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東大、厚さ2μmでくしゃくしゃに折り曲げられる有機LEDを開発

くしゃくしゃに曲げられる有機LED
7月29日 発表

 東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授らは29日、科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、くしゃくしゃに折り曲げても動作する「超薄膜有機LED」の開発に成功したと発表した。

伸縮可能な有機LED

 染谷教授らは、高温で高エネルギープロセスが必要な酸化インジウムスズの透明電極を使わず、低温かつ低損失で形成可能な導電性高分子を電極に利用し、高分子フィルムにダメージを与えず有機LEDを製造するプロセスを確立。これにより、厚さ1.4μmの極薄高分子フィルムに、有機半導体材料を積層し、世界最軽量(3g/平方m)で最薄(2μm)の有機LED作成に成功した。

 このフィルムは、最小曲げ半径が10μmで、くしゃくしゃに折り曲げても動作。また、ゴムの上に貼り付けることで、伸縮自在なLEDも開発した。輝度は100cd/平方m。

 同研究グループは、これまでに厚さ1μm級の高分子フィルムに、有機太陽電池と、有機電子回路を形成することに成功しており、今回の開発で、これら3種類の有機デバイスを1枚の高分子フィルムに集積化できることとなり、従来の有機エレクトロニクスを格段に薄型/軽量化できるようになるとしている。

(若杉 紀彦)