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銀のさら寿司を玄関まで届けてくれる宅配ロボット「CarriRo Delivery」

CarriRo Deliveryプロトタイプ。実際に動作するが、デザインなど設計はまだ未確定で、実験を重ねて改善される見込み

 株式会社ZMPは、宅配ロボット「CarriRo Delivery」のプロトタイプ開発を発表した。

 CarriRo Deliveryは、宅配ボックスを搭載し、レーザーセンサーとカメラで周囲環境を360度認識しながら、最大時速6kmで自動走行するロボット。遠隔監視を行なうとともに、必要に応じて遠隔操作が可能となっている。

 機械学習により物体を認識しながら自動で走行するロボットで、低速で走行させることで、車道ではなく歩道を走行するという。

 同社では、物流現場の人手不足問題解消を目指し、物流支援ロボット「CarriRo」を2016年より出荷しており、今回開発されたCarriRo Deliveryは、宅配やフードデリバリー業界の配達員不足という課題解消、買い物弱者と呼ばれる人々の日常の買い物補助を目指しているとする。

 2017年8月以降より、随時実証実験パートナーとともに技術面、サービス面の検証を実施し、第1弾として、宅配寿司チェーン「銀のさら」を展開する株式会社ライドオン・エクスプレスと、寿司デリバリーサービスに関する実証実験を開始する。

 なお、現在日本には、ロボットが歩道を自動走行することを想定した法制度が存在しないため、まず私有地内での実証実験を実施し、公道での実証実験の実現を目指していくという。

 CarriRo Deliveryの稼働時間は8時間で、登坂力は約8度。積載重量は100kg。

 サイズは750×1,330×1,090mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は90kg。

前方にはレーザーセンサーとカメラを、背面にもカメラを備える
背側面
側面の扉から荷物を出し入れする
CarriRo Deliveryのデモ
スマートフォンでアンロックする
寿司を取り出す様子

 都内で開催中の「ZMPフォーラム 2017」にて発表会が行なわれ、株式会社ZMP 代表取締役社長の谷口恒氏、株式会社ライドオン・エクスプレス 代表取締役社長兼CEOの江見朗氏、株式会社ライドオン・エクスプレス 取締役副社長兼CFOで、株式会社エースタート 代表取締役CEOの渡邊一正氏らが登壇。

左から株式会社ZMP 代表取締役社長 谷口恒氏、株式会社ライドオン・エクスプレス 代表取締役社長兼CEO 江見朗氏、株式会社ライドオン・エクスプレス 取締役副社長兼CFO/株式会社エースタート 代表取締役CEO 渡邊一正氏、女優の山村ゆりかさん

 谷口氏は、今回のCarriRo Deliveryは、運送コストを抑えられるだけでなく、小型なため車では通れない道も走れるといったメリットなどもあるとアピールした上で、ライドオン・エクスプレスとの協業については、フードデリバリー業界がITで成長し、さらにロボットで持続的成長に向かうとのデータを挙げつつ、「海外ではピザの自動配達実験が盛んですが、日本なら寿司でしょう」と冗談交じりに語った。

 フードデリバリーでは40分がユーザーの我慢できる限界とされており、それに合わせて考えると、人の多い通りは歩行速度に合わせ時速2~3kmで走行するとして、平均時速3kmと考えた場合、半径2km圏内が配送エリアになると考えているという。

 CarriRo Deliveryは歩道を走行することを考えて開発されているが、これは規制に対するものだという。現状では、公道を走行するロボットに対する法制度が存在しないため、特殊小型自動車に分類される可能性が高いが、そうなれば事前に警察に申請した限られたスペースと時間でのみ走行できるだけで、一時的なイベント利用しかできず、業務に使えないという。

 そこで、歩道を走行できるシニアカーと同様に歩行者扱いとすることで、現実的な業務での利用が可能になると述べ、各省庁と話をしていると述べた。

カフェのデリバリー
ビル地下の集積所からオフィスへの荷物運搬にも
スマートフォンで受け取れる
アンロックするとドアが開く
夜間用のライトも搭載
車では通れない道も走れる
宅配のほかコミュニケーションロボットとしての機能も
トラックとの連携構想
銀のさらと提携
フードデリバリーはITで成長しロボットで持続的成長へ
40分が宅配の許容限界のため平均時速3kmなら半径2km圏内が宅配エリアに
課題は規制
海外ではすでに同種の実験がスタート
6月1日発表の警察庁ガイドライン
宅配ロボット用に解釈
シニアカー(歩行者)扱いにすることで業務に使える
千葉交通公園でテスト

 江見氏は、ライドオン・エクスプレスでは銀のさらのほか、宅配機能を持たないレストランの宅配を代行する「fineDine」を立ちあげていることに触れ、外食産業も物品購入がEコマースへシフトしていったように、携帯が変わっていくのは自然な流れであると述べ、レストランの食事を家でも食べられるという時代が来るとした。

ライドオン・エクスプレスの主要ブランド

 渡邊氏は、事業主の配送リソース不足、配達員の作業負荷や交通事故のリスク、集合住宅管理人の入館手続き作業の手間、ユーザーの商品受け取り時の代金やりとりや事前支払いといった不便を、宅配ロボットによって解決できるとした。

フードデリバリー市場の概況
課題を解決
オンデマンドプラットフォーマー構想
TechnologyとしてのCarriRo Delivery