ニュース
東大、湿布のように体に直接貼れる生体情報センサーを開発
~体内埋植型電子システムに一歩前進
(2014/12/22 13:16)
東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授、リー・ソンウォン博士研究員らは19日、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業として、湿布などのように体に直接貼り付けて生体情報を取得できるセンサーの開発に成功したと発表した。
人間の運動や生体情報を精度良く電子的に計測するにあたって、センサーや回路を測定対象に直接接触させることで、計測の信頼性を改善できる。しかし、従来のエレクトロニクスはシリコンなど硬い素材でできており、装着時に違和感があったほか、生体のダイナミックな運動と干渉するといった問題があった。
東大では、厚さ1μmで曲げ半径10μmの有機トランジスタを開発済みだが、このたび、ポリロタキサンと呼ばれる環動ゲルの中にポリビニルアルコール(PVA)を均一に分散させることで、生体適合性に優れ、粘着性があり、光で形成できるゲル素材の開発に成功した。
研究グループは、厚さ1.4μmのポリエチレンテフレタレ-ト高分子フィルムに、有機トランジスタの集積回路を作成し、生体と直接接触する電極部分だけにこのゲルを形成した。集積回路は、4.8mm四方に144個のセンサーを4mm間隔で配列したもので、対象物がダイナミックに動いても壊れず、100%の圧縮ひずみを加えても、電気性能が損なわれないことを確認した。
また、新型ゲルは粘着性があるため、湿った生体組織と良好な接触を維持でき、生体組織が動いても、生体表面と接触している電極がずれたり剥がれたりしないため、ラットの心臓表面や、人の皮膚の上で良好な計測を行なうことができた。
将来的には、体内埋植型電子システムへの応用が期待されるという。