インテル、発表から1,500日が経過したvProの最新状況を総括
~サードパーティからのサービスが拡大

インテル宗像義恵氏

10月25日 発表



 インテル株式会社は25日、企業向けクライアント管理技術「vProテクノロジー」が発表から1,500日経過し、同技術搭載PCの世界累計出荷台数が5,500万台となったことを発表。これにあわせて、都内で報道向け説明会を開催した。

 説明会ではまず、同社取締役副社長の宗像義恵氏が挨拶。宗像氏はvProについて、「リーマンショック以降、企業の経営者の問題意識に変化が起き、小手先のITコスト削減を行なうのではなく、ITを活用したコスト削減が求められるようになった。vProは、2006年9月の発表以降、技術そのもの、そしてそれを取り巻くサービスやソフトウェアも拡充し、そういった課題に対応できる、ビジネスクライアントの標準になった」と紹介した。

 vProの詳細面については、マーケティング部の徳永貴士氏が解説した。vProは「Active Management Technology (AMT)」、「Trusted Execution Technology (TXT)」、「Virtualization Technology (VT)」、「Anti-Theft Technology (AT)」という4つの技術から成り立つ。

 ATMは、リモートブートや、システム防御などクライアントの運用管理のための技術。TXT、VT、ATは、それぞれハードウェアレベルで、セキュリティ、仮想化、盗難対策の機能を提供する。

インテル徳永貴士氏vProの技術的構成要素

 ATを使ったサービスの一例として、NECキャピタルソリューションシニアディレクターの荒谷茂伸氏が、「SecureDoc Managed Service」についてデモを交えて解説した。

 同サービスは、モバイルPCが紛失/盗難にあっても、データを第三者が利用できないようにするために、HDDの暗号化、PC無効化と復旧、認証の強化を行なう。SecureDocはWinMagicの製品で、すでに国内でも20万ライセンスの採用実績がある。NECキャピタルソリューションのサービスは、ソフトのインストールおよび暗号化は同社がキッティングするが、PC無効化についてはクラウド化されたサービスを独自に提供する。

 PCが盗難/紛失した場合、サービスデスクに連絡すると、以降、PCが起動されると、ATを利用し、遠隔でPCの電源を強制切断する。また、連絡を入れなくとも、OSのログオンに複数回失敗、あるいはクラウドに一定期間アクセスがないと、同様に起動できないようにする仕組みもある。

 同サービスはクライアント1台当たり月額600円という低コストで利用できる。

NECキャピタルソリューション荒谷茂伸氏SecureDoc Managed ServiceはATを使ったクラウド型サービス

【動画】リモートからの強制電源断

 シトリックス・システムズ・ジャパンマーケティング本部の北瀬公彦氏は、vProを活用した仮想化ソフト「XenClient」を紹介した。

 XenClientは、OSが不要なベアメタル型のハイパーバイザー。ホストOS上で動作するハイパーバイザーと比較し、より堅牢な仮想環境が構築できるという。

 同ソフトは、仮想OSの切り替えが容易な上、片方の仮想OSにインストールされたソフトを、もう一方の仮想OSからシームレスに起動することができる。さらに、仮想OS同士の通信は保護されているので、万が一片方の仮想OSにキーロガーなどが仕込まれ、その仮想OS上のアプリケーションを起動した場合でも、別のOSはその影響を受けることがない。

 また、仮想OSのイメージをバックアップし、故障や紛失の際にも、同じ環境を復旧できる機能もある。

シトリックス・システムズ・ジャパン北瀬公彦氏vProに対応するベアメタル型ハイパーバイザーのXenClient

【動画】別の仮想OS上のアプリケーションを起動するデモ

 2010年の日本国内の推定PC出荷台数は1,500万台と言われる。その半数が企業向けとすると、vProの市場規模は国内だけでも750万台に上る。しかし、国内企業では、セキュリティの観点から、モバイルPCの社外への持ち出しや、社外からの持ち込みを禁止するところも少なくない。

 この点について宗像氏は、インテル1社が技術を提供したところで、どうにかなるものではないが、パートナーなどと共同でモバイル環境でのビジネスの必要性や、vProのセキュリティ、利便性などを周知させるなどし、考え方の転換を図っていきたいと述べた。

 また、徳永氏は、コンシューマ向けPCへの技術の移行について、そのニーズは把握しており、現在検討中であることを明らかにした。

(2010年 10月 25日)

[Reported by 若杉 紀彦]