イベントレポート
PCゲーミングに力を入れるIntel
~アンロックなSkylake K搭載ゲーミングノートPCをチラ見せ
(2015/8/21 00:00)
以前のIDFは、初日にCEOなり会長なり、その時点でのIntel代表者の基調講演が行なわれ、その後ないしは2日目以降にPCクライアント、サーバー、モバイルなどの各事業本部長の基調講演が行なわれるというスタイルだった。
しかし、一昨年、CEOに現在のブライアン・クルザニッチ氏が就任し、IDFを同氏が直接指揮するようになってから、その形は大きく変貌している。2014年から、基調講演はCEOたるクルザニッチ氏のそれだけとなり、各事業部の講演は「メガブリーフィング」と呼ばれる講演に格下げされている。これは、CEOが出すメッセージこそが会社としてのメッセージだというコンセプトになったということだろう。現在の形は、各事業部単位では伝えたいことが言えないという弊害はあるが、会社全体のメッセージが直接伝わりやすいという利点はある。
さて、本レポートでは、そうしたメガブリーフィングのうち、初日(現地時間8月18日)の夕方に行なわれた、「THE GAME CHANGER」という講演についてお伝えしていきたい。このメガブリーフィングは、PCゲーミングに話題を絞ったもので、副社長兼クライアント事業本部本部長のカーク・スコーゲン氏、副社長兼ソフトウェアサービス事業本部本部長のダグ・フィッシャー氏の2人が登壇し、IntelのPCゲーミングへの取り組みなどを説明した。
世界中で18億人のユーザーがいるPCゲーミング市場
今、PCゲーミングへの注力を、どれだけお金をかけているかで比較するとしたら、もしかしたら1位はIntelかもしれない。コンソールゲームが強く、PCゲーミングが他の地域に比べると盛り上がっていない日本にいると、その雰囲気は見えてこないかもしれないが、Intelはここ数年AMDやNVIDIAに負けないぐらいどころか、両社を上回るぐらいのプロモーションを行なっているのは事実だ。
もちろんIntelがPCゲーミングに力を入れているのには理由がある。それはPCゲーミングの市場規模が年々大きくなっているからで、今やグローバルで見れば、コンソールゲームを抜いている。
スコーゲン氏は「世界中に18億人のPCゲーマーがいる。その多くは中国と北米で、PCゲームを1カ月に1つは買うというアクティブなPCゲーマーは、7億1,100万にもいる」と述べる。また、スコーゲン氏によれば、通常のPCユーザーは5年に1度PCを買い替えるが、PCゲーミングユーザーは2~3年に1度買い替えており、PC業界ではこの市場を重要視している。
今回の講演ではスコーゲン氏は言及しなかったものの、4月に中国の深センで行なわれたIDF Shenzhenでは、PCゲーマー人口は中国が最大だと説明された。中国では、さまざまな理由からコンソールの導入が遅れており、PCゲームユーザーが多い。中国は欧米などに比べPCがまだ普及し切ってない状態で、現在も成長している市場である。このように中国がPCゲーム市場を牽引しているが、全世界で見ても年々拡大しているというのは事実だ。
大人も女性もプロも見ているだけの人もみんなが楽しめるPCゲーム
スコーゲン氏に続いて話を始めたフィッシャー氏は、ゲームに対する勘違いと題したトークを行なった。話題は、全てのゲーマーは十代のユーザーなのか? 、ゲーマーは男性ばかりなのか? 、ゲームは単なる趣味に過ぎないのか? 、ゲームはプレイヤーだけに楽しいのか? の4つ。
最初の全てのゲーマーは十代なのかという点では米国ではユーザーの平均は35歳であって、決して十代のユーザーだけではないと説明した。
2つ目の疑問については、48%が女性ユーザーだという。実際このセッションの後半には、女性ばかりで構成されているプロゲーマーチームが登場し、スコーゲン氏、フィッシャー氏とトークセッションを行ない、女性もゲームをやるため、潜在的な市場は非常に大きいということがアピールされた。日本でもPCゲーミングでは男性ユーザーばかりという印象はあるが、FINAL FANTASYなど、ゲームによっては女性ユーザーも多いと聞く。つまりは、女性にもアピールできるようなゲームタイトルが日本でももっと必要ということは言えるのかもしれない。
3つ目については、プロゲーマーが既に職業として成立していることを挙げたほか、シミュレーションとしてレーサーがサーキットの習熟に利用したり、医師が手術のシミュレーションとして利用したりと、さまざまな使い方が広がっているとした。
そして最後の問いには、Intelが開催している世界規模のゲーミング大会であるIntel Extreme Mastersを紹介し、全世界180カ国で述べ2億人がその模様を視聴したとし、大いに盛り上がっていることを説明した。Intel Extreme Mastersは、Intelが開催しているグローバル規模のPCゲーミングのイベントで、最初の大会は2007年にCeBITと併催された歴史があるイベントとなっている。世界各地で選ばれた代表が、会場で戦う。最近のイベントは、ケルンで8月7日に行なわれ、このイベントに合わせて、最初のSkylakeの製品となるCore i7-6700K/6600Kが発表されたのは記憶に新しい。
ノートPC向けSkylakeでに初めてアンロックなKモデルが追加
フィッシャー氏の後を受けたスコーゲン氏は、IntelがゲーミングPC用のOSとして、Steam OS、Windows 10、Androidなどクロスプラットフォームに対応していることをアピールしたほか、8月5日にIntelが発表した新しいSkylakeベースのデスクトッププロセッサとなるCore i7-6700KおよびCore i7-6600Kを紹介し、壇上でオーバークロックをしてみせた。
さらに、「Intelは今後ノートPC向けのSkylakeにアンロックのK SKUを追加する予定だ」と述べ、これまでビデオカードのメーカーとして認識されていたEVGAが、Skylakeを搭載した4KゲーミングノートPCを計画しているとし、その製品を披露。MSIの製品も紹介されており、近々モバイルSkylakeが正式発表された時には、それらの製品も実際に市場に登場することになるだろう。