップ向けプロセッサは、“K”のSKUを除き、TDPが65Wまたは47Wの“S”が標準版という位置付けなっている(Haswellは84W/54Wだった)。加えて、低消費電力版の“T”は35Wに揃えられた(これまでは45W版が存在)。これは電圧レギュレータの外付け化も影響していると思われる。

デスクトップ向けのSKU

 一方モバイル版は初となる倍率アンロック版の“K”となる「Core i7-6820HK」を用意するとともに、Core i5としてもシリーズ初となる物理4コア版、「Core i5-6440HQ」、「Core i5-6300HQ」を投入する。これらは間違いなくゲーミング市場向けに用意したものと言って良い。

モバイル向けでは初となる“K”を用意する
モバイル向けのSKU

 高いグラフィックス性能を実現する「Iris Graphics」、すなわちeDRAMを搭載する製品もUプロセッサラインで8モデルを投入する。ただし発売時期や価格は未定。また、4コアにeDRAMを組み合わせた製品に関しても今後発表される予定。

 従来“Core M”の位置付けとなるYプロセッサに関しては、新たに「Core m7」、「Core m5」、「Core m3」というブランドが付けられ、セグメントが分かりやすくなった。

2-in-1やタブレットを主眼に置いたCore mシリーズのSKU

 さらに、モバイルとして初めてのXeonブランドのプロセッサも投入される。これは近年増えつつあるモバイルワークステーション市場の拡大を見据えたもので、内蔵グラフィックスのブランドが「Intel HD Graphics P530」となる。このP530向けにはメインストリーム向けとは異なるグラフィックスドライバが提供され、CADソフトなどのサードパーティベンダー(ISV)での動作認証を取得したものになるという。

モバイルワークステーション向けのXeonのSKU

(劉 尭)