やじうまミニレビュー

ベアドライブのまま装着できる5インチベイ用HDDリムーバブルケース

~2.5/3.5インチ両対応、USB 3.0も2ポート付き

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
OWL-IE5CU3B

 数年もPCの自作を続けていると、必然的にHDDやSSDが増えていく。特にインターフェイスの変更や容量の向上、HDDからSSDへの切り替えなどのタイミングでその現象は顕著になる。

 余ったHDDやSSDを中古で売ることもできるが、基本的に筆者はHDDとSSDを「消耗品」だと捉えており、それを第三者に売るのは気が引ける。というかそもそも旧ドライブから新ドライブに引っ越した場合、旧ドライブはそのままバックアップとして機能するので、手元にしばらく残しておくと、新ドライブの初期不良の時に役に立つ。

 結局その旧ドライブは大抵一度も役に立つことなく、押入れにしまったままになったりするわけだが、PCの統廃合をしていくうちに、ファイルをコピーを忘れたりして、旧ドライブに保存したままのファイルを引っ張り出したいと思うことがある。

 ところがその旧ファイルを引っ張り出すのに、PCを開けてSATAと電源ケーブルを繋げるのに一苦労する。最近のマザーボードはマザーに対して水平にSATAコネクタが出ているのだが、そのSATAコネクタがビデオカードに隠れていたり、奥行きが短いケースではマザーボードを一旦取り出さなければならない。そして筆者のデスクトップはフルタワーなので重く、先日もCPUクーラー入れ替え中に、思いっきり腰を痛めてしまった。たかがファイルの取り出し1つにこんな思いをしたくないものである。

 前置きが長くなったが、今回ご紹介するオウルテックの“ガチャポンパッダイレクト”「OWL-IE5CU3B」はそんな悩みを解決するアイテムだ。と言っても、本製品は単なる5インチベイ内蔵のHDDリムーバブルケースである。よって最初に設置する時は、やはりPCを開けてSATAと電源ケーブルを接続しなければならない。しかし、一旦組み込んでしまえば、HDDのデータの取り出しはウンと楽になる。

 本製品の特徴は大まかに言って3つある。1つはHDDやSSDをベアドライブのまま装着できる点。別途トレイを必要としないので、利用したいHDDをすぐ利用できる。2つ目は3.5インチと2.5インチの2つのベイを備えている点。5インチベイタイプの場合、3.5インチ1基専用、または2.5インチ×2以上のタイプが多いのだが、本製品は1つで両方をまかなえる。大容量のHDDも、高速なSSDも、本製品1つで済むということだ。

 そして3つ目が、マザーボード上のUSB 3.0ピンヘッダから2ポート引き出せる点。古いPCケースを使っている場合、最初から付いているUSBポートが2.0であることが多い。PCケースはCPUなどのほかの部品と比較して寿命が長いので、未だUSB 2.0のまま使っているユーザーも多いことだろう。その場合、最近のマザーボードでの装備が当たり前となりつつあるUSB 3.0のピンヘッダが余ることが多いのだが、本製品はそれを5インチベイ1つで活用できるわけだ。まさに一挙両得である。

 本体はステンレスのフレームを採用しており、剛性が高いだけでなく美しい。本体とPCケースの接続フレームはネジ止めで、間に防振ゴムが挟まれるという防振構造になっている。この辺りはなかなかのこだわりである。HDDの差し込みや取り出しも至ってスムーズだが、このジャンル自体長い歴史を誇るので、作りに関しては完成の域に達していると言えるだろう。

 SATAコネクタは実用新案の「Non-scratch SATA」を採用しており、5万回の抜き差しが可能だという。実際そこまで抜き差しする機会はないと思うので、実用は十分だ。ホットプラグはケースとしては対応しており、独立した電源のオン/オフボタンもあるので扱いやすいが、マザーボードのBIOSなどでリムーバブルとして設定する必要がある点は注意したい。

 ネックは4,700円というちょっとお高い価格設定だが、3-in-1として考えるなら価値は十分で、悪い買い物ではないはずだ。

製品パッケージ
パッケージには本体に加え、SATAケーブル2本、2.5インチHDD用絶縁シール、ネジ4本画同梱される
本体前面。2.5インチベイ、3.5インチベイ、USB 3.0×2がひしめく
USB 3.0はマザーボードのピンヘッダを利用する
SATAの電源は結線されており、コネクタ1基だけで2.5/3.5インチ両方に電源を供給する
SATAドライブの電源オン/オフボタンおよび動作LEDインジケータを装備
ステンレスの美しいフレーム
2.5インチ側のSATAコネクタ
3.5インチ側のSATAコネクタ。2.5インチ側と多少構造が異なり、重いドライブの抜き差しをサポートする「Non-scratch SATA」を実現するとみられる
2.5インチベイはスライドスイッチで開く
基板とステンレスのフレームが接触して短絡しないように保護するフィルム。シールなので1回しか使えないと見て良いだろう
2.5インチHDDをセットしたところ
終盤はカバーを閉じて格納する
完全に格納したところ
3.5インチベイはレバー式となる
3.5インチHDDを格納しているところ
これも終盤はカバーを押して閉じる
完全に閉じたところ
2.5/3.5インチともにHDDの角に当たる部分がカーブしており、スムーズに開閉する
2.5インチのイジェクトはシンプルなレバー。写真のような、SATAコネクタの横にジャンパーがあるHDDの場合、干渉して多少取り出しにくくなるが、最近のモデルでは少ない
2.5インチはカバー連動式でバネが入っており、取り出しをサポートする
3.5インチ側はローラー付きで、より重いドライブの取り出しをスムーズにサポートする
本体とPCケース固定フレームはネジ止め式で、間に防振ゴムが装備されている

(劉 尭)