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「Windows 10は創作活動やゲームの楽しさと、安心のセキュリティを提供する」
~日本マイクロソフト、年末商戦戦略説明会を開催
2016年11月11日 17:00
日本マイクロソフト株式会社は10日、都内にてプレス向けのイベント「Windows Innovation Day」を開催した。
同イベントでは、Windows 10搭載PCの2016年末商戦施策が紹介された。
挨拶を行なった日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長の平野拓也氏は、10月26日に米国で発表された、Windows 10の次期大型アップデート「Creators Update」について触れ、「“クリエイター”というのは、それを職業にするプロだけをターゲットにしたものではない」と説明し、クリエイトとは思いを具現化することであり、Windows 10では、趣味も含め、さまざまな創作活動を支援していくと述べた。
また、IoT、仮想現実(VR)、3Dグラフィックスの3つの技術がコンシューマでも身近なものになりつつあり、新たなパーソナルコンピューティングへの期待が高まっているとして、Windows 10では、1つのプラットフォームで3つの技術全てを提供できるとアピール。
Windows 10について新たなアナウンスは行なわれなかったが、日本でもCreators Update提供のほか、Surface Studioも含めた製品展開もされる予定であり、その際には改めて告知するとした。
年末商戦では、「楽しめるデバイス」としてのPC訴求、店頭での体験向上、パートナーやエコシステムの拡大&連携強化を、注力ポイントとして提示した。
楽しめるデバイスとしての訴求については、同社執行役員常務 コンシューマー&パートナーグループ担当の高橋美波氏が登壇し解説を行なった。
高橋氏は、Windows 10によって得られる3つの要素として、ペンを使用した「クリエイティブ」、「ゲームおよびエンターテイメント」、「セキュリティ」の3つを挙げた。
クリエイティブ
まずクリエイティブについては、「ペンコンピューティング」をテーマに、作品投稿サイト「pixiv」を運営する、ピクシブ株式会社 執行役員の伊藤浩樹氏が登壇。
pixivは、全世界会員数2,100万人、作品投稿数約6,500万という規模のサービス。
伊藤氏によると、pixivのユーザー全体の内、2割程度が作品を投稿しているが、8割のユーザーは作品を投稿していない。
そんな中、2016年に作品を投稿をしたユーザーの内、9割弱がWindowsを使用していることを明かし、前述の作品を投稿していないユーザーも、8割以上がWindowsを利用している層であり、そういった“潜在投稿ユーザー”のため、同社の提供する、お絵かきコミュニケーションアプリ「pixiv Sketch」でも、Web版を提供することでWindows環境からの投稿をサポートし、「作品を投稿することへのハードルを下げる」ことを目指していると述べた。
前述の通り、ユーザー数の多いWindowsプラットフォームを見据えて、Microsoftと連携して、pixiv Sketchでの筆圧検知対応などを行なっていきたいとした。
続いて、監督としてTVアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」などを手がけたことで知られる、神山健治氏が登壇。
神山氏は、自身が原作/監督/脚本を務める、2017年3月18日公開予定のアニメ映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」で、制作に「VAIO Z Canvas」を使用しており、プロフェッショナルでの活用例として紹介された。
同映画は「デジタル化された世界で作品を作ることができないか」という挑戦でもあると述べ、作画をフルデジタルで行なっているのは、手描きの長編アニメ映画としては世界初ではないかとしていた。
制作現場では、絵コンテを作成する際にもデジタル化を行ない、実際に簡単なムービーにしてしまうことで、作業効率が向上したという。
そういったデジタライズとともに、絵コンテ制作合宿など、新たな試みに挑戦しており、結果通常の3分の1から半分程度の時間で絵コンテ作業が進んだという。作業時間が短縮されたことで、アイデアの追加や試行回数を増やせたこともメリットとして挙げていた。
神山氏は、日本のアニメーションは今も紙と鉛筆で描かれており、「伝統工芸に近い」と述べ、デジタル化によりハードルが下がることで、新たな才能が入れるようになればと語り、アナログ派でデジタル未経験の人も、使ってみると使いやすさに気付ける、ゲームのように没頭できるので集中力も高まると述べ、新しいチャレンジとして試してみて欲しいとした。
エンターテイメント
「エンターテイメント」の解説では、従来機から小型化された家庭用ゲーム機「Xbox One S」の国内発売が発表された。同製品の詳細については別記事を参照されたい。
Xbox One Sは、4K Ultra HD Blu-ray(以下UHD-BD)対応の光学ドライブを搭載している。高橋氏は、現在4K映画がUHD-BDで40本ほど販売されており、年末には60本に増加すると述べ、「ゲームだけでなく、市場が拡大しているUHD-BDコンテンツなどのエンターテイメントも楽しめる製品」とアピールした。
対応ゲーム、TVと組み合わせることで、HDR描写が可能な点も特徴で、スクウェア・エニックスの人気シリーズ最新作「ファイナルファンタジーXV(11月29日発売予定、以下FFXV)」によるHDRデモも披露された。
壇上に上がったスクウェア・エニックス・ホールディングス執行役員で、FFXVのプロデューサーを務める橋本信司氏は、HDRでは自然な太陽光の表現などが可能で、よりゲームの世界に没入できるとアピール。今後もMicrosoftと連携し、新たな技術により、新しい局面を迎えるゲームの世界を体験して欲しいとした。
なお、FFXVはPS4およびXbox One向けの発売となっているが、デモ終了後、「ぜひWindows版(の発売)もお願いします」(高橋氏)、「開発に伝えておきます」(橋本氏)という、意味深長な会話が行なわれていたことを記しておきたい。
Xbox One Sだけでなく、Windows 10でも「メタルスラッグ」や「餓狼伝説~宿命の闘い~」など、「アケアカNEOGEO」シリーズの展開が行なわれるほか、「BIOHAZARD 7 resident evil」がWindows 10向けにストア配信されることが発表された。
セキュリティ
セキュリティについては、ブラウザを問わず危険なサイトへのアクセスを警告する「Smart Screenフィルタ」、OSに組み込まれたウィルス対策ソフト「Windows Defender」、生体認証を行なう「Windows Hello」という3つの要素により、安心・安全して使用できる環境を提供するとした。
Windows Helloは対応サービスやデバイスが増えており、新たにYahoo! Japanとdwangoが対応を表明したことが発表された。
具体的な解説に、ヤフー株式会社IDソリューション本部本部長兼ユニットマネージャーの森健氏、同社IDログインサービスマネージャーの伊藤雄哉氏が登壇。
Yahoo! Japanは現在3,600万人を超えるアクティブユーザーを抱えているが、月間のログイン試行回数は1.5億回を超えており、平均して1ユーザーあたりのログイン試行数は月3回以上だという。
生体認証は、以前と異なり、デバイスの普及やFIDO Allianceによるプロトコルの標準化など、環境の整備が進んでおり、Yahoo! Japanでも、生体認証によるログインをサポートすることで、ユーザー体験とセキュリティを向上できるとした。
2016年末商戦では、327機種のWindows 10搭載PCが販売されるとのことで、多くの選択肢が用意されているのがWindowsプラットフォームの強みであり、平野氏は「パートナーと共に、ワクワクするような楽しめるデバイスを市場にお届けしたい」として締めた。