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インテル、新しい体験を生み出すパートナーとしてUltrabookをアピール
~国内では初めてAtom搭載プロセッサ搭載スマートフォンにも言及
(2013/3/18 17:37)
インテル株式会社は18日、同社が注力している取り組みなどを紹介する恒例の「IAプレスミーティング」を開催。Ultrabookと連携させたテクノロジの紹介や、実施中のキャンペーン。さらに国内では初めてAtom搭載スマートフォンのテクノロジも取り上げられた。
顔、ジェスチャー認識などの新しい体験はUltrabookからスタートする
冒頭、挨拶に登壇したインテル代表取締役社長の吉田和正氏は、今年(2013年)1月に行なわれた記者会見で提示した、困難なことへチャレンジする年にするという同社のスローガン「Big Hairy Audacious Year」について言及。さらに、3年半前に設定されたインテル日本法人としてのミッションが「将来のIntelはIJKK(インテル日本法人)から始まる」であったことを紹介し、ブローバンドやモバイル環境が整った日本から新しい体験やイノベーションを発信していくことを改めて説明した。
プロセッサはIntel以外も多く使われ、OSもWindows以外のものが多く使われる時代に変化しているが、Intelの意識は常にテクノロジとプラットフォームの進化にあり、新しい体験を生み出す状況としては楽しみな環境になっているとした。
そうした新しい体験の例として、顔認証やナチュラルデータ(音声)認識、センサーによるコンピューティングを挙げた。「この場で示す新しい体験の例は遠くない話だけ。その後ろにはさまざまなものがある。研究開発はIntelの強味。新しいユーザー体験をもたらすものは、一番最初にUltrabookでできるようにする」とし、“Ultrabook=新しい体験ができる”というイメージを作っていく戦略を示している。
また、顔の認識、ジェスチャーの認識についてデモを実施。これは、Intelが配布している「Perceptual Computing SDK Beta 3」を使ったもの。このSDKは、新しい技術をいち早く取り入れてもらうために開発者向けに提供を開始している。
顔の認識では目頭/目尻や口の位置、ジェスチャー認識では各指や手のひらを認識している様子がデモで示された。これらはPCの上に取り付けたカメラによるものだが、深度センサーを搭載することで、奥行き方向の距離も測定されているという。ちなみに、このカメラはIntelのSDK配布サイトから開発者向けに販売している。
続いて吉田氏は「優れたモバイル体験を生み出す上で性能は大切なこと。性能が全てと言っても良いと思う」と述べ、新しい体験を支える性能に対する高い要求に、Intelが持つ製造技術や開発能力に対して、大規模な投資を行なって応えていくことをアピールした。その中で、2013年後半には14nmプロセスが登場することを改めて紹介している。
そして、イノベーションをできる環境作りをして目に見える形で付加価値を提供する、パートナーと一緒にイノベーションを起こせるフレームワークを形成する、顧客からフィードバックを貰う、というサイクルを続けることをIntelの役割として挙げ、「短期的に見ればPCの売り上げは落ちているが、IntelはPCだけではない。タブレットやスマートフォンにも入ってきている。アーキテクチャが統一されていることはソフトウェアにとって利点になる」と述べ、Intelアーキテクチャを武器に、過去のしがらみに捕らわれず、新しいことへ向かって一歩ずつ前進していく姿勢を強調した。
続いて登壇したインテルマーケティング本部 リテール統括部 統括部長の井田晶也氏は、Ultrabookに関するキャンペーンなどのマーケティング活動について説明。“Start with Ultrabook”(Ultrabookと始める)から“Stay with Ultrabook”(Ultrabookがそばにある生活へ)というメッセージを示した。
Ultrabookが示す“新しい体験”は単に高い性能や機能を得るためのものではなく、「使いやすい」、「驚いた」、「カッコいい」、「Happy!」などの素直な感想が口に出るような体験を生み出すものとした。
その例として挙げられたのが大学生活である。大学生活においてPCを利用する必要性は年々高まっている調査結果があるが、新大学生が「とりあえず買っておくPCではなく、入学から卒業まで常に一緒にいるパートナーとして使える」(井田氏)として、Ultrabookなら大学生が抱えるPCに対する不満(重い、古い)や不自由さなどを解消できるものであるとアピール。新大学生向けに漫画を使った小冊子を配布していくことを紹介した。
また、スマートフォンで十分という声に対しても言及。スマートフォンで撮影した写真をクラウド経由で自動的にPCへ取り込み、レタッチしてからSNSへ投稿するデモを実施。「写真の編集はスマートフォンの狭い画面ではやりにくいし処理も重い。スマートフォンとUltrabookの両方を使うとサクサクできる。新しい体験に加えて、新しい使い分けにもチャレンジしてほしい」と提案した。
Intelのスマートフォン向けプロセッサが提供する機能
最後に登壇した、インテル執行役員 インテル技術本部 本部長の土岐英秋氏は、スマートフォン市場に向けたIntel製品を紹介。海外ではスマートフォン向けプロセッサの記者会見などが行なわれているものの、国内でIntelアーキテクチャのスマートフォンについて説明するのは初めてのことだ。
Intelではパフォーマンスとバリューという2つのセグメントでスマートフォン向けプロセッサを提供している。パフォーマンス向けでは、「Medfield」の開発コードネームを持つ「Atom Z2480」が2012年に登場し、2012年末までに7製品が海外で発売された。
続いて、2013年1月のInternational CESで発表されたのが「Lexington」のコードネームを持つ「Atom Z2420 with XMM 6265」で、普及価格帯向けスマートフォンをターゲットにしたSoCとなる。エジプトのEtisalat、ケニアのSafaricom、Acer、インドのLavaの採用例を紹介した。XMM 6265はモデムである。
普及価格帯ではあるが、フルHD動画のエンコード/デコードに対応する点や、1,300万画素と500万画素の2個のカメラを処理でき、7枚/秒の連写機能を持つ点、デュアルSIM、FMラジオ、microSDカード、ワイヤレスディスプレイに対応できるといった、充実した機能を持つことをアピールした。
さらに、2013年2月に行なわれたMWCにおいて発表した「CloverTrail+」のコードネームで呼ばれた「Atom Z2500」シリーズを紹介。Atom Z2580/2560/2520の3モデルがラインナップされている。
同セグメントで1世代前のプロセッサとなるMedfieldと比べて、CPUコアが1コア/2スレッドから2コア/4スレッドになったことや、グラフィックスもシングルコアからデュアルコアになり周波数が向上したことなど性能面で進歩したことを説明。とくにグラフィックス性能が3倍向上したことを強調している。OSについてはAndroid 4.2をサポートする。
機能面では、ワイヤレスディスプレイのほか、セキュリティ機能としてアイデンティティー・プロテクション・テクノロジ(IPT)、ハードウェアレベルでのDRMに対応する。
このAtom Z2500シリーズがもたらす機能として、詳細に説明されたのがイメージング(撮影)機能だ。最大1,600万画素に対応し、800万画素時に15枚/秒の連写や3枚/秒の連続撮影が可能。また、パノラマ撮影機能やリアルタイムの顔検出、シーン検出、HDR撮影機能、低照度下での撮影、笑顔検出などのさまざまな機能を持つとした。
具体例として、HDR画像では、マルチアクシスDIS(ぶれ補正)とイメージ・アライメント機能により手振れした複数の画像からも生成できることや、動きがある被写体でもゴーストを消せることを紹介。
さらに、人物の集合写真においては、複数枚の写真から各個人の一番良い表情だけを抜き出して合成し、1枚の“パーフェクトショット”を生み出すことができる。この機能を持つカメラアプリの提供方法などについて現時点で具体的なことは言えないとしているが、おそらくSDKではなく完成したアプリとしてエンドユーザーに提供することになるのではないか、としている。
なお、Intel製プロセッサ搭載のスマートフォンの国内販売については、「がんばってます」(土岐氏)と答えるに留まっている。