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国内メーカー技術の粋を凝縮した新生「VAIO Z」

〜28W CPU搭載。数々の部品を専用開発し打鍵音までチューニング

「VAIO Z」

 VAIO株式会社は16日、13.3型高性能モバイルノート「VAIO Z」を発表。同時に販売開始した。

 VAIO ZはかつてVAIOシリーズにおけるフラグシップとなるハイエンドモバイルモデルだったが、2012年の夏モデルを最後にラインナップから姿を消し、その直接的な後継が出ることはないとされていた。しかし、VAIO事業がソニーからVAIO株式会社に移管されたことで、VAIO Zが息を吹き返した。

 新生VAIO Zも、その名にふさわしいハイエンドスペックとなっているが、2015年のWindows 8.1マシンとして大きく様変わりしている。その最大の点が、外観で、これまでVAIO Zは全て純粋なクラムシェル型だったが、新製品は「VAIO Fit」シリーズを踏襲する液晶フリップ型となった。通常のクラムシェルとしても利用できるが、液晶を裏返して畳むと、タブレット形式で使える2-in-1となる。ぱっと見のデザインはVAIO Fitと瓜二つだが、筐体は新規に設計されたものであり、かつ、外からは見えない内部には、これまでにはない工夫が至る所に盛り込まれている。

ぱっと見は一般的クラムシェル
VAIO Fit同様、天板には中央を境にして液晶が背面に回転する
タブレット形態にしたところ
液晶を反転させた状態でも使える
右側面
左面
目立たないが底面手前に「MADE IN AZUMINO JAPAN」の刻印
カラーリングはブラックとシルバー

薄型ノートで初となる28WのIris搭載Broadwell-Uを採用

 性能面では、TDP 28WでIris搭載のBroadwell-Uプロセッサを採用。モバイルPCでは通常、15W級の低消費電力CPUを採用するが、VAIO Zは国内で発売されるUltrabookで唯一28W品を搭載。15W Core i7に対して、28W Core i7は24%高速で、Core i5でも12%速いという。世代間で比較すると、新VAIO Zは2世代前のものより62%高速としている。

 また、利用形態によってTDPを変更するコンフィギュアラブルTDP(cTDP)に対応しており、クラムシェル時は、サイレントモードにするとTDPが15Wになり、ファンの回転数とCPUの性能を落とす。一方、パフォーマンスモードにすると、TDPは35Wになり、さらに性能が向上する。なお、タブレット時、パフォーマンスモードのTDPは28W、サイレントモードでは10Wになる。

 過去のVAIO Zでは、内蔵あるいは外付けの単体GPUを搭載していたが、本製品はCPU内蔵のIris Graphicsを利用する。CPU内蔵ではあるが、2世代前のVAIO Z(GeForce GT 330M)を1とした場合、1世代前のVAIO Z(Radeon HD 6650M)の性能は2.42で、新VAIO Zでは3.22と、過去の単体GPUを遙かに上回る性能を提供するという。

 薄型の筐体に高TDPのCPUを搭載するにあたり、高密度実装マザーボード「Z-engine」を安曇野で新たに設計した。配線長や部品間の距離を極限まで縮めることで、筐体が似通っているVAIO Fit 13Aと比較して、VAIO Zのマザーボードの面積は3分の2に縮小されている。

 加えて、効率的かつ静粛に冷却するために、冷却機構も新たに開発。ファンには日本電産と共同開発した流体動圧軸受技術を用いた、超薄型・高効率・高信頼性ファンを、ヒートパイプにはフジクラと共同開発し、独自の内部構造を用いた薄型で高い熱運搬能力を持つというヒートパイプを搭載する。ファンは左右の翅の枚数を変えることで、共振ノイズを抑えている。実際、事前説明会において、複数人がいる会議室においてベンチマークを走らせた状態で、顔を近づけてもほとんどファンの騒音が聞こえない程度であった。

Z-engineと呼ばれる高密度マザーボード
VAIO Fit 13Aのマザーボードの3分の2に小さくした
新開発の軸受けなどにより静音化した冷却機構

 VAIO Zは伝統的にストレージ性能にこだわっているが、本製品も第2世代のPCI Express接続高速SSDを採用。SATA接続の2世代前のVAIO Zに対し、PCI Express接続の1世代前のVAIO Zは1.9倍で、新VAIO Zは3.3倍高速という。

 スリープからの復帰時間も突き詰め、InstantGoに対応することで、0.3秒での復帰を実現。一方でスリープ時の消費電力を低減し、既存製品が数日という中、VAIO Zは17.9日間バッテリが持続する。

バッテリや液晶はもとより、キーボードやスピーカーにもこだわり

 性能だけでなく、モバイルPCに求められるバッテリ性能も改善した。同社はバッテリ設計と製造の部隊を持っており、VAIO Zにバッテリも新たに開発。通常、市販のノートPC用バッテリは、樹脂ケースで覆われているが、専用設計とすることで、この樹脂ケースを撤廃。これにより、VAIO Duo 11/13と比べ、容量は58Whへと10Wh程度増やしつつ、厚さは0.4〜0.75mm抑え、重量は25〜28g削った。駆動時間はJEITA 1.0準拠で約19.3〜20.22時間、JEITA 2.0準拠で約15.2〜15.5時間。同社内80人に実利用に基づく稼働時間を計測させたところ、範囲は6.2〜25.5時間で、平均的に15時間駆動できたという。また、この駆動時間を実現するには、他社製品の場合、本体が軽くても、別途ACアダプタや拡張バッテリが必要になるとしている。

 液晶の解像度は2,560×1,440ドットへ高画素化しているが、そのバックライトも新規開発。独自技術の超集光バックライトにより、ほぼ同解像度のMacBook Pro 13インチの液晶より消費電力を1.3W押し下げ、重量は106g軽量化している。

 こういった軽量化の工夫により、重量は約1.34kg。これは15W CPUを積むMacBook Airとほぼ同じだが、28W CPUを積むMacBook Proは1.57kgとなっており、同社ではVAIO Zを、MacBook Airの重量でMacBook Proの性能を実現する製品とも例えている。

 また、バックライトLEDの蛍光体も見直し、赤の波長の輝度を強く持ったものとすることで、赤の表現力を向上。液晶パネルは、sRGBカバー率100%だが、経年劣化してもキャリブレーションが効くよう余裕を持たせ、面積比では115%を実現している。これにより、外付けディスプレイに頼らずとも、画像関連の作業ができるとしている。なお、バックライトはパナソニックとの共同開発。

 筐体をフリップ型としたことで、液晶はタッチ対応だが、ペン操作にも対応。液晶パネルとタッチパネルの間に空気層を設けないダイレクトボンディングにより、ペン先と画素の視差を縮小。新規開発の筆圧カーブ調整機能も搭載し、好みの書き味に調節できる。ペンはディスプレイに近づけた状態で、上側のボタンを押すとOneNoteが、下側を押すと画面を切り取るVAIO Clipping Toolが起動する。また、通常液晶パネルの下側にあるバックライト基板を、上側に配置することで、手元と発熱部を離し、イラスト作成など長時間作業にも配慮した。強化ガラスは旭硝子製の専用品。ヒンジ部にはVAIO Fitにはなかった液晶ロックスイッチを新設している。

 生産性の向上にも配慮しており、筐体は薄さ、軽さ、堅牢性、質感などを兼ね備えさせるため、部位によってアルミとカーボンを採用した。キーボード面は、キーボードの桟をアルミ化しパームレストと一体化し、底面はアルミ裏面の補強リブと最適化した繊維方向を持つ東レ製UDカーボンにすることで、キーボード面の角で持ち上げた際の歪みをVAIO Fit 13Aより小さくした。また、手が触れる部分は、塗装剥がれしないアルマイト加工を施し、表面を研磨して微細な凹凸を作ることで、手触りにも配慮した。

 キーボードは沖電気工業と共同開発した静音型。騒音を抑えるだけでなく、2kHz以上の帯域は人間にとって耳障りということで、キーキャップの裏の爪と可動部金型の加工精度を高め、極限までガタを詰めることで、この高音域のノイズを低減した。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mm。

 タッチパッドについても、クリックの際の沈み込み量と荷重の理想範囲を探り、感触を最適化している。

 ノートでは軽視されがちな、スピーカーもこだわり、新規に設計。形状を工夫することで、100人規模の会議室でも最後列の人にまで音声が届く音圧を実現した。

特別に作られたスケルトンモデル。このように内部のほとんどはバッテリで占められる
高音圧を売りとするスピーカー
左がVAIO Fit 13A、右がVAIO Z。似ているがサイズ、質感が違う

 最小構成は、Core i5-5257U(2.7GHz、Iris Graphics 6100内蔵)、メモリ8GB(デュアルチャネル)、SSD 128GB、2,560×1,440ドット表示対応13.3型液晶、Windows 8.1 Update(64bit)を搭載し、税別価格は19万円前後。

 このほか、BTOでCore i7-5557U(3.1GHz、同)、メモリ16GB(同)、SSD 256/512GB、Windows 8.1 Pro Update(同)、Officeの有無などを選択できる。

 インターフェイスは、USB 3.0×2(内1つは給電対応)、SDXCカードスロット、HDMI 1.4b出力、92万画素前面カメラ、799万画素背面カメラ、IEEE 802.11ac/a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、TPM、音声出力などを装備。カメラはソニー製Exmor RS for PCを採用。付属の「CamScanner」アプリにより、ドキュメントやホワイトボードなどを撮影し、台形補正、OCRができる。

 本体サイズは約324.2×215.3×15〜16.8mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約1.34kg。本体色はブラックとシルバーの2モデル。

 また、BEAMSとコラボした特別仕様モデルも限定数で3月より発売する。通常モデルのBTOオプションの扱いで、価格はプラス6,000円。ブラックベースでタッチパッドがBEAMSカラーのオレンジとなり、ヒンジ部にBEMASの刻印が入る。BEAMSの渋谷、新宿、横浜、大阪店などで展示も予定されている。

BEAMS特別仕様モデル

(若杉 紀彦)